あの人のことば

「本当はみんな、投票にモヤモヤしてるんでしょ」 ウーマン村本大輔が選挙に行かなかった“ワケ”を語る

「非国民」か、「目立ちたがり屋」か。「投票に行かなかった」真意は…

2017年10月27日 18時40分 JST | 更新 2017年10月29日 10時28分 JST
Kei Yoshikawa
インタビューに答えるウーマンラッシュアワーの村本大輔さん(2017年10月26日= 吉本興業東京本部)

「声を大にして言う。僕は今年は選挙に行かなかった」――。お笑い芸人「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さんが、衆議院選挙の投開票日の翌日にそんなツイートをしたところ、約6000回もリツイートされ、炎上した。

選挙権は、国会に送る自分たちの代表を選べる大切な権利だ。できれば有権者全員が投票にいってほしい。

村本さんは「義務を果たしていない」「民主主義を否定している」などと、多くの批判を浴びた。

彼は「非国民」なのか、単なる「目立ちたがり屋」なのか、それとも...。吉本興業東京本部でハフポスト日本版の取材に応じた村本さんは「一票の重み、と言われてもピンと来ないし、本当はみんなもモヤモヤしてるんでしょ。正論ばかりだと、投票行かなかった奴に伝わらない」と約90分間、しゃべりつづけた。

■「すべらない話」から、政治に興味を持った

Kei Yoshikawa

——どうして「投票に行かなかった」というツイートをしたのですか。

それを説明する前に、少しさかのぼって、自分がなぜ政治の話をするようになったのかをしゃべって良いですか。

——はい。

AbemaTVの「AbemaPrime」というネットのニュース番組の司会など、ここ3年ぐらいで政治にかかわる仕事に呼ばれるようになりました。

これはもともと、東京に来てTHE MANZA Iで優勝(2013年)し、(フジテレビ系のトーク番組)「人志松本のすべらない話」に出させてもらって、その打ち上げがきっかけだったんです。

たまたま(同じフジテレビの)「ワイドナショー」のスタッフさんがいたんですね。「次、誰を番組に出すか」という話をしていました。

テレビに出たかったので「出してください」と頼んだんです。「しゃべれるの?そういう(政治的な)話」と言われたときに、とりあえず「しゃべれる」って言うしかないじゃないですか。本当は全く知らなくて、新聞を読んだことがなかった。

そこから勉強を始め、テレビで政治の発言をして、それをAbemaPrimeの人が見てくれていて、番組に呼ばれるようになりました。

■ウーマン村本流「政治の勉強法」とは

時事通信社
党首討論会で握手する希望の党代表の小池百合子東京都知事(中央)ら=8日、東京都千代田区 撮影日:2017年10月08日

今回の選挙も、(解散が決まってから投開票日まで)数週間で、朝日新聞、日経新聞、読売新聞を読みながら、堀潤さんなど政治に詳しいジャーナリストに電話をして「これどうなんですか?」と聞きました。

「番組でしゃべらないと」というのと、「投票に行かなきゃいけないな」というのが理由です。でも、調べれば調べるほど、わからなくなるんですよね。

例えば、僕は脱原発派です。そして、僕の地元は(大飯原発がある)福井県のおおい町なんです。「脱原発」を嫌がる地元の人もいる。原発で雇用があってご飯食べていけるから。3カ月原発が止まっただけで旅館が潰れたりするんですよ。作業員の人が泊まったりするから。

脱原発したいけど、「脱原発したらどうなるか」はどこにも書いていない。例えば日本が病気だとして、政治家が医者で、公約が薬だとすれば、脱原発が「がん」という病気だとしたら、抗がん剤で頭の毛が抜けるという副作用が、政治家の口から出ないし、公約にも書いていない。

■白票に意味はあるのか

Kei Yoshikawa

だから、それでいいのかな?って思って。はじめは(投票用紙に何も書かない)白票を入れようと思った。でも、ある政治家の人が「政治家は、自分に入った票は気にするけど、白票を見て『今回はこれだけあったのか!』とは気にしないよ」と言うんです。

ますます混乱して、色々な人に「今回の選挙、誰に投票する?」と聞きまくった。居酒屋で隣になった、おっちゃんにも聞いた。

ネットのような熱い意見を言う人はいなくて、ほとんどの人が「地域で自民党を応援してるから自民党に入れようかなぁ」とか「宗教的な理由で」とか「大学の時の尊敬する先生が、いいと言ったから」って。でも、それは「自分の一票」といえるのかな、と。

今、Instagramで「選挙行きましたか」といろいろな人に聞いて、撮って回っているんですよ。タクシーの運転手さんから、街中で会った人まで。

少なくとも周りでは、「一票の重みを」とか「大人だから選挙に行こう」などを、自分の言葉で具体的に論じられるような人が誰もいなかった。だから「投票に行かなかった」とツイートして、投票について考えたかったんですね。

■ウソの情報に踊らされても、一票に価値はあるのか。

Neil Hall / Reuters
イギリスの国民投票でEUからの離脱を呼びかける人々

フェイクニュースについても考えてました。例えばイギリスがEU離脱を決めた国民投票の時も、「イギリスは膨大なお金をEUに払っていて、離脱すれば、国民保険に回せる。損をしている」という訴えがネットなどで流れ、あとで誇張だと分かった。

アメリカの大統領選では、ヒラリー・クリントン氏が、児童虐待の団体に関与しているというフェイクニュースが流れ、信じた人がその団体の拠点とされたピザ屋にライフル持って乗り込んだ。全部イメージで人が動いていたんです。

それで今回の選挙。(公示から投開票日まで約2週間しかないのに)短い間で、どうやって投票先を決めるのか。

たとえば「希望の党の小池百合子(東京都知事)さんは、すごい女の人なので、バリバリ活躍する世の中にしてくれそうな匂いがする」というイメージがあった。

でも、「排除」と言う言葉を発言したらテレビのコメンテーターが「あの人はひどい」と言って、するとまたそのイメージで希望の党に入れなくなるんですよ。

■本当はみんな「モヤモヤ」してるんでしょ

Kei Yoshikawa

僕が言ってることって間違っていることも多いと思います。でも選挙に行くのって、みんなモヤモヤしてると思うんですよね。

モヤモヤしてるけど、モヤモヤしたことを、「別にまあいいか」と思ってて投票に行ける人もいれば、「モヤモヤすることが気持ち悪い」から投票に行かない人という人もいる。

国際政治学者の三浦瑠麗さんがテレビで僕に、意識が低いのは「国民のせい」ということを言っていたんです(※注1)

(※注1):2017年10月23日放映のテレビ朝日系「選挙ステーション2017(第2部)」で、村本が共謀罪要件を含む「テロ等準備罪」などに関連して「国民の(政治)意識の低さは、国民のせいですか?」と尋ね、三浦氏が「国民のせいですね。だってそういう国は滅びちゃうわけだから」と答えている。

立川志らくさんも「政治家を選ぶ権利はもはや義務に近い」とTweetしていました。

「投票をしないといけない」という意見は山ほど聞いている。でも、投票行かない人だってみんな、そういう理屈は色々聞いていると思うんです。でも、結局そういう人は、「投票行かなかった。やっぱり自分はダメですよね」ってなっちゃうんです。

政治は、公立の学校みたいなもの。アホにも賢い奴にも「平等に教えろ」と思うんですよ。今は、国会や政治に普段から興味がある奴だけで決めている。

学校で言えば、職員室に勉強を聞きに来るやつだけの学校になってはいけない。体育館裏でタバコを吸っているやつにも、「この学校のことだから」と、しっかりと先生が言って教えてやらないと。

■「愛ある一票」を投じるために

Kei Yoshikawa

――今回の衆院選の投票率は53.68%。たとえ投票したとしてても、村本さんの話だと「本当の意味での、一票の重みを考えていない人もいる」ということですね。どうやったらモヤモヤが消えて、「愛ある一票」を入れられますか?

僕らが、「自分は馬鹿だ」と言うことを自覚することから始まると思います。

「俺は知っている」という奴らがいるから、自分の無知を言いにくくなっているところがある。お父さんが子どもに、「俺もわからないし、お前もわからないと思うから、政治の話、国の話を一緒にしてみないか」「みんなわからないから、みんな一緒に考えていこうよ」みたいなことを言わないと。政治を知ってるってウソをついてもダメです。

Twitterとかで「選挙行け」とか言ってるやつも、どっか語りたいんだと思う。僕を叩くことで「僕は政治をこんな語れるんだ」ってことを見せたいという欲求があるんだと思います。もっと違う場で、周りにそう語ってくれたら、政治はもっと身近になりますよね。

僕が政治について話し始めてから、普通の芸人とか、普通に一般で働いてる人たちとかとの会話の温度差が出てきました。

お笑いコンビ「平成ノブシコブシ」の吉村崇は記者会見で、「(村本は)何か急に政治的な発言をしたり、いろんなことをやっているんですけど、ちょっとテンパってるなっていう気がしますね」とコメントしました。それはそう見えるだろうし、「評論」だから良いですけど、もっと芸人が当たり前に楽屋でしゃべれたらいいですね。

――政治のモヤモヤを解消するため、政策を勉強して、すべての立候補者の発言を逐一追って、一票を入れるとしたら、1年や2年かかるかもしれない。まずは今の知識で良いから「とりあえず投票しろ」という声もあると思います。

おっしゃるとおりで、僕もそう思う。でも、どこまでが「とりあえず」なのかが、わからないんですよね。

「テロ等準備罪」とか「安保法」とか、世の中に全然伝わってないじゃないですか。その「とりあえず一票」で「憲法改正があるかもしれない。いいのかな」というのが、どこかにあるんですよ。

たとえ白票を投じたとしても、その集計を見た政治家が本当に「クソ!」と悔しがって、壁を殴るのかと。そうじゃないと思うんですよ。

――でも、投票しなければ政権は変わらず、今の与党を追認する、利することになるかもしれない。

ほんとそうだと思います。そうなんですよ。それは正しいんですよ。でも、「正しいんですけど...」で終わっちゃうんですよ。

僕は家から100メートルぐらいのところに投票所がありますから。行こうと思えば行ける。

でも、「投票に行こう」という声が響かないんですよ。

もし、(政治家が)目の前に来て顔を近づけて、「おまえが投票しなかったおかげで当選したわー」って来たら、「しまった!!投票すればよかったわ」ってなると思います。

■「興味率」を上げたい

Kei Yoshikawa

――投票の棄権を「みんなに」呼びかけたいわけではないんですね。

そうです。結局は、選挙に行って欲しいんですよ。

――投票率を上げたいんですか。

(政治への)興味率をあげたい。

――興味率ってなんですか。

世の中って「とにかく投票に行こう」という真剣な呼びかけばっかりですが、そうじゃなくて「政治に興味を持とう」があって初めて「選挙に行こう」が成り立つと思うんですよ。「恋愛をしてセックスをしろ」と。今の「誰でも良いから一票入れろ」は「セックスをして大人になろう」になっている。

枝野さんとか安倍さんとか志位さんが、いろんな人が股を開げて「私たちに入れてください」と言う。それで周りが「誰でもいいからいれろ!大人なんだから!」みたいなこと言うわけですよ。そこには愛がない。

――「投票」をすすめる理屈として、「市民が勝ち取った権利だ」「行かないなら政治に文句を言うな」などがあります。こうした意見には説得されないんですか。

「投票に行け」って言う人たちは、無理矢理"不安"を作る。不満がずーっとあって、「解散総選挙、ヨッシャー!時代変えられるぜ!」と言う感じじゃなくて、政治家の都合で「はい、ここで解散。あれ、国民には不満あるかなぁ」みたいな。「子育て、確かに不満はあるかも...」みたいな。

政治家は政治家で、教育無償化やら脱原発やら保育園問題やら、自分の公約のアピールをしたがる。「さてさて。どれが票を取れるかな?」って急に商品を並べますよね。お祭りごっこに付き合わされてる気がする。

僕もねぇ、わからないなりに党首討論を見ました。がんばってテレビの前に座って、メモってね。

「あれ、おんなじような話を何回も聞いてるぞ」みたいな。違うチャンネルの党首討論を見ると、共産党がみんなに集中攻撃を受けていて、それで終わり。

「ちょっと、未来を語ってよ」と。「今の国難を語ってよ」と。「これがやばいから、こうしなきゃいけないんですよ」って言う話を聞きたい。

■有名人の「責任」はないの?

Kei Yoshikawa

——村本さんは、有名人で影響力はある。それで、村本さんのTweetを読んだ人が「村本さんが行かないなら、俺も行かなくていいや」って思う可能性もありませんか。18歳、19歳の投票を盛り上げようという動きに水を差しているのでは。

選挙の日、芸能人のツイッターをみたら「いまから投票行ってきます」「大人の証です」みたいなTweetがいっぱいありましたよね。あれを見て、どれだけの人が「私も投票にいこう」となるんだと。

やっぱり内側から変えないとダメなんですよ。(投票に)行った側の「行った」報告はいいんですよ。意識高いやつがどれだけ「勉強は大事だよ」「本は大事だよ」といったところで、本を読まないやつは読まないですよ。

正論をツイートするよりも、今回のように「行ってない」とツイートしたほうが関心を呼ぶと思うんですよね。僕と同じ人が半分近くいるわけだから。

ネットというのはある種、世の中でスカッと出来ない奴が来る「バッティングセンター」みたい。ストレス発散でバッターボックスに立つから、打ちやすい球を打っている。「投票しない」という叩きやすいツイートを打っている。

でも、叩かれることで「こいつなんでこんな叩かれるんだ」って考えてもらうキッカケになるかもしれない。「選挙行かないのは恥ずかしい」という恥ずかしさを、いちど目に見える形にしてみたかった。

――恥ずかしいと思っている人の、代表と言うか、代弁者ということでしょうか。

このままでは、「投票率がなぜ低かったのか」という話はされなくなりますよ。ニュースでは政治家の不倫や不祥事の話ばかりになって、また投票率低いことが当たり前になり、大きな憲法改正が決められて、「えー知らなかった」なんて怒るやつがいて。

政治をネタにするとテレビで怒られるんですよ。笑えない人もいるって。この前、20歳の女の子と飲んだんですが、僕は「福井県のおおい町出身」って話したんです。

「おおい町って何があるの」って聞かれたから「原発」って言ったら、「重い!重い!重い」って言われた。その女の子は、選挙で投票したこともないし、普段からニュースもみない。

でも彼女を見て、この仕事を始める前の自分の姿を見ているようだった。そして、「投票行け」では変わらない。

■インテリ層が政治に興味があるのは「たまたま」

Kei Yoshikawa

――村本さんが投票に行かなかったのは、考えがあることが分かりました。でも、何も考えていない人や、面倒だとしか思っていない人も認めるんですか。

そういう人も、自分の権利というのを使ってほしいなと思いますけど、置いていきたくないです。だって、僕が政治のことを勉強しはじめたのは「たまたま」ですから。僕がお笑いやっているのもたまたま。

意識高い人が、意識高いことに興味を持つって、単なる偶然なんですよ。

みんな、なんか「自分たちが勝ち得た権利」みたいな顔をして、政治の話をしてますよね。「インテリ層」になったのだって、たまたまなんですよ。その人とお笑いの話をしたら僕のほうが詳しいと思うし。海のことを漁師さんと話したら漁師さんが勝つ。

安倍総理のモノマネする芸人がいるんですけど、安倍総理が勝ったら、こいつの営業出来る期間が延びるんです。自分の仕事と直結するから、自民党に入れたと言ってました。

それ面白いじゃないですか。だから一番の近道は、みんなの中の「政治とめっちゃ関わってるやん」という生活の一部を、ユーモアを持って伝えて行けて、それが一票を入れるきっかけになれば。

オリンピックを誘致するための大学生のサークルの人と喋っていた時に「なんでオリンピックに関心あるの?」って聞いたら、「日本のグローバル化を考えると...」って言っていたけど、よく聞いたら「実はサークルを勧誘していた先輩がイケメンだったから入った」と明かしてくれた。

きっかけって実は横にあるんですよ。みんな、かっこつけて、キッカケを遠くにしている。だからだいぶ遠くの話に感じている。でもすごく近くにある。

SMAPさんの歌で「世界に一つだけの花」という歌がありますよね。ファン歴が長く、あの歌を大好きだというファンのこと話したことがあるんですけど、その子は「あの歌が最高に大好き。SMAPの中で一番好き」って。

でもあれって、「ナンバーワンにならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン」って歌詞がありますよね。あの歌を「一番好き!」って、「歌詞、全然把握してへんやないか」って思いました(笑)。メッセージを込めたとしても、それをキャッチしてもらえないこともあるんですよね。

■「漫才」と「政治」

Kei Yoshikawa
漫才を演じるウーマンラッシュアワー(左:村本大輔さん、右:中川パラダイスさん)2017年10月26日=東京・新宿のルミネtheよしもと

――「漫才で社会不満を表現するべき」という意見も。なぜ、Twitterでも表現するのでしょうか。

最後は笑いに昇華するんですよ。僕の経験や、生きてきた中で抱えた不満が漫才になっているんですよね。僕は、Twitterで発信して、いろいろな意見を聞いて、自分が渦中に飛び込むことで情報が入ってくる。それを作品にして最後にステージに出すんです。

アメリカに行った時、劇場の支配人さんに「どんな芸人をステージに採用するんですか?」って聞いたら「何か言いたいことがある奴だ」と。芸人の基準が違うんですよ。僕は、言いたいことを言いたいタイプなんです。

全て自分の中で総合して作品にして、エンターテインメントに昇華する。それが一番、気持ちのいい瞬間。それを見てくれた人の中で、選挙とか政治について考えてくれる人がいたらラッキーだなって。

――投開票日の前に、(インタビューで隣りに座っている)ハフポストの編集長が、「#選挙ってなんか 面倒だったら投票行かなくてもいいと思う」とTwitterで投稿しました。「投票に行かない自由」や「投票を無理に押しつける不寛容さ」について考えるきっかけにと思ったようですが、非難を受けました。「間違ってもいいから発言することは大事」という意見はわかります。ただ、批判されてしかるべき場合もあると思います。

僕は、投票するかしないかを決める権利は僕にあるけども、僕の意見に口出す権利はあるのかとは思います。

「お前サイテーだろ!」って言われることはありますが、その前に俺のことを信用していたのかと。もともと叩きたかったやつが叩けるネタがあっただけなのかなと思う面もありますよね。

不寛容になりすぎている社会ですが、一人ひとりが自分の主義・主張をすればいいんだと思うんです。行かない人は行かなくてもいい。僕の「選挙に行かなかった」という投稿なんて、ヘイトスピーチでもない、ですよね。

カラオケボックスで、一人で好きな歌を歌っている。そこにフォロワーという僕の歌を聞きたいというお客さんがいる。「いま村本はこんな歌を歌ってますよ」というのは、リツイートというかたちで流れる。

歌詞の一部分だけを聞いて、今まで歌を聞いていない人が、いきなり僕が歌っている部屋のドアを開けて、「テメェ、うるせぇんだよ!!」って言って、またドアを閉めていくようなもの。僕としては「えぇぇ...?」みたいな。いや、歌詞の全部を聞いて!」って。

僕は心が強靭だからいいですが、そういう空気って「自分の意見ってどうなんだろう?自信ないけど、意見を言ってみようかな?」という人の言論を封じることになる気がするんですよね。

■正論だけでない「楽しさ」

Kei Yoshikawa

——選挙によっては、実際に数百票差で当落が決まる場合もあるわけなので、やはり投票は大事ですよ。

最終的には「選挙に行こうぜ!大人なんだから」という呼びかけよりも、絶対に俺のほうが投票率上げてやるぜということは言いたいですね。

「村本ってやつがいてさあ。こいつほんとバカで、ダメなやつなんだよ」「なんでダメなの?」「こうだからダメなんだよ」って、家で話してくれるだけでいい。それだけで、もしかしたら選挙や政治に関心は持ってもらえるかもしれない。

僕のツイートに対して「選挙に行くべきだ」というコメントを何千件ももらいましたが、誰ひとりとして140文字で僕を選挙にいかせるような意見はなかった。ただの正論ばかりでした。

宮台真司さんが「相手を動かすためには、楽しくて正しいじゃないとダメだ」とおっしゃっていました。正論は確かに「分かる」と。でも、「分かるけど...」で終わってしまう。

Kei Yoshikawa
インタビュー後、次の公演の出演時間ギリギリとなったため走る村本さん

今回の「投票に行かない」というTwitter投稿も、テレビ局に人に「これ投稿したらどうなるかな」って聞いたら、「そりゃあ朝生にも呼ばれなくなるかもしれないし、今出ている番組だって降ろされるかもしれない。損しかないと思うよ」って言われた。

そのリスクを負ってでも、どうしてもここでブレーキを踏んで、ちょっと止まってほしいっておもうんですよ。「投票に行かなかった」という有権者がおよそ半分いたことを、スルーしないでくれと。かつての意識の低かった自分を見ているからだ、と思います。

そして、今回投票に行った人の中で、どれだけの人が自分で考えて、自分の意志で入れたくて票を投じたかということも考えてほしい。国のハンドルを切るという自覚を持って一票を投じてほしい。結局、一票を投じてほしいんですよね。