カール、東日本での販売終了。ポテト系スナックの優位に苦しむ

1968年の発売以来親しまれたロングセラー菓子が、東日本から姿を消すことになる。
明治

製菓大手の明治は、スナック菓子「カール」について、8月生産分をもって全国販売を中止し、販売地域を関西地域(滋賀・京都・奈良・和歌山)以西の西日本地域に限定すると5月25日、発表した。1968年の発売以来親しまれたロングセラー菓子が9月以降、中部地域(福井・岐阜・三重)以東の東日本から姿を消すことになる。

合わせて、同社は「カール」ブランドの商品を整理。「カールチーズあじ」「カールうすあじ」の2種類のみを残し、それ以外の「カールカレーあじ」「大人の贅沢カール」「小つぶカール」は販売終了する。

カールは1968年に発売。試作の結果、子供向けの「チーズがけ」と大人向けでおつまみとしても食べられる「チキンスープ」味の2種を売り出した。「お菓子=甘い」というイメージが強かった当時、日本のスナック菓子の先駆けとなった。

ハフポスト日本版は明治広報部の担当者に、全国販売終了とブランド縮小について、詳しい話を聞いた。

――全国販売を終了した理由を教えてください。

1968年の発売開始以来、長きにわたってご愛顧いただきましたが、ニーズの変化などで収益性が悪化していました。スナック菓子市場はジャガイモを原材料とするポテト系スナックの優位が続き、長期的に販売が低迷していました。

3年前からブランドをどうするか検討し始め、一時は「カール」の全面的販売中止も考えましたが、「長きに渡ってご愛顧いただいた商品なので、なんとか残せないか」と社内で検討し、収益性などを鑑みて、西日本限定での発売とさせていただきました。

――「カールチーズあじ」「カールうすあじ」2種類のみが残った理由は。

各商品の売り上げを考慮し、「カールチーズあじ」と「カールうすあじ」の2種類を残すことになりました。

――東日本ではなく、西日本限定となった理由はありますか。

現在、カールの生産拠点は全国5カ所にありますが、これを四国にある子会社「四国明治」の生産拠点1カ所に集約する形になります。そのため生産、物流等を考えると、西日本限定というかたちにさせていただくことになりました。

――東日本の「カール」ファンは、今後どうすれば良いでしょうか。

大変申し訳ないのですが、西日本限定となってしまうので、そちらで購入していただくしか…。また、明治としては通販での販売は考えておりません。本当に申し訳ありません…。

――商品名「カール」の由来は。

これについては諸説ありまして。もともとは商品の形状から「巻く」という意味の「Curl(カール)」と名付けようとしたようですが、商標登録ができなかったようです。そのため歴史上の人物カール・ビスマルク(Karl BISMARCK)から「カール(Karl)と名付けられたそうです。また「軽い」食感から「軽い」⇒「かるい」⇒「かーる」となったという説もあります。ただ、なにぶん発売開始が1968年のことなので当時のことを知る人もおらず…。

――全国のカールファンに向けてメッセージはありますか。

当初は全面的に販売中止という話も出ていたのですが、なんとかブランドの継続を模索しましたが、西日本限定という形になってしまいました。

東日本のみなさまには、長い間愛していただき本当にありがとうございました。西日本だけの販売にはなりますが、今後も変わらぬご愛顧をいただければ幸いです。

■「カール」が発売された1968年はこんな時代だった。

・メキシコシティオリンピック

・川端康成氏がノーベル文学賞を受賞

・小笠原諸島、日本に返還

・三億円事件

・「週刊少年ジャンプ」創刊

・ニッポン放送で「オールナイト・ニッポン」放送開始

・十勝沖地震

【UPDATE】(2017/05/26 9:21)内容を一部更新しました。

▼カール画像集▼

カールうすあじ

明治のカール


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