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「裁判官の想像力が欠けている」弁護士が批判 職場での旧姓使用を認めない地裁判決に矛盾

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UCHIKOSHI
最高裁判決を受けた報告会で、夫婦別姓実現に向け決意表明する原告団=2015年12月16日、東京・永田町の参院議員会館 | 時事通信社
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私立中高一貫校「日大三高・中学」(東京都町田市)の女性教諭が、職場での旧姓使用と損害賠償を学校法人に求めた訴訟で、10月11日、東京地裁(小野瀬厚裁判長)は旧姓使用を認めない学校側に違法行為はないとして、女性の請求を棄却した。

一方、最高裁は2015年、この判決と矛盾する判断をしていた。

2015年12月16日、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は夫婦別姓を認めない規定は合憲とする初の判断を示した。その判断で理由の1つとして挙げていたのが、「旧姓を通称としての使用が広まることで、不利益は一定程度緩和される」というものだった。この判断によって、職場などで旧姓使用ができると考えられるが、11日の東京地裁の判決は、それと真逆だった。

夫婦別姓訴訟弁護団で事務局長を務めた打越さく良弁護士は、ハフポスト日本版の取材に対し、以下のように話した。

——判決をどう考えますか

もちろんおかしいですよね、形式的に捉えただけの判決でしょう。

夫婦別姓訴訟で最高裁では「旧姓を通称としての使用が広まることで、不利益は一定程度緩和される」と言ったのですから。「旧姓を使えばいいじゃないか」って言ってたのに、地裁では今度は「旧姓もダメ」って、矛盾していますよね。名前を変えた多くの女性たちの不利益がそのまま放置されている。むしろこの結果を持って「ほらやっぱり、夫婦別姓が必要なのではないですか?」と、もう一度最高裁の判断を問いたいですね。

——このニュースを報じたハフポスト日本版に対して「結婚しなければいいじゃないか」「結婚時に改姓に合意したんじゃないのか」「男性側改姓の選択もあったはずだ」というコメントも寄せられています。

人には婚姻の自由がある。しかし「結婚するにはどうしたらいいか」を考えるとどちらかが嫌でも改姓しなくてはいけないという現状がある。私たちは、二者択一ではいけないと主張してきました。「名前を名乗り続けることを捨てるか、婚姻を諦めるか、どっちかにしなさい」というのはおかしいのではないですか。

さらに、女性が夫の姓を名乗る割合が96%というのが実情ですから、社会の中には何となく「女性が改姓するもんだ」という有形無形の圧力があります。その圧力によって女性が名前を変えることは「意思に反してる」と言えます。

——今回の判決を下した裁判官3人全員が男性で、女性はゼロでした

夫婦で同じ姓を使うことによる不利益は、一般的に女性側が被っています。だから、男性は実感としてわからないんでしょうかね。夫婦別姓訴訟について判断した最高裁大法廷でも、15人の裁判官のうち女性は3人だけでした。夫婦別姓を認めないことに対して、15人の裁判官のうち5人が「違憲」だとする意見を述べましたが、3人の女性裁判官は全員が「違憲」と判断していました。

——男女の違いが判断に影響を及ぼしたと

それだけとも言い切れません。最高裁で「違憲」とした残りの2人は男性裁判官ですが、その2人は弁護士、つまり民間出身でした。男女の差もありますが、裁判官という職業が世間のことや民間での働き方がどんなものかについての想像力が欠けているという事情もあるのではないでしょうか。

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100年前、働く女性たちの姿
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