オバマ大統領、ドナルド・トランプ氏は「大統領として不適格」 トランプ氏も反撃「オバマこそ指導者失格」

「トランプには国を指揮できない」
US President Barack Obama speaks about Republican presidential nominee Donald Trump during a press conference with Singapore's Prime Minister Lee Hsien Loong as part of a State Visit in the East Room of the White House in Washington, DC, August 2, 2016. / AFP / SAUL LOEB (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)
US President Barack Obama speaks about Republican presidential nominee Donald Trump during a press conference with Singapore's Prime Minister Lee Hsien Loong as part of a State Visit in the East Room of the White House in Washington, DC, August 2, 2016. / AFP / SAUL LOEB (Photo credit should read SAUL LOEB/AFP/Getty Images)
SAUL LOEB via Getty Images

アメリカのバラク・オバマ大統領は8月2日、大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏はアメリカ大統領として「不適格」だと批判した。共和党の指導部に対しても、なぜいまだにこの不動産王を支持し続けるのか、と問いかけた。実際、共和党指導者は毎日のようにトランプの発言を批判している。

この発言の発端は、7月28日の民主党全国大会で、イラク戦争で死亡した息子のフユマン・カーン陸軍大尉の両親キズル・カーン夫妻が演説し、トランプ氏のイスラム教への差別発言を批判したことにある。

キズルさんは「トランプ、あなたは何も犠牲にしていないではないか。あなたは合衆国憲法を読んだことがあるのか。私の憲法のパンフレットをお貸ししよう。そこから、自由や平等という言葉を探しなさい。そしてアーリントン墓地に行き、アメリカのために犠牲になった人たちの名前を見るがいい」と痛烈に批判した

合衆国憲法のパンフレットを手にトランプ氏を批判するカーン夫妻

キズルさんの演説に対し、トランプ氏は31日、ABCの番組「ディス・ウィーク」で「クリントンのスピーチライターが書いたんじゃないか」と反論し、妻のカザラさんがキズルさんと一緒に登壇したのにもかかわらずひと言も発言しなかったことに「彼女は発言が認められなかったじゃないか」と、あたかもイスラム教徒の女性だから演説できなかったかのように批判した。

イラク戦争で死亡した兵士の家族をトランプ氏が攻撃したことに対し、共和党内からも批判が殺到した。上院のミッチ・マコーネル院内総務は「カーン陸軍大尉は英雄だ。すべてのアメリカ国民が国を守る愛国者に敬意を払うべきだ」と述べた。また、ポール・ライアン下院議長も「カーン陸軍大尉たちの犠牲は常に尊いものであるべきだ」と語った。

2日の記者会見でトランプ氏の発言について尋ねられたオバマ大統領は、「トランプには国を指揮できない」と発言。今こそ、共和党の指導部は彼への支持を考え直すべきだとした。

「自分自身に問うべきです。彼の発言が受け入れられないと何度も激しい口調で言わなくてはならないのに、なぜいまだに彼を支持し続けるのだろうか?」と、オバマ大統領はマコーネル氏とライアン氏を名指しで批判した。「彼が、あなたたちの代表で間違いないのか?」

トランプ氏の失態は「たまにあること」ではないと、オバマ大統領は言った。

「これは毎日、毎週のことだ。彼らはトランプの発言から距離を置いている。トランプはアメリカの大統領として支持できる人物ではない、と言える時が来ないといけない」

マコーネル氏とライアン氏は、トランプ氏のイスラム教徒の入国禁止案(後に「テロリスト諸国」からアメリカに入国するイスラム教徒と修正している)に対して、またトランプ氏が開設していた「トランプ大学」が詐欺罪に問われた訴訟を担当する連邦地裁のゴンザロ・クリエル判事がメキシコ系であることを攻撃したことに対し、繰り返しトランプ氏を強く非難している

■ 「これは政策の不一致以上の問題だ」

フユマン・カーン大尉は、2004年、イラク派遣中に仲間の兵士たちを守るため、爆発物を積み込んだ車両に近づき死亡した。

父のキズルさんは31日のインタビューでマコーネル氏とライアン氏に向かって、トランプ氏と「手を切る」ように懇願した

マコーネル氏やライアン氏など共和党の指導者たちはカーン夫妻に共感する姿勢を見せているが、トランプ氏への支持を取り消していない。共和党指導者たちのこうした姿勢に、オバマ大統領は、彼らの非難は「ただむなしい」ものになっていると批判した。

「彼らの誠意を疑うわけではないが、ある時点でこう思うはずだ。このような発言をする人には、世界で最も強力な地位に就くための判断、気質、理解がない。なぜなら、多くの人々が、正しい行いをするホワイトハウスに頼っているからだ、と」

これは「政策の不一致」以上の問題だと、オバマ大統領は述べた。

「税制や外交政策について、共和党とは私やヒラリー・クリントンとまったく異なっていることは理解している。だが、これまでに意見が一致しない共和党の大統領は存在した。それでも彼らが大統領として機能しないとは思わなかった」

オバマ大統領は、大統領選挙で争った共和党のジョン・マケイン上院議員やミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事との政策論争を思い浮かべた。その時でさえ「彼らには大統領の仕事ができないとは思わなかった」という。

「もし彼らが勝利していたら、私は落胆しただろうが、すべてのアメリカ人に『この人は大統領だ。一定の基準と規則、常識に従って、基本的な責務を果たしてくれるだろう』と言っただろう」と、オバマ大統領は述べた。「しかし、今回はそのような状況ではない」

トランプ氏は2日、これに応戦し、オバマ大統領とヒラリー・クリントン氏を批判、世界を不安定にさせていると述べた

「オバマは指導者失格だ。クリントン国務長官と共に作った外交政策は、世界を不安定にさせ、危険な場所にしてしまった。彼こそ大統領に不適格だ。ヒラリー・クリントンも同じく不適格だ」と、トランプ氏は声明で述べた。

オバマ大統領はアメリカ史上最悪の大統領としてその名を歴史に刻むだろう!

トランプ氏はさらに、オバマ氏とクリントン氏がアメリカ国内に「外国人犯罪者を野放しにしている」と語った。しかし、オバマ大統領が指示した国外退去の数は近年のどの大統領よりも多い。トランプ氏は7月、彼の所有するフロリダのマー・アー・ラゴ・クラブとトランプ・ナショナル・ゴルフ・クラブに外国人労働者を取り込むための短期ビザを申請した。Buzzfeed Newsによると、トランプ氏はそこで働くアメリカ人が不足していると主張したという。

ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた嘘ばかりつき極度に外国人を嫌い人種差別主義者ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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