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佐藤康光九段ってどんな人? 将棋連盟の新会長は「1秒間に1億と3手読む棋士」

2017年02月06日 16時54分 JST | 更新 2017年02月06日 21時40分 JST
Kei Yoshikawa

日本将棋連盟は2月6日、将棋ソフト不正使用疑惑をめぐり混乱を招いたとして辞任した谷川浩司・前会長(54、九段)に代わり、佐藤康光九段(47)を新会長に選出した。

【これまでの経緯は⇒】将棋不正疑惑、証拠なし 三浦弘行九段「なんでこんな仕打ちを...」

対局中の将棋ソフト不正使用疑惑を指摘された三浦弘行九段(42)が、第三者調査委員会の調査で「不正の証拠はない」と認められた一連の騒動で混乱を招いたとして、谷川氏と島朗・常務理事(53、九段)の引責辞任が1月19日の理事会で承認された

これを受けて、佐藤九段と井上慶太九段(53)が理事選に立候補し、2月6日午後の臨時棋士総会で両氏の理事就任が承認された。総会後、連盟の理事会が開かれ、佐藤九段が連盟新会長に選出された。日本将棋連盟の会長は理事の互選で選出される。

■「1秒間に1億と3手読む男」佐藤康光九段ってどんな棋士?

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日本将棋連盟の公式サイト「棋士データベース」より

佐藤康光九段は1969年、京都府八幡市出身。「A級」に在籍する国内トップ棋士の一人。1987年にプロ入りし、1993年「竜王戦」で当時の羽生善治五冠を破って初タイトルを獲得。名人、棋聖などタイトル獲得は通算13期。「永世棋聖」の資格を持つ。

序盤研究の広さと深さは棋界でも随一と言われ、先手番で圧倒的な強さを発揮する。深く鋭い読みに定評があり、定跡にとらわれない独創的な一手を指すことも。「1秒間に1億手を読む」とされるコンピューターと比較し、「1秒間に1億と3手読む」と称えられ、その正確な棋風は「緻密流」と呼ばれる。

朝日新聞(2014年3月12日朝刊)によると、集中力の高さから、対局中に注文した出前(肉豆腐定食)を忘れ、外に食事に出てしまったことも。出前のことを思い出したのは対局翌日だったという(「第72期名人戦」A級8回戦でのエピソード)。

親友である先崎学九段などは、甘いマスクと名前にかけて「モテ光君」と呼ぶことも。一部ファンからは「モテ」という愛称で親しまれている。2002年の「王将戦」(対 羽生善治・王将)では、対局時のおやつに大量のキウイを注文し、王将位を奪取。インターネット上では「キウイ王将」という呼び名もつけられた。

佐藤九段の会長就任は、谷川前会長の退任表明後から有力視されていた。谷川前会長は後任人事について、「将棋連盟の代表なので、実績・知名度がある方が相応しいのでは」と退任会見で述べていた。

一方で、会長職は極めて多忙とされ、以前から「現役棋士が兼務すると、研究の時間が思うようにとれない」といった声も。A級棋士だった谷川氏も会長就任後は成績が低迷、A級から陥落している。

Twitterでは、将棋不正ソフト問題をめぐる混乱から「将棋連盟の運営に専念できるよう、引退した棋士や外部からの招聘を考えるべきだ」といった意見も出ている。また、谷川前会長の実兄・谷川俊昭氏らは「三浦九段の名誉回復」「渡辺竜王らに適正な処分」を求める署名活動をしており、将棋不正ソフト疑惑をめぐる一連の問題がまだ尾を引いている。

混乱する棋界を、佐藤新会長はどう立て直すのか。6日午後、就任会見で今後の運営について語るものとみられる。

【就任会見の模様は⇒】プロ棋士28人、将棋連盟の理事5人の解任求める 佐藤康光会長の就任会見(詳報)