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尊厳死裁判の赤ちゃん、両親が治療を断念 「多くの時間がムダにされた」声明で怒り

2017年07月24日 23時15分 JST | 更新 2017年07月24日 23時15分 JST
charlie gard

入院先のロンドン市内の病院で尊厳死を勧められていたイギリス人の赤ちゃんの両親が7月24日、治療を断念すると発表した

アメリカで治療を受けるために裁判を続けていたが、同国の医師から「治療を始めるには遅すぎる」と言われたのが理由だという。

論争の的になった赤ちゃんは、生後11カ月のチャーリー・ガードくん。「ミトコンドリアDNA枯渇症候群」という深刻な難病のために、自力で呼吸もできない。

医師団はチャーリーくんに「脳に回復不能の損傷がある」と診断。両親に尊厳死を勧めたが、両親は実験的な治療を受けさせるために、チャーリーくんをアメリカに連れて行きたいと希望し、裁判となった。

イギリスの高等法院は4月、これ以上の治療継続はチャーリーくんに不要な苦しみを与えることになるとして、病院側が求める尊厳死を認めた。両親は上告したが、イギリス最高裁と欧州人権裁は6月に棄却。両親が求める国外治療を禁じた。

7月にはイギリス高等法院は、治療法についての「新たな証拠」が提出されたとして、審理を再開。25日に判断が下される見通しとなっていた。

両親は今回、この判断を前に、法廷闘争に終止符を打ったかたちだ。この結論を出すきっかけとなったのは、7月中旬にロンドンを訪問したアメリカ・コロンビア大学の専門医、平野道雄博士らによるMRI検査だった。平野医師らの診断で、チャーリーくんの筋肉の消耗状態が判明。治療を受けるには、すでに手遅れだということが確認されたという。

3月から始まった法廷闘争は4カ月が経過。チャーリーくんの母は声明のなかで、チャーリーくんの筋肉の症状が悪化した原因のひとつに「時間の浪費」があったと批判。「多くの時間がムダにされた」と述べた。

「今年の1月と4月に治療が開始されなかった理由は、チャーリーの『脳に回復不能の損傷がある』とされ、治療は無駄であると考えられたからです」

両親は、今回の決断を下すことは、すなわち、チャーリーくんが1歳の誕生日を迎える8月まで生きられないことになると明かし、「私たちは、チャーリーを救うことができず、本当に残念だ」などと述べた。

一方で両親は「チャーリーがまるで、生きるチャンスがないかのように言われたが、彼は戦士だった」と振り返った。

「息子が世界にもたらした影響を否定することはできません。彼の遺産は、決して死ぬことはありません。チャーリーは、多くの人が人生の中でやるよりも、11カ月でこの世でより多くの人々に大きな影響を与えてきたのです」。