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過労自殺で揺れる電通「働きやすい企業」認定を返上 「一連の事態を重く受け止め辞退」【UPDATE】

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電通 | Issei Kato / Reuters
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2015年12月に新入社員の女性が過労自殺した電通が、労働時間の短縮や子育てする社員へのサポートに取り組んだ働きやすい企業に認定されていたことについて、電通は11月1日に厚生労働省・東京労働局に認定の辞退を申請し、承認された

返上理由について、電通広報部はハフポスト日本版の取材に対し「今回の一連の事態を重く受け止め、ご辞退申し上げました」と回答した。

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この認定は「くるみん認定」と呼ばれ、厚労相が「次世代育成支援対策推進法」に基づき、女性従業員の育児休業の取得率が高いことや、残業削減などに取り組んでいるなど一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として認定する。

「くるみん認定」を受けた企業は、広告などに「くるみんマーク」を表示でき、高水準の労働条件の実現に取り組んでいる企業であるとアピールできる。2016年6月末現在で2570社が認定を受けている。

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電通は2007年、2013年、2015年にの3回にわたって「くるみん認定」を受けていた。

ただ、電通をめぐっては、2015年12月に新入社員の女性が過労自殺したほか、違法な長時間労働をさせたとして2014年6月には関西支社が、女性社員が自殺する約4カ月前の2015年8月には東京本社がそれぞれ是正勧告を受けていたことも発覚している。

こうした事態が起こっていながら、電通を働きやすい「子育てサポート企業」として認定していたことで、厚労省の責任を問う声も出ていた

塩崎恭久厚労相は28日の記者会見で「認定の取り消しを含めて、厳正に対処しなければいけない」と、認定を撤回する可能性を述べていた。その上で、「企業を認定する基準についても、より適切にしていかなければならない」と、くるみん認定の基準を見直す考えを示した。

■田村前厚労相「正しかったかどうか、私も反省する」

電通が2回目のくるみん認定を受けた当時、厚労相だった田村憲久氏が30日にNHK「日曜討論」に出演。田村氏は「(電通に)くるみんマークを出したこと自体が正しかったのかどうか、私も反省しなければならない」と、認定に問題があったとの認識を示した。その上で、「是正勧告をすれば(くるみん認定を)とり消すなり、これからも考えなければならない」と述べた。

また、残業の上限を事実上なくせる労働基準法36条の「36(サブロク)協定」についても、「よくよく考えると非人道的」と語り、見直しが必要との考えを示した。

「36(サブロク)協定」をめぐっては、政府が「1か月の残業時間に上限を設定する検討に入った」と、9月7日付の読売新聞が報じている

■過労自殺認定から返上まで1カ月以上 電通「労災認定は当社に通知されるものではありません」

女性新入社員が2015年12月に過労自殺した件について、労災が認定されたのは2016年9月30日。その後、厚労省が電通に「くるみん認定」をしていたと報道があったのが10月26日だった。

その時点で「くるみん認定」を返上する考えはなかったのだろうか。ハフポスト日本版の取材に対し電通広報部は、「労災認定については、当社に通知されるものではありません」と回答。労災認定時には内容を把握していなかったという立場を示した。

確かに、「労災があったかどうか」の労基署の判断は働き手に伝えられ、企業側には直接通知されない。しかし、10月7日には遺族側が記者会見で過労死認定の事実を公表しており、そのことは各メディアが報じている

今後の労働環境の改善について、電通は「昨年から朝型勤務を推奨するため早朝勤務社員への朝食無料提供サービス、早朝勤務割増手当支給、ノー残業デーの実施や効率的な働き方に向けての取り組みを表彰する『TM(タイムマネジメント)アワード』等を実施しています」とした上で、「今後もより良い施策を検討しつつ、引き続き働き方改革を推進していく予定です」と答えた。

【UPDATE】2016/11/02 20:56
電通広報部の回答を受け、記事を更新しました。