トランプ氏、台湾総統と異例の電話会談 中国外相「台湾のくだらない小細工」と激しく非難

アメリカ大統領や次期大統領と台湾総統の電話会談は、1979年の米台断交および米中国交正常化以来初めて。
Reuters

アメリカのドナルド・トランプ次期大統領は12月2日、台湾の蔡英文総統と電話で会談した。米台間の緊密な経済・政治・安全保障関係を確認した。ハフィントンポストUS版などが伝えた。

トランプ氏の政権移行チームによると、蔡氏は大統領選でのトランプ氏の勝利を祝福し、両者は「アメリカと台湾は経済・政治・安全保障で密接な関係にある」ことを確認したという。

ニューヨーク・タイムズなどによると、アメリカ大統領や次期大統領と台湾総統の電話会談は、1979年の米台断交および米中国交正常化以来初めて。

■米台トップの電話会談は異例のこと

アメリカは1979年、「中華人民共和国」との国交樹立のため台湾と断交。米台間は正式な国交がない非公式な関係となった。以来、アメリカは「中華人民共和国」のみを中国として承認し、中国政府が掲げる「一つの中国」政策を認める形をとっている。そのため、今回の電話会談は極めて異例で、今後の米中関係に影響を与える可能性がある。

加えて、蔡氏が率いる民進党は台湾の独立志向が強く、中国政府の反発は必至とみられる。

トランプ氏はTwitterで、「台湾の総統が私に電話してきた」と強調した文章を投稿。さらに、「米国が台湾へ巨額の軍備を売却しているのに、私が祝福の電話を受けるべきではないというのは興味深い」と、電話会談に問題はないという認識を示した。

一方で、台湾メディアの「台北タイムス」は、今回の会談がトランプ氏側が手配したものだと報じている。

■中国政府とオバマ政権の反応は

中国・王毅外相

AP通信によると、中国の王毅外相は「アメリカが長年にわたって支持してきた『一つの中国』政策を変えることはできない」とアメリカ側をけん制した。

また、AP通信は香港のフェニックスTVの報道を引用する形で、王氏が「くだらない小細工だ」と台湾側を非難したと伝えた。

CNNによると、中国国営メディアCCTVも「外交儀礼からの逸脱だ」と声明を発表した。

中国国営の中国中央テレビ局(CCTV)は即座に声明を出し、トランプ氏の動きは「一つの中国原則や、米国と中国本土との間で受け入れられている外交儀礼からの前例のない逸脱」だと評した。中国政府からの反応は現時点でないとしている。そのうえで「中国本土は米政府と台湾当局との間のいかなる公式な接触にも断固として反対すると意向を示している」と伝えた。

CNN.co.jp : トランプ氏、台湾総統と電話会談 対中関係に影響も - (1/2)より 2016/12/03 10:15)

ホワイトハウスも、中台関係をめぐるアメリカの姿勢に「変化はない」と火消しに回っている。国家安全保障会議(NSC)のプライス報道官は「我々は『一つの中国』政策にコミットしている」とした上で、「平和で安定した中台関係の維持がアメリカの国益である」と述べた

トランプ氏と蔡氏の会談について、ホワイトハウスや国務省には事前の報告はなかったとCNNなどは報じている

■橋下徹氏「日本も以前と同じことを前提としていたら痛い目に遭う」

前大阪市長の橋下徹氏は12月3日にTwitterで、トランプ氏と蔡氏の会談について言及。トランプ氏の外交手腕について「自分で世界秩序を作りに行ってる」と評価した上で、「日本にとってもこれまでの不合理・不条理を改める大チャンスだ」と分析している。

注目記事