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娘を死なせたくない。両親は認められていない生体肺移植の道を探った

現行法が、彼らの前に立ちはだかった。

2017年11月17日 16時28分 JST | 更新 2017年11月17日 16時42分 JST

韓国で初めて、肺の生体移植手術が成功した。父母の肺の一部を、娘に移植した。現行法は、生きているドナーの肺を移植することを認めていない。韓国の保健当局は、生体肺移植が可能になるよう法改正などを推進するという立場だ。

ASAN Medical Center

韓国メディア「ハンギョレ」によると、ソウル峨山(アサン)病院は「10月中旬、'末期肺不全'で肺機能を全て失った患者のオ・ファジン(20)に父オ・スンテク(55)氏の右肺の下の部分と、母キム・ヘヨン(49)氏の左肺の下の部分を移植する生体肺移植を行った」「現在、患者は順調に回復中」と明かした。

肺は右側3つ、左側2つの肺葉で成り立っている。オ・ファジンさんの両親は、臓器提供にともない、肺の一部を切除したが、正常な生活が可能だ。

いつまた心臓がとまるかわからない

朝鮮日報によると、オ・ファジンさんは3年前から、原因不明の特発性肺高血圧症を患ってきた。心臓から肺に血液を送る肺動脈が厚くなり、血を肺に送るのが難しい状態だった。

この状態が続けば、肺機能に影響を及ぼして、心臓に負荷がかかり、心臓麻痺が起こり得る。2016年、オ・ファジンさんは心臓麻痺のショックを起こしたが、鼓動が劇的に戻り、生きながらえた。

いつまた心臓がとまるかわからない。両親は自分たちの肺の一部を娘に移植しようとしたが、生体移植禁止という法の規定にぶつかった。

彼らは国民請願をしたり、生体肺移植で有名な京都大学医学部に遠征手術を問い合わせたりした。

解決策を探るなか、2008年から生体移植技術のレクチャーを京都大から受けていたソウル峨山病院チームと出会った。彼らに、生体肺移植手術をしてほしいと要請した。

認められていない肺の生体移植へ

病院は末期患者の命を救うべく、医療倫理委員会の承認を受け手術に臨むこととした。関連学会に医療倫理的な検討を依頼し、肯定的な回答も受けた。福祉部(日本の厚労省に該当)と国会、国立臓器移植管理センターなどにも該当の事例を報告して説得した。

そして10月21日、父母の肺切除と娘への肺移植のため、手術室3つが同時に動く珍しい光景が病院に広がっていた。患者は移植手術後、6日すぎて人工呼吸器を取り外した。移植を受けた肺で呼吸できるようになり、健康を取り戻している。臓器を提供した両親も、後遺症なく6日ぶりに退院した。

執刀した胸部外科のパク・スンイル教授は「今回の生体肺移植成功で、脳死者の肺移植を待つ間に状態が悪化して亡くなる患者、特に小児患者に新しい希望が示された」とし、「臓器提供者の肺の一部を摘出する手術は、肺ガン切除手術の時によく行われる術式で、安定性が保障されている」と説明した。

肺移植を希望する300人は約1400日を待つ

現在、韓国では肺移植を希望する待機者は300人ほどで、待機期間は平均1400日ほどだ。待機者の半分程度が待ちながら、死を迎える。

生体肺移植は1993年、アメリカで初めて行われた後、現在まで400件以上の手術が世界的に行われてきている。日本では、臓器提供者を両親と兄弟・姉妹に限定して許容している。移植後3年の生存率は、85%ほどだ。

韓国の臓器移植法は、6つの臓器(腎臓・肝臓・骨髄・膵臓・ランゲルハンス島・小腸)だけ生体移植を許可している。

臓器移植手術の多くは初の試みが成功しつつ、合法化される過程を経ている。肺移植手術も同じ過程を踏むという見通しが出ている。

ハフポスト韓国版から翻訳・編集しました。