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ウィキリークス創設者の運命は? 大使館に2年間こもり続けるジュリアン・アサンジの行く末を占う

2014年06月23日 18時14分 JST | 更新 2014年06月23日 18時28分 JST

ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジがイギリス国内のエクアドル大使館に亡命してまる2年、彼がそこを去る様子はない。そしてイギリスとスウェーデンも、彼を連行しないで放置しておくつもりはないようだ。では、アサンジにはこれからどんな選択肢があるのだろう。永遠に居座り続ける、潔く責任を取る、はたまた法が変わるのを待つのか。あるいはこれもまた、よくある話題作りに過ぎないのか。

私達はアサンジの近しい友人や関係者、テクノロジー専門家、犯罪者の引き渡しに詳しい法律家に、アサンジが今後の5年間、どこにいることになるのか聞いてみた。

アメリカはアサンジを起訴しないと誓約し、アサンジは自分の関心事を追求する自由を得る―スウェーデンでの尋問の後に。

ジェニファー・ロビンソン ジュリアン・アサンジの弁護士、バーサ財団顧問弁護士

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ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジ(右)と、彼の弁護士ジェニファー・ロビンソン。

「理想的なシナリオは、ジュリアンはオーストラリア人またはエクアドル市民として、公益のために記事を掲載したことに関して訴追を受けず、自由に世界を移動できるようになるというものです。アメリカは自らのやり方の誤りとウィキリークス大陪審により引き起こされた言論の自由への悪影響を目の当たりにし、彼が起訴されたり引き渡されたりしないと保証することになります。

「スウェーデンは彼の証言を聴き、適切な手続きを踏んで、彼が汚名を晴らす機会を得られるようにします。彼への不当な扱いについての公聴会が開催された後、公判前の拘留について法律を改正することになるでしょう――イギリスがすでに、無罪での引渡しを防止するため、引渡法を改正したよう――。ジュリアンが耐えたような不公正に、誰もが苦しまないようにです。アサンジの行いすべてには、なんら不合理はありません。単純に、関係する各政府へ必要な手続きと国際人権基準を、そしてもちろん、アメリカについては自国の憲法を尊重するよう求めているだけです」

「そうならない場合、彼はエクアドル大使館から出られず、イギリスの納税者は2千万ポンドを支払い続けることになります(現時点の在英エクアドル大使館監視のための警察費用)。スウェーデン、イギリス、アメリカが事態打開に向けて政治的意思を示さない限りは、の話です」

結果:心の中の疑念を払いのけ、アサンジはアメリカの次期大統領からの「引き渡しを求めない」との約束を受け入れる。彼はスウェーデンで尋問を受け、その後ウィキリークスを復活させる。

エクアドルはアサンジを見捨て、イギリス警察のなすがままにさせる。

犯罪者引き渡しの専門家ジュリアン・ノールズ勅撰弁護士 マトリックス・チェンバース所属

ecuador assange

エクアドルのラファエル・コレア大統領(右)と外務大臣リカルド・パティーニョは取引を成立させるかもしれない――でなければ追放である。

「非常に可能性の高いシナリオとして考えられるのは、エクアドルが態度を変える、または政権交代が起きることです。ジュリアン・アサンジを難民と認めることはできません。難民とは政治的弾圧によって母国に帰れない人のことであり、重大犯罪の容疑者には当てはまりません。ジュリアン・アサンジには性的暴行の容疑がかけられています」

「ですからこれは政治的な動きで、エクアドルが亡命を認めたのも、アメリカの鼻をあかすためのものだったというのが主な理由です。ですからもし政権が交代すれば、エクアドル政府は彼に亡命を求める難民の資格がないことを認めるかもしれません。

「もうひとつのシナリオは、彼が今の場所に居続けることですね。これには前例があるんですが、共産主義に反対したハンガリーのミンツェンティ枢機卿は冷戦の間、ハンガリーのアメリカ大使館で15年間過ごしました。スウェーデンは事件を取り下げる気はありません。イギリスは、たとえ政権が変わっても、事件を法的に取り下げることができません。彼らはヨーロッパ逮捕令状(EAW)に従う義務があります」

結果:アサンジはハンス・クレセント・ストリート3番にあるエクアドル大使館から強制的に排除され、その現場で2012年から監視を続けてきた2人の警察官に逮捕される。その後スウェーデンへの飛行機に乗せられ、到着したら、性的暴行容疑に関する尋問に答えなければならない。

スウェーデンはアサンジの訴追を取り下げ、彼に出て行く自由を与える―しかし彼自身はそうするだろうか。

ウィリアム・J・ファーニー ジャーナリストで作家。アサンジ事件をリポートした

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アサンジはスウェーデンへの身柄引き渡しを裁判によって阻止しようとした。

「現実にはスウェーデンでの事件は行き詰っています。これは(エクアドルの)ファルコニ・プッチ大使も認めた事実です」

「アサンジは関係を持った後に裏切った女性たちと寝たことを後悔しているかもしれません――まあそれは当然でしょうね。この件は前へ進めて法廷で審理されなければ明らかになることはありません。ただ彼は確実に、在英エクアドル大使館に飛び込んだことを後悔しているでしょう」

「万が一アサンジに対するスウェーデンでの事件が取り下げられたとしても、彼はまだどこへも行きませんよ。去年の今頃、彼が亡命申請をしてからちょうど1年経った頃ですが、最終的にエクアドル政府は申請を受理したわけですが、アサンジは、イギリス当局が安全な移動を保証しないので逮捕されアメリカに送還される危険があると言いました。彼の保釈条件への違反は法廷への反抗や侮辱ではありません。彼がその件で個別に罰せられることはないと、ヒックマン・アンド・ローズの弁護士が言っています」

結果:アサンジはイギリス政府との勝負に出るが、アメリカの要請のもとイギリスは彼を逮捕する。現時点でアメリカでの公式な起訴は何もないとはいえ、グレン・グリーンウォルドを含む多くの専門家たちは、オバマ政権がアサンジに不利な行動を取るだろうとみている。

ヨーロッパ逮捕令状にかかわる変化が、アサンジにエクアドルへ行く機会を与える。

スティーブ・ピアース教授 EU関連の法律専門家、エセックス大学。

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ウィキリークス創設者のジュリアン・アサンジの支持者たちがエクアドル大使館に集まる。

「イギリス政府が133のEU内務規定からの脱退を決めると、EAWが影響を受けます。イギリスは脱退当日に手を引くでしょう。もし空白期間もなくこれが実現できるとすれば、アサンジは何も出来ません。ただし、うまく切り抜ける方法がひとつありますね。わたしはさらに他の方法もあるだろうと見ています」

「イギリスがEUならびにEU加盟国と、あるいはそのどちらかとのき引渡し条約に署名することもあり得ます。いずれにしても、適用可能の根拠となる欧州評議会の引き渡し条約が存在します。ですから、引き渡しは少なくとももう少し難しくなるでしょうが、不可能にはなりません」

「ここでさらに重要なのは、国の法律によってEAWはいつでも取り下げることができる、という点です。スウェーデンで時効を迎えるかもしれませんし(2020年で時効)、あるいは告発人が申し立て内容を変更するかもしれません」

結果:アサンジにとって最も良いシナリオと思われる。アサンジはキト(エクアドルの首都)へ向かって飛び立ち、エクアドルで余生を送ることになる。

アサンジは大使館にとどまるが、これまで蓄積したものと影響力を保つ。

ウィキリークス専門家ガブリエラ・コールマン マギル大学サイエンティフィック・アンド・テクノロジカル・リテラシーのウォルフ・チェアー

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警察官がナイツブリッジのエクアドル大使館前で警備にあたる

「彼は大使館に閉じ込められて長い長い時間を過ごすが、指針を与える存在、あるいは指導者として活動を続けると思う。スノーデンの場合にそうだったようにね。なぜなら今の彼は監獄の中にいるようなものではあるけど、実際に監獄にいるより多くの権利を持っているでしょう。彼には新しい大きな何かのテクノロジーやプロジェクトに取り組む時間がある。比較的若いし、影響力を行使できる立場にあるし、まだ変化をもたらす潜在力を持っている」

「ウィキリークスが反対派たちに包囲され、アサンジ個人の人格が議論の的になったとき、多くの人がウィキリークスは過去のものになったと言った。わたしはそういう意見は近視眼的で間違いだと思う。そう、彼らはもうリーク情報の中心人物になりえないかもしれない。でもウィキリークスを超える何かを動かし始める。そして消え去ったりはしない」

「アノニマスは情報のリークを続け、スノーデンはそのリークを他の情報すべてをしのぐものにした。ウィキリークスやブラッドリー・マニングは決定的な役割を果たした。政治の舞台にはいつだってハッカーたちがいたけど、この4年間は本当に前例のないものだった。こういう動きはすぐに消滅するようなものではない」

結果:アサンジはひじ掛け椅子を新調し、より高額な衛星放送のパックに加入してナイツブリッジで優雅に過ごす。

エクアドルとイギリスは、アサンジが責任を取らざるを得ないような取り決めに至る。

マールテン・デ・ヘイジャー アムステルダム大学国際法センター助教、「ディプロマティック・アサイラム・アンド・ザ・アサンジ・ケース」(外交的亡命とアサンジ事件)の著者

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在英エクアドル大使館のバルコニーから話すジュリアン・アサンジ

「ジュリアン・アサンジの運命? 彼はスウェーデンへの引渡しよりも外交的亡命を選んだわけだが、イギリスの領有権とエクアドルの外交特権のバランスにぶら下がっている状態だ。ここに来て当初の外交的な大騒動は静まり、現実的思考が出てくる時期になっている。紛争を解決すべき両国が冷静になっている」

「1950年に国際司法裁判所がアヤ・デラトーレ事件(1948年にペルーでクーデターを起こしたアヤデラトーレが軍事反乱罪で訴追された時にコロンビア大使館に亡命した事件)で述べているように、『儀礼と良い隣人となることを考慮して』亡命を終わらせる多くの方法が存在するわけだ。そういった考慮がエクアドルとイギリスにも通用すると仮定してみよう」

「ビクトル・ラウル・アヤ・デラトーレは、コロンビア大使館にさらに5年間滞在した後、最終的にペルーへの帰国を許された。そうして彼は、1979年にペルーの制憲議会議長にまで登りつめた。ジュリアン・アサンジは、それに彼の支持者たちや敵対者たちは、外交的亡命というのは長く続くことがあるとしても生涯にわたることはまずない、という事実に身をゆだねたいと思うかもしれない」

結果:アサンジは逮捕されてスウェーデンへ送還され、さらにアメリカにも送られてスパイ容疑で告発される。もしくはそのどちらかの国だけで審理される。とはいえ、イギリスとエクアドルにとって機会はせばまりつつあるかもしれない。イギリス政府が事態打開を目指す2国間の作業部会を取りやめたことが明らかになったのだ。

ジュリアン・アサンジは疲弊してしまい、大使館を去る。ウィキリークスの影響力はもはやマスコミの最前線に届かない。ただ歴史のひとコマとなる。

イアン・オーバトン ビューロー・オブ・インベスティゲイティブ・ジャーナリズム誌の元編集主幹で、ウィキリークスと共に働いた。

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ウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジの支持者たち。プラカードを掲げ、エクアドル大使館向かいでアサンジの登場を待っている。

「私たちは今、この空白期間に焦りを覚えている。ここイギリスもしくはエクアドルで政府の方針に変更がなければ、アサンジは疲弊してしまい、告発を受理しようと決心するかもしれない。でも一番いらいらさせられるのは、ジュリアン・アサンジについての詮索好きな人々のためのストーリーや、聞くに堪えない非難の数々が、ウィキリークスの功績を覆い隠してしまっていることなんだ。ぼくがジュリアンと親しく仕事をしていた頃、マスコミはこのデジタル時代のスカーレット・ピンパーネル(「紅はこべ」。フランス革命の嵐の中、大胆な知略で貴族たちを救い出しイギリスへ亡命させる謎の一団のこと)に大興奮だったじゃないか」

「なのに今、信頼に値するとされる新聞誌上でリーダーたちはこう言ってる。『ウィキリークスは結局何も暴露しなかった』。まったくあきれ返るよ。彼らは本当にイラクやフガニスタンの戦闘記録を読んだのか。何の罪もない一般市民の殺害とか、アメリカのヘリによる戦争犯罪とかを。ジュリアン・アサンジが不幸に

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