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【傘の革命】デモ隊に対する同情と、自分の懐が痛む懸念。引き裂かれる香港市民の心

2014年10月08日 19時14分 JST | 更新 2014年10月08日 19時47分 JST

デモ反対派がデモ隊と衝突した。10月3日、香港の繁華街銅鑼湾(コーズウェイベイ)で撮影。Photo: Anthony Kwan via Getty Images

香港発――張りつめた空気の10月5日(日)。民主化を要求するデモ隊が香港繁華街の道路を占拠して以来、丸1週間を迎えたが、経済的影響が増す一方の地元商店主からの反発は強まりつつある。

小さなビジネスを営む自営業者は、完全に封鎖された道路と暴力的な対立のせいで客の入りが大幅に減り、大打撃をこうむっていると訴える。

「中環占拠(オキュパイ・セントラル)がビジネスにもたらす影響は、2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が香港を襲った時よりも大きい。SARSの時は道路が封鎖されたわけではなかったからだ」と述べるのは、デモの中心地である金鐘地区から3キロメートルほどの場所で小さなレストランを経営するスン・オイリンさんだ。レストランの売上は先週、3分の2ほど落ちたという。「デモ隊にはデモ隊の立場があるだろうが、私たちにも、高い家賃と人件費を何とかしなければならないという立場がある」

デモ隊は、香港の繁華街と金融街を封鎖した。Photo: Matt Sheehan/The WorldPost

学生デモ隊は9月28日以降、アジア金融の中心地である一帯の幹線道路を占拠している。彼らに対する社会の同情は、9月28日に地元警察がデモ隊を解散させるために催涙ガスを用いた際に大きく膨らんだ。その雰囲気は、中国の国慶節(建国記念日)の祝日である10月1日と2日にかけて続いたが、3日の金曜日に仕事に戻ろうとする香港市民の中には、デモ隊を邪魔だと感じた人もいたようだ。

占拠を支持する民主派と、彼らに反発する市民の対立は、公共の場でのぶつかり合いへと発展した。以下の動画は、香港の繁華街旺角(モンコック)の地下鉄駅で、ハフポストUS版のマット・シーハン記者が撮影したもの。

デモ隊は、争いが起きたのは、香港を拠点とする犯罪組織「三合会」が金で依頼されてトラブルを起こしたからだと主張している(10月4日には、三合会構成員と疑われる8名を含む19人が香港警察に拘束されたとも報じられた)。

しかし、小売店経営者の中には、デモ隊の最前線まで乗り込んでいき、デモ参加者と激しくやりあう人もいるのは事実だ。レストラン経営者やタクシー運転手、果物売りなどは大きな打撃を受けており、売上は通常の20~65%程度に落ち込んでいると話す。

オーストラリア・ニュージーランド銀行は10月3日、民主化デモが小売業にもたらした経済的影響はすでに約22億香港ドル(およそ300億円)に達しているという推定を発表した。小売業全体の月間売り上げの6%にあたる額とされる。なお、国慶節の祝日は「黄金週間」と呼ばれており、中国本土からの買い物客がピークを迎える時でもあったため、被害額が拡大したと指摘されている

オーストラリア・ニュージーランド銀行は10月3日、民主化デモが小売業にもたらした経済的影響はすでに約22億香港ドル(およそ300億円)に達しているという推定を発表した。Photo: Bloomberg via Getty Images

多くの香港市民は、デモ隊に対する同情と、自分の懐が痛むというきわめて現実的な懸念の、2つの心情に引き裂かれている。

デモに参加する人たちには、香港中心部で働く人も多い。彼らは、より民主的な制度の整った統治が実現すれば、短期的な経済的損失も、長期的には穴埋めされると主張する。

たとえば、香港国際空港で働き、休みのときにデモに参加するガン・ウィン氏(30歳)はこう語る。「ここに集う人々は、香港に対する政策を改善するよう政府に求めているのです。(改善されれば、)香港市民の生活はより良い方向に向かうでしょう」

しかし、占拠を支持する人々と、反発する市民の両方が、香港行政長官選挙において「一定数の市民の支持があれば誰でも立候補できる制度」を導入するという目標(日本語版記事)を、今回のデモが達成できるかどうかについて疑問視している。そうした悲観的な見方は、自営業者にとって、短期的な痛みをさらに耐えがたいものにしている。学生はデモが終われば学校に戻りさえすれば良いが、自分たちは違う、と指摘する人も多い。

占拠を支持するデモ隊に関しては、以前から賛否両論がある。年齢層や社会の階級によってはっきりと意見が違うこともたびたびだ。デモ参加者の圧倒的多数は若者であり、その多くは香港の一流大学の学生だ。一方、年齢が高く、さほど裕福でない市民層では、占拠に反対する人の割合がはるかに多くなっている。

香港政府と民主派の学生団体(香港学生連盟)は6日夜、2回目の事前交渉を行い、早ければ今週中にも正式対話を実施することで合意した。デモ隊は7日朝も市内数カ所の主要道路で封鎖を続けたが、参加者の人数は先週に比べ、かなり減少していると報道されている

[Matt Sheehan, Wayne Chang(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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