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iPhone 6と中国メーカーに脅かされる、サムスンの苦境

2014年07月25日 22時53分 JST | 更新 2014年07月25日 22時57分 JST
Reuters

[北京 24日 ロイター] - 移り変わりの早い携帯端末業界では、幅広い製品ラインナップをそろえる韓国サムスン電子<005930.KS>の身動きの速さが有利であり、上位機種にこだわる米アップルは不利だというのが、長いこと定説のようになっていた。

しかし、両社の最近の業績発表は、こうした説に異議を唱える内容となっている。少なくとも、世界最大の携帯端末市場となり、 第4世代(4G)無線通信網の導入でさらなる市場拡大が見込める中国では、違った景色が見え始めている。

アップルが22日発表した第3・四半期(4━6月)決算では、中国でのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売台数が、アナリスト予想の約2倍のペースで伸びていることが明らかになった。

一方、中国の低価格帯市場では、地場メーカーが販売台数を伸ばしており、業界最大手サムスン電子の牙城が切り崩されている。サムスンは今月8日、低価格機種の在庫積み増しと中国での3G端末の需要低迷を理由に、第2・四半期の営業利益が前年比25%減に落ち込む可能性があると発表した。

こうしたことは、すべての価格帯で製品をそろえる戦略を取るサムスンが、価格競争力のあるメーカーと上位機種メーカーの間に挟まれ、身動きが取れなくなっている姿を示している。対照的に、高級路線を大事にしてきたアップルは、iPhoneやタブレット端末「iPad(アイパッド)」の価格をライバル機種より平均的に高く維持できている。

サムスンは中国では強いブランド力があるが、カウンターポイント・リサーチ(韓国ソウル)のアナリスト、トム・カン氏によると、同じような機能を持った中国製端末より値段は60━100%高い。同氏は「ブランドプレミアムがあるとはいえ、ちょっと高すぎる」と語った。

サムスンは当記事に関するコメントを差し控えている。

「ギャラクシーS」シリーズなどサムスンの上位モデルは、iPhoneとiPadへの直接的な対抗機種。ただ調査会社カナリスによると、同社の1━3月の中国販売台数全体に占める「ギャラクシーS」の割合は約25%にとどまった。中国で売れているサムスンの端末は500人民元(約8200円)以下のモデルが圧倒的多数だという。

同時にサムスンは、小米科技(シャオミ)など中国の新興端末メーカーとの価格競争にもさらされている。シャオミは22日、4G対応の新型スマホ「Mi4」を1999元で発売すると発表した。

サムスンが直面する課題は、5━6月の中国での人気機種ランキングでも浮き彫りとなっている。カウンターポイントによれば、同社製端末でベスト5に入ったのは「ギャラクシーノート3」のみで、それも中国レノボ・グループ(聯想集団)<0992.HK>のスマホと並ぶ5位だった。

<中国サプライズ>

アップルは第3・四半期の売上高について、中国での予想外の強い数字が押し上げ要因になったと発表。中国市場では4━6月、iPhone販売台数が約50%増加した。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「正直言って中国は驚きだった。強い数字だろうとは思っていたが、われわれが考えていた以上だった」と語った。

中国の携帯電話最大手、中国移動(チャイナ・モバイル)<0941.HK>が4Gサービスを開始したのは今年2月。同サービスの契約者は2月末時点では130万人だったが、6月には約1400万人まで膨れ上がったという。

ガートナーのアナリスト、C・K・ルー氏は「チャイナ・モバイルの利用客の多くは古い携帯を使っていたので、4G開始に伴って自然に(iPhone)5Sや5Cに乗り換えてアップグレードした。この傾向はiPhone6が発売されれば一層顕著になるはずだ」と語った。

中国移動は4G契約者の端末別の内訳を発表していないが、奚国華会長は3月、「4G利用者134万人のほとんどはiPhoneを使っている」と明かしていた。

一方、サムスンにとっては、4Gの導入は「一利一害」となっている。

カウンターポイントのカン氏は「4Gの展開は当初こそサムスンとアップルの両方を助けたが、通信会社と規制当局の最近の方針がサムスンには逆風になっている」と指摘。「サムスンは3G携帯を中国のキャリアに大量に売っているが、需要は急激に落ちた。3G販売が不利になるような最近の4G重視路線はサムスンには好ましくない」と語った。

中国での販売についてサムスンは今月、4G製品を待つユーザーの買い控えによる3G端末の売り上げ低迷と、低・中位機種での価格競争により、苦戦を強いられていると明かしていた。

<iPhone6>

中国移動が4G網を拡大し、中国連合通信(チャイナ・ユニコム)<0762.HK>や中国電信(チャイナ・テレコム)<0728.HK>も同様のサービスを準備する中、端末メーカーは、アップルから大画面iPhoneが出てくるという「サプライズ」にも身構えている。

「現時点で4Gにアップグレードしたいユーザーはほんの一握りだ」。こう話すガートナーのルー氏はその理由として「大きな画面を望む相対的主流とも言える消費者層はまだiPhone6を待っている」とし、新型iPhoneが発売されれば「サムスンのような高級ブランドへの影響はさらに大きなものになる」と語った。

カウンターポイントのカン氏も、画面が大型化したiPhoneは「サムスンの縄張りに直接踏み込んでくる」と指摘。その上で、サムスンは湾曲ディスプレーなどの手立てで対抗するかもしれないと述べた。

アップルは、中国での勢い加速に自信をのぞかせている。その背景にあるのは、中国移動との関係と、同社の「App Store(アップ・ストア)」向けにアプリを開発する約15万人の中国人プログラマーの存在だ。

ルカ・マエストリ最高財務責任者(CFO)はロイターの取材に対し、中国移動の4G拡大で「(iPhoneの)販売場所も増え続けている」と説明。「彼らはマーケティング活動も増やし始めており、われわれの前には中国移動との非常に良い滑走路ができていると思う」と語った。

(翻訳:宮井伸明 編集:伊藤典子)

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