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富岡八幡宮事件 「地獄へ送る」 宮司の人事めぐり肉親同士で骨肉の争い

神社本庁を離脱したばかり。約400年の歴史を持つ神社で何が…

2017年12月08日 10時19分 JST | 更新 2017年12月08日 10時24分 JST

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富岡八幡宮の本殿
(Wikimedia/Morio CC BY-SA 3.0

「深川の八幡さま」として信仰を集める東京の富岡八幡宮で12月8日、宮司ら神社関係者の男女4人が死傷した。

NHKニュースが警視庁の情報として報じたところによると、死亡したのは宮司の富岡長子さん(58)と弟の富岡茂永(しげなが)容疑者(56)、知人の女。長子さんの運転手の男性(33)が重傷。

現場には、サバイバルナイフや日本刀などが複数落ちていた。

茂永容疑者が女と長子さんや運転手を襲った後、さらに女を殺害して自殺したと見られる。殺人の疑いで詳しい経緯を調べるとともに、家族間のトラブルがあったと見て捜査している。

 

■「地獄へ送る」と姉に脅迫状を送って逮捕

長子さんと茂永容疑者は10年以上に渡ってトラブルを抱えていた。

弟の茂永容疑者は、90年代には父親の跡を継いで富岡八幡宮の宮司を務めていたが、2001年に宮司を解任された。(参考記事:朝日新聞2006年1月26日朝刊)

NHKニュースは、茂永容疑者の幼なじみの男性の発言を紹介。「子どものころから活発でやんちゃな人で、父親から宮司を引き継いだが、さまざまなトラブルがあって宮司を解任されたと聞いた。最近はどこに住んでいるかもわからなかった」と話していたという。

時事ドットコムによると2006年1月、当時宮司に次ぐ神職の禰宜(ねぎ)だった長子さんに「必ず今年中に決着をつけてやる。覚悟しておけ」「積年の恨み。地獄へ送る」などと記したはがきを送付したとして逮捕された。

長子さんらには他にも、数通の脅迫文が送り付けられていたという。 

■宮司の人事をめぐって神社本庁を離脱

宮司の人事をめぐって、富岡八幡宮は神社本庁を離脱したばかりだった。

朝日新聞デジタルなどによると、茂永容疑者の解任後は父親が宮司に復帰していたが、高齢のため2010年に退任。これを受けて、長子さんを宮司にするよう、八幡宮は全国の神社を統括する神社本庁に具申した。ところが、神社本庁から回答がなく、数年にわたり宮司が任命されない状態が続いていた。

2017年に入って任命しない理由を照会する文書を神社本庁に送ったが、返事がなかったため、神社本庁を9月28日に離脱。その後、長子さんが宮司になったという。

■富岡八幡宮とは? 徳川将軍家の保護、相撲発祥の地

Masaharu Hatano / Reuters
「深川八幡祭り」の神輿

江東区観光協会によると、創建は江戸時代初期の1627年。当時は永代島と呼ばれた海に囲まれた小島に創建された。その後、周辺を埋め立て、社地と氏子の居住地とした。これが、現在の門前仲町に発展した。徳川将軍家の保護を受け「深川の八幡様」として親しまれたという。

富岡八幡宮は相撲の発祥の地でもある。江戸時代、相撲は規制されていたが、1684年、富岡八幡宮の境内で江戸勧進相撲を行うことを寺社奉行が許可した。そのため、新しい横綱が誕生すると、富岡八幡宮の境内で土俵入りが奉納される。境内の横綱力士碑には歴代横綱の名が刻まれている

例祭は「深川八幡祭り」ともいわれ、江戸三大祭りの一つに数えられる伝統行事だ。お神輿の練り歩きは1643年に始まり、8月15日を中心に実施。三年に一度の本祭の年には、50基以上の町神輿が約8キロの行程を練り歩くという。