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安倍政権は予算編成加速、歳出絞り込みが財政再建の試金石

2014年12月14日 21時10分 JST | 更新 2014年12月14日 21時12分 JST
Bloomberg via Getty Images
Shinzo Abe, Japan's prime minister and president of the Liberal Democratic Party (LDP), speaks to the media at the election center at the party's headquarters in Tokyo, Japan, on Sunday, Dec. 14, 2014. Abe's ruling coalition won Japan's general election, according to an NHK exit poll, which also indicates the bloc may maintain its two-thirds majority in the lower house. Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg via Getty Images

[東京 15日 ロイター] - 師走の衆院選は、自民党の圧勝に終わった。安倍晋三首相は引き続き「経済再生」を最優先に取り組む方針を強調。来年度予算編成作業を加速させ、選挙戦で生じた遅れを最小限にとどめることで、経済優先の姿勢をアピールする。

焦点は歳出をどこまで絞り込むことができるかだ。2020年度の財政健全化目標達成に向けた具体策取りまとめの試金石となる。

<予算編成作業の加速化、師走選挙の批判回避が狙い>

衆院選の最終盤、選挙後の日程調整は、官邸の強い意向を受けて前倒しを繰り返した。経済最優先を掲げ勝利を収めながら、経済の先行きを左右する来年度予算編成に大幅な遅れが生じれば、批判の的となりかねないからだ。

足元の景気を下支えする経済対策の閣議決定や、来年度税制改正大綱は当初の予定を前倒しして年内に終える予定だ。

年末も返上し作業を加速させる狙いについて、関係筋は「1カ月の政治空白による遅れを最小限にし、経済最優先で取り組んでいる」と語った。

特別国会は24日から26日までの3日間とする方向。首相指名選挙を経て、直ちに第3次安倍内閣を発足させる。内閣改造や党役員人事は9月に改造したばかりで、NHKは全閣僚の再任方針と伝えた。

経済対策は26日にも閣議決定し、急速な円安進行による原材料高や消費税率引き上げによる影響に対処する。ただ、14年度補正予算案の概算閣議は来年1月第1週にずれ込む見通しだ。

来年度税制改正大綱は当初、来年1月9日で調整をしていたが、大幅に前倒しされ、12月30日にもとりまとめる予定。これらを踏まえて15年度予算案の閣議決定は1月14日となる見通し。

通常国会は来年1月26日召集を軸に調整中で、補正予算案成立後、直ちに15年度予算案の審議に入る。政府・与党は審議時間の調整などを駆使して年度内成立を目指す考えだが、微妙な情勢だ。「4月12日の統一地方選までには終える」(政府筋)ことを基本に、小幅の暫定予算を組む可能性も出ている。

<財政再建の具体策、「政権への信任」を左右>

財政政策では、2020年度の基礎的財政収支(PB)黒字化に向けた具体策の策定に注目が集まっている。

消費再増税の延期で、政府が掲げる財政健全化目標の達成は厳しさが増している。消費税率を10%に引き上げ、名目3%成長を実現しても、20年度には11兆円のPB赤字が残る。名目成長率が2%程度にとどまれば、赤字は16兆円強に膨らむ。財政再建の不確実性の高まりが日本国債の格下げにもつながった。

高齢化の中で、財政赤字は歳出カットだけでも、歳入改革だけでも、容易に達成できない大きな規模に膨らんでいる。安倍首相は再増税延期と同時に20年度の黒字化目標を「堅持する」と明言し、来夏までに具体策を策定するとも言い切った。

安倍首相自身が公言したことで、10%への消費税率引き上げは、自民・公明・民主の3党合意による前政権の「遺産」として引き継いだ政策とは、全く次元の異なる政策課題に変り、その意味は大きい。

大和総研・主席研究員の鈴木準氏は「首相自身が10%への引き上げの必要性を認め、社会保障改革を含む財政再建を丸ごと引き受けた。他人の政策ではなく、自分の政策課題となった」と指摘。歳出改革と消費税率10%超の具体的な計画を描けるか、政府の信用にかかる問題だという。

もっとも、複数の関係者は、消費税率が17年4月に10%に引き上げられる前にさらなる増税論議は難しいとみる。その結果、20年度までの前半は、どこまで歳出改革に切り込めるかが最初のハードルになるという。

その試金石が15年度予算案における歳出削減だ。消費再増税は延期されたが、政府は、増税分を充てる社会保障充実分のうち、待機児童の解消など「子ども・子育て支援新制度」以外は見直しする方針を固めている。

毎年1兆円膨らむ自然増分も含め、社会保障関係費の絞り込みが最大のポイントだ。防衛費や地方創生関連費の扱いも、財政改革との関連でどのようなスタンスを示すのか、安倍政権の「本気度」が試されそうだ。

<法人実効税率下げ、初年度2%超で最終調整へ>

来年度税制改正は、法人税の実効税率引き下げが最大の焦点だ。政府は法人税改革を成長戦略の柱と位置づけ、現在35%の実効税率を来年度から「数年で20%台」に下げる方針を打ち出している。関係者によると、来年度の税制改正大綱で、15年度から数年間の工程表を示す見通しで、15年度の下げ幅は2%超で最終調整されているもよう。

減税財源には、大企業の欠損金の繰越控除縮小のほか、外形標準課税の拡大、企業の受け取り配当金への課税強化などがほぼ固まった。赤字企業にも課税する外形標準課税強化の対象は資本金1億円超の大企業に限定し、中小企業への適用は見送る。

NISA(少額投資非課税制度)の投資枠拡充案も固まった。2016年から現行の年100万円から120万円に拡充し、年80万円を限度に20歳未満を対象とするジュニア版NISAを創設する。最大、年200万円を非課税で運用できるようになる。家計の貯蓄を投資に促し、経済活性化につなげたい考え。

一方、軽減税率の具体化は、公明党が議席を伸ばし与党内基盤を強固にしたことから、加速しそうだ。公明党は17年4月の消費税率引き上げ時と同時の軽減税率導入を主張しており、対象範囲や財源などの詰めを急ぐ。

17年4月の導入を前提とすれば、遅くても15年の臨時国会に法案を提出する必要があり、税制改正大綱決定後の来年早々から議論が加速しそうだ。

(吉川裕子 編集:田巻一彦)