「自分自身の足で動ける喜びを感じます」カンヌで表彰された日本製の車いすとは?

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「COGY(コギー)」の体験者 | 「COGY あきらめない人の車いす。」公式サイトより
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COGY(コギー)あきらめない人の車いす」が世界最大級の広告・クリエイティブの祭典「カンヌライオンズ」のプロダクトデザイン部門で銅賞を受賞した。

同部門は2014年度から新設され、「人々の暮らしをより良くし、生活にポジティブなインパクトをもたらす製品」を表彰してきた。

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プロダクトデザイン部門の発表

ハフポスト日本版の取材に対し、COGYの事業プロデュースとPRを手がけた会社「The Breakthrough Company GO」の三浦崇宏さんは「カンヌライオンズの会場内で実施されたデモンストレーションでも、各国からの参加者がCOGYの革新的な技術に驚いていた」と話した。

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現地でデモンストレーションの準備をする三浦さんとチームのメンバー

■「COGY(コギー)」とは

COGYは、足が不自由な人でもペダルを漕ぐことで前に進むことができる車いす。東北大学大学院医学系研究科客員教授 半田康延博士グループが研究開発し、株式会社TESSが製造・販売している。

通常、人が歩行する時には、脳が脊髄を介して信号を送ることで足を動かす。足の不自由な人は、この脳からの司令がうまく足に伝わらないという状態だ。

COGYは、脳からの司令を足に伝えることによって足を動かすのでなく、「右足を動かしたあとは左足を動かす」という人間の原始的な「反射」を利用して、乗る人がペダルを漕ぐことができる仕組みになっている。

「革新的なのは、この『反射』に着目した点と、反射をサポートするためのペダルの軽さなのです」とTESSの鈴木堅之社長は話す。

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「COGY あきらめない人の車いす。」公式サイトより

■COGYのプロモーションは「"宣伝"ではなく"ドキュメンタリー"だった」

COGYのプロモーション用の動画は、公開直後からネット上で大きな話題を呼んでいた。

三浦さんは「撮影の時は100%ドキュメンタリーにこだわった」と話す。

出演したのは、生まれつき全身マヒの女性や、事故で下半身マヒになった男性など8名。

三浦さんによると、撮影当初は出演者も制作陣も緊張しており、現場はかなりピリピリしていたという。

「本当に前に進むことができるのか懐疑的な気持ちで参加している人もいました。でも結果として、すべての出演者が足を動かすことができ、ご家族や友人などを含めて、感動して涙を流す人もいました」と三浦さんは語った。

■「自分の足で進む喜び」を届けたい

何の問題もなく歩いたり走ったりできる人からすれば、「普通の車いすと何が違うの?」と思うかもしれない。

しかし、この動画は、身体を自由に動かすことが難しい人にとって、「自分の足を使って前に進む」という体験や感覚が計り知れないほど大きな希望になったことを映し出している。

プロモーション動画に出演する伊藤来夢さんは「一度はもう全く動かなくなった足で、ここで終わりなんだろうなと思っていたんですけど、うれしさが体験できたっていう気がしています」と心情を語っている。

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TESSの鈴木社長によると、購入者からは「自分自身の足で動ける喜びを感じます」「明日も乗りたくなる」などの声が届いているという。

鈴木社長は、公式サイトで製品づくりへの思いを綴っている。

大好きなスポーツに熱中したい。お孫さんと一緒に、ご夫婦でのんびり散策したい。書道や絵画、楽器演奏を楽しみたい。ショッピングやカラオケでストレス発散。などなど、生活の楽しみ方は一人ひとり異なるはずです。「一人のため」「一人の想い」に力を貸すことは一律・公平を原則とする行政では非常に難しいことでしょう。

また、営利を追求する企業の範疇ではないことは明らかです。しかし、非効率に見えても利益にならないように見えても、はるかに換えがたい大切なものを実現させたいという信念のもとに私たちは株式会社TESSを設立いたしました。

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▼「カンヌライオンズ」とは?

世界最大級の広告・コミュニケーションのフェスティバル。1954年の創設以来、毎年6月下旬にフランスのカンヌで開催される。

映画のようなドラマチックな広告表現や、新しい生き方を提案するクリエイティブが評価されてきた。近年は、「プロダクト・デザイン部門」などの新設にも見られる様に、表現面での評価に加えて、効果や実利も重要視されている。 関連記事

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