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【ワールドカップ】準備不足のブラジル、64年前の汚名返上ならず 「マラカナンの上空に暗雲」

2014年06月06日 19時52分 JST | 更新 2014年06月06日 20時00分 JST
ロイター

今日のブラジルは、サッカーのワールドカップ(W杯)を初めて開催した1950年に比べると、大きく様変わりした。ただ、64年経過してもほとんど変わっていない面がある。

当時と同じように今回も、ファンの盛り上がりに匹敵するほど、予定通りの日程と予算の範囲内でスタジアムを建設できない当局の不備が際立っている。

今大会の開催都市は12で、開催費用は少なくとも280億レアル(約1兆2700億円)。そのほぼ3分の1が、スタジアムの新設・改修に充てられる。

12会場のうちブラジリア、サンパウロ、リオデジャネイロの3競技場は、それぞれ10億レアル以上かかる計算だ。また予定通り完成したのは12会場中2つのみ。

1950年の大会では、リオデジャネイロの「マラカナン」を含む6会場で実施された。「1950: The Price of a World Cup(原題)」の共著者ディエゴ・サルガド氏によると、マラカナンは2年以内に完成し、現在の貨幣価値に換算すると、建設費用は4億3000万レアルだった。

サルガド氏は50年大会の総予算の9割以上が、マラカナンの建設に充てられたと指摘。同スタジアムの建設開始は予定より数年遅れ、費用も予算を上回ったという。

「64年経ったが、当時起こったことを再び目の当たりにしている」。サルガド氏はロイターにこう話し、「突貫工事のため、コストが膨らんだ。そしてマラカナンのこけら落としは、本番の7日前だった」と説明した。

ブラジル代表は地元開催の50年大会こそ優勝を逃したものの、最多5回の優勝を誇る強豪国になった。2007年に再び開催国に決まった際には、世界中のブラジルファンから祝福の声が上がった。

ブラジルの政治家らは、W杯の開催が発展途上のブラジルにとって、インフラ整備の絶好の機会になると強調。しかし、開幕が刻一刻と迫る中、公約された事業のほとんどが実現していないの現状だ。

<暗雲>

会場建設計画をめぐる混乱について、元ブラジル代表のロナウド氏らも懸念を示す一方で、W杯自体の注目は薄れていない。

 今大会は約300万枚のチケットが売れており、外国からも80万人近くが観戦に訪れるとみられている。彼らは、半世紀以上前に開催された大会から変化のない一面を目にするはずだ。

「Futebol Nation: The Story of Brazil through Soccer」の著者デービッド・ゴールドブラット氏によると、50年大会ではマラカナンの建設が大幅に遅れ、完成時に祝砲が放たれた際に壁の石膏ボードが剥がれ落ちたという報告もあった。

また、ゴールドブラット氏は、今大会でも使用されるマラカナンについて「当時はスタジアム以外のものも造られた。陸上のトラックやプールは国民の利用を目的に整備され、学校も建てられた」と振り返った。

50年大会は、32チームが競う今大会に比べると半分以下の13チームしか参加しなかったが、当時の関心は高かった。22試合の平均観客数は4万7511人で、過去19大会のうちそれを上回るのは7大会だけだ。

さらに、50年大会では今のようなスポンサー制度が確立されておらず、テレビの生中継もなかった。トロフィーについては、デザインも異なり、国際サッカー連盟(FIFA)の元会長の名前を冠し「ジュール・リメ・トロフィー」と呼ばれていた。

逆に両大会を比べて最も似ている点を挙げるとすれば、開催国ブラジルの優勝願望だろう。50年大会ではウルグアイに敗れて準優勝に終わり、このことは今でも語り草になっている。

「マラカナンの上空には、その試合以来暗雲が立ち込めている」とロイターに語るのは、1962年大会に出場した元ブラジル代表のアマリウド氏。50年大会時は9歳だったが、同氏はその時の敗戦をはっきり覚えているという。

そして、その暗雲を晴らす唯一の方法は「今度こそ決勝でブラジルが勝つことだ」と期待を込めた。

[サンパウロ 6日 ロイター]

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