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「育休で、子育てと経済がつながった」サイボウズ・青野慶久社長に聞く、これからの育児と仕事

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上場企業の経営者として他の経営者に先駆けて育休を取得、イクメン社長として知られるサイボウズの社長・青野慶久(あおのよしひさ)さん。前編では、経営者でありながら育児休暇を取得した青野さんが感じた、子育てのプレッシャーやストレス、また男性が育児に主体的に取り組む難しさについて聞いた。

後編では、さらに男性が育児に関わることの必要性や、子育てがビジネスや社会全体にもたらすメリットについて、青野さんに聞いた。

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■育休を取って、子育てと経済が初めてつながった

第1子が生後6カ月だった頃に、2週間の育児休暇を取得して、そこで初めて気がついたことも多かったという青野社長。その中で、最も大きな気づきは「子育て」と「経済」がつながったことだという。

「仕事と家庭とどっちが大事かっていう議論がありますよね。自分が子育てをする前は、どっちも同じくらい大事だと思っていましたが、今は明らかに、子育てのほうが大事だと僕は思います。というのも、まず子育てをできる社会を作らない限り、次の世代が無いわけだから、経済も無くなりますよね。人がいなくなるということは、物を作って売ろうと思っても誰も買う人がいませんとなるわけです」

育児休暇の2週間、子供の世話でいっぱいいっぱいになったという青野さん。会社の状況をグループウェアで確認しつつも、何も仕事ができない辛い状況が続いたが、育休最後の日に「この子が将来、うちのソフトを買うかもしれないぞ」と閃いたという。子育てとビジネスがつながり、「今頑張って、子育てしなければ」と気づいた瞬間だった。

まず、子育てを“社会の基盤”と捉え、そこをサスティナブル(持続可能な)な状態にしなければ、日本の社会やビジネスにも未来はない。「『子育てをする人は、一番大事なことをしてくれている人』となるように、価値観を置き直す必要がある」と青野さんは語る。

■社会の仕組みを理解することで、仕事の視野が広がる

経済成長のために、子育てが重要であることはわかったが、では、子育てを経験することは、個々人の仕事にどんなメリットをもたらすのだろうか。

「例えば僕の場合、社長として意思決定するのが仕事ですが、今までは“事業を成長させる”という視点でビジネスの意思決定をしていました。ところが、子育てや家事に関わり、社会ってこうやって動いているんだとか、もっと言うと、人間ってこうやって世代をつないできたんだということがわかると、それまでとは意思決定の質が、全然違ってきました」

「自分がここで決めたことが、社会に対して、人類に対してどんな影響を与えるだろうかという視点が出てくるんですね。それが、良いことかどうかは長い目で見ないとわかりませんが、少なくとも視野は広がりましたね」

もちろん、一般の会社員だったとしても、子育てや家事を通して社会と接点を持つことが、仕事のヒントになりうる。例えば、一般消費者向けの商品やサービスを扱う企業なら、消費者のニーズに直接触れる機会になるからだ。

■男性が育休を取るなら、誰も取っていない今のうちに

また、政府の「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」に参加した青野さんによれば、女性の活用をはじめ、ダイバーシティ(多様性)や柔軟な働き方の重要性に気づいている経営者は確実に増えているという。その視点を経営に取り入れなければ、会社が今後イノベーションを起こせないと理解している経営者も多いそうだ。

「社会は今後、必ず多様な働き方を認める方向へと変わって行きます。そんな時代に、いち早く育休を取った経験を持つ男性は、それを武器にできますよ」と青野さんは語る。

「会社によっては、男性が育休を取得する制度はあるのに、会社の雰囲気がそれを許さない場合もあると思います。でも、もし自分が育休を取りたいと思っている人がいるなら『無理してでも、今取っておくべき』と僕は勧めています」

「もし、その会社で初めて育休を取った男性になれば、間違いなく、その人は伝説に残ります。今後、必ず社会はそういう方向に動きますから、10年後、人事部長になれると思います(笑)。その経験を武器に、転職できるかもしれません」

育休を取ることで、会社での風当たりが強くなるかもしれないが、それもすべて武勇伝に変わる。育休を取得したいと思っているなら「男性の育休が当たり前になる前に取ったほうが、絶対にメリットは大きい」と青野さんは笑う。

少子化・高齢化の問題を抱える日本。今後ますます多くの人が、育児や介護をしながら働くことになるだろう。日本は今、働き方の価値観が変わる過渡期を迎えている。

今後日本がどう変化していくのかを、きちんと理解して、目先の利益だけにとらわれずに、自分の働き方、家族や社会との関わり方を考えていくことが、自身のキャリアを広げていくことにつながるのではないだろうか。

(相馬由子)

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