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天皇陛下の生前退位で有識者ヒアリング、「憲法違反に近い」と反対意見も

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生前退位について論議する「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を終え、記者会見する座長の今井敬経団連名誉会長(左)と座長代理の御厨貴東大名誉教授=17日、東京・首相官邸  撮影日:2016年10月17日 | 時事通信社
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天皇陛下の生前退位に関して政府が設けた諮問機関「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」が11月7日、憲法や皇室制度の専門家らを招いたヒアリングを始めた。この日は5人が意見を述べたが、退位に対しては5人のうち2人が賛成、2人が反対、1人が慎重とする内容となり、意見が割れた。

この日見解を提出したのは、平川祐弘・東大名誉教授、古川隆久・日大教授、ノンフィクション作家の保阪正康氏、大原康男・国学院大名誉教授、所功・京都産業大名誉教授の5人。それぞれの意見は以下のようになっていた。

■反対・慎重の意見

平川祐弘・東大名誉教授

天皇は日本の歴史上の存在。今の陛下は国民統合の象徴としての責務を国事行為だけではなく「旅」にあると表現され、自ら開拓した自負心をのぞかせたことはその通り。それを次の皇位継承者へも引き継がせたいご意向だが、個人的解釈による役割を次の天皇へも課することになる。ご自分で拡大解釈した責務を果たせなくなるといけないから次に引き継ぎたいという個人的なお望みをテレビで発表されたのは異例だ。それを特例法で対応するなら憲法違反に近い。悪しき前例となり皇統が内側から崩れかねない。

また、会議後、記者団に「(天皇陛下が)ご自分で定義された天皇の役割を果たせないから退位したいというのはおかしい」と述べた

大原康男・国学院大名誉教授
1つの「平成」元号の下で陛下とともに歩むということが国民の一体感が国の安定と調和を保ってきた。「ご存在」の継続そのものが国民統合の要となっている。ご公務だけが象徴を担保するものではない。「生前退位」制度ではなく、皇室典範の改正で、高齢を退位できる条件に加え摂政を置くことを提案する。

古川隆久・日大教授
皇位継承の安定性確保のためには避けるべき。しかし、安定性が多少とも損なわれる可能性を承知の上で、国民の意志として天皇の意向である生前退位を認めるのであれば、それを否定すべき理由はない。ただし、その場合は、有識者会議が国民に必要な情報提供を行った上での世論の動向が判断の根拠となるべき。認める場合、典範改正により恒久制度化すべき。

■賛成の意見

ノンフィクション作家の保阪正康氏
現在の憲法と一体化、あるいはその精神とつながる形の皇室典範(あるいは皇室法)が望ましい。今なら新しい視点で改正できるはずである。特例法によって「生前退位」を認めるにしても、それは現在の皇室典範の改正を前提としての法律でなければならない。

記者団に「陛下がお気持ちを述べているので、私たちの時代で新しい皇室典範をつくる(べきだ)」と主張した

所功・京都産業大名誉教授
高齢化のみを理由に決心された「高齢譲位」の問題提起を真摯に受けとめる。その御意向に沿った現実的な法整備のため、単行の特別法を迅速に制定して(もし時間的に可能ならば皇室典範の第4条などを改正して)、その実現に必要な関連事項の検討も早急に進めて頂きたい。

■有識者会議の進め方

ヒアリングでは、(1)天皇の役割(2)天皇の公務(3)公務負担軽減の方法(4)摂政の設置(5)国事行為の委任(6)退位の是非(7)退位の制度化(8)退位後の地位や活動について、という8項目に対しての意見を求めていた。

会議は座長を今井敬経団連名誉会長が務め、座長代理に御厨貴東京大名誉教授が選任されている。初回となった7日に続いて計3回のヒアリングの実施が予定され、会議のメンバーとの意見交換を経て2016年末~年明けに論点を整理して公表、その後、政府は2017年の通常国会での関連法案の提出を目指している

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