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トランプ大統領が英極右団体のヘイト動画を拡散 イギリス政府「大統領として間違っている」と非難

イスラム教徒への差別や偏見を助長するような過激な内容だった。

2017年11月30日 12時26分 JST | 更新 2017年11月30日 12時47分 JST
AFP時事/Twitter

アメリカのトランプ大統領は11月29日、イスラム教徒による暴力とされる動画3件を自身のTwitterでリツイートした。動画はイギリスの極右団体幹部が投稿したもので、イスラム教徒への差別や偏見を助長するような過激な内容だったことから、イギリス政府がトランプ氏を非難するなど波紋を広げている。

Twitter/@realDonaldTrump

トランプ氏がリツイートしたのは、イギリスの極右団体「ブリテン・ファースト」のジェイダ・フランセン副代表が投稿した3本の動画。

それぞれ、以下の言葉ととも投稿されていた。

  • 「イスラム主義の暴徒が少年を屋根から突き落とし、死ぬまで殴打」
    内容:銃声が鳴り響く市街地と思われる中で、ビルの屋上から数人が下に落ち、周囲の人間が暴行する様子が映っている
  • 「イスラム教徒が聖母マリア像を破壊」
    内容:男性が聖母マリアをかたどったと思われる像を、地面に落として壊す様子が映っている。​​​​​​
  • 「イスラム教徒の移民が松葉杖の少年を殴打」
    内容:若い男性が松葉杖をついている男性に殴る、蹴るなどの暴力をふるう様子が映っている。

トランプ氏自身は動画に関してコメントしていないが、イスラム教徒への嫌悪感を扇動するような内容だったことから、動画を拡散したトランプ氏を非難する声が相次いでいる。

■イギリス政府「大統領がこんなことをするのは間違っている」

イギリスのテリーザ・メイ首相の報道官は「大統領がこんなことをするのは間違っている」と非難し、以下の声明を発表した。

「ブリテン・ファーストは、嘘をばらまき、憎悪に満ちた物語で共同体(コミュニティ)を分断しようと意図している。彼らは善良な人々の不安感を煽っている」

「イギリス国民は、良識や寛容、敬意といったイギリスの価値感と反する極右の偏見ある弁論を強く拒絶する」

イギリス国内ではトランプ氏やブリテン・ファーストに対する反感の声が相次いでいる。

  • 最大野党・労働党のジェレミー・コービン党首「私たちの社会への脅威だ」 「私は、イギリス政府がトランプ氏が極右団体の動画をリツイートしたことを非難することを希望する。彼らは忌まわしく、危険で、私たちの社会への脅威だ」
  • ボリス・ジョンソン外相「ヘイトスピーチが存在できる場所はない」 「ブリテン・ファーストは、私たちの価値観に沿わない見解を持つ憎しみに満ちた団体だ。イギリスは、開放的かつ寛容な社会として誇り高い歴史を持ち、ヘイトスピーチが存在できる場所はない」
  • 保守党のニコラス・ソームズ下院議員「大統領として不適格」 「トランプ氏は結局のところ、彼が大統領として不適格だということを疑いの余地なく証明した」

こうした声に対してトランプ氏はTwitterで反論。「メイ首相、私のことは気にしなくて良い。イギリス国内で起きているイスラム過激派によるテロの撲滅に専念していただきたい。我々はうまくやっている」と投稿した。

2018年にはイギリス政府が国賓としてトランプ氏を招待することが予定されており、労働党などの野党議員が招待を見送るよう呼びかけている。

■極右団体「ブリテン・ファースト」とは?

Kevin Coombs / Reuters
イギリスの国旗を持つブリテン・ファーストの構成員。左側、車の扉の前に立つ女性がジェイダ・フランセン氏。

ブリテン・ファースト」は2011年、白人至上主義の極右政党「英国民党(BNP)」の元党員によって結成された極右団体。過激な排斥主義を唱え、「イギリスのイスラム化」を懸念するという主張で注目されてきた。国政進出を狙っているが、これまでに国会の議席を獲得したことはない。

動画を投稿したフランセン氏は、ヒジャブをかぶったイスラム教徒の女性に罵声を浴びせたことが「宗教的な嫌がらせに該当する」として、2016年11月に約2000ポンド(約30万円)の罰金刑を受けている

2016年5月、EU離脱を問う国民投票の直前にEU残留派のジョー・コックス議員が射殺されたが、この時に容疑者が「ブリテン・ファースト」と叫んでいたと報じられている

トランプ氏が動画をリツイートしたことを受けて、ジョー・コックス議員の夫ブレンダン・コックスさんもトランプ氏を非難するツイートを投稿した。

「トランプ氏はアメリカ国内の極右の存在を正当化してきた。次はイギリスでそれをやろうとしている。憎しみの拡散には、結果がともなう。大統領は自分を恥じるべきだ」