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海を越え"福島県の日常"を伝える

2015年02月10日 16時42分 JST | 更新 2015年04月11日 18時12分 JST

・日常は取り上げてもらえない被災地

今年の3月11日を迎えることで、東北大震災から5年目を迎えようとしています。この4年間の間に福島県は「放射能で汚染された地域」というイメージが強調されてきました。

そのイメージはセンセーショナルな記事や報道を通して増幅され、今も福島県を訪れることすら危険と思われている方もいます。

その増幅を許した背景には、福島県が未来を見据え日常を取り戻していく過程が福島県外へ伝わらなかったことが要因と言えます。

福島県の浜通り地方(沿岸部)の実情の一端を伝える活動をしている者として、国内外から取材のご依頼を頂きます。その際、お願いとして当たり前の日常を過ごせるように変ってきた様を取り上げて欲しいとお伝えします。しかし日常の切り取りは「絵にならない」と断られるケースが多々あります。

・普通に扱って欲しい子供達

Appreciate FUKUSHIMA Workersの活動を通じて、出会う子供達から言われる切実な訴えがあります。それは「今も"可哀想な子"扱いをしないで欲しい、普通に扱って欲しい」といったものです。

時には涙ながらに訴える子もいます。震災直後の惨状は既に過去の物であり、現状様々な環境が変った中で、前を向いて生きている子供達にとっては「可哀想な子供達」というレッテルは足枷や差別的なものに変っています。

平常を取り戻していく様や、日常を淡々と伝えることこそ切実に現地より望まれていると言えます。

・海を越え「福島の今を生きる」人々の話を伝える

福島県から遠く離れたアメリカ・ミシガン州にて「福島の今を生きる」人々を映画「Threshold: Whispers of Fukushima」(http://vimeo.com/103453868?from=facebook)を通じて伝えようと取り組む方がいます。

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(画像は映画内で全国大会に向けて吹奏楽を練習する中学生)

映画を作られた「椎木透子」さんが東北地方を訪れるきっかけとなったのは、海外では伝わってこない「震災を経てそこに生きる人達の話を直接聞きたい」という思いでした。

最初に東北地方を訪れたのが2011年。一度訪れただけではきっかけも掴めず。再度2013年5月に福島で子供達のアートワークショップを通して地元の方々と直接交流するも、どうしても上辺の会話になってしまうと感じていたそうです。

 

悩み模索していた中、福島県南相馬市の海辺で偶然出会ったご夫婦との世間話をした中で、福島県の震災被害や原発事故を題材とするのではなく、「そこに生きる人達を伝えたい」という思いを抱き、映画を撮るプロジェクトが始まりました。

『上辺だけ」の会話(撮影)にならない様、自分の足で赴き、そして関係性を築くことが必要と感じました、アメリカから福島の方々にメールや 電話、Facebook等を通し半年間毎日やり取りを続け、映画を製作するに当たり足りなかった資金もクラウドファンディングにて調達しました。半年の準備期間を経て撮影を実際に福島で開始したのが2013年11月です。』

『日本の外にいると聞こえてくるニュースは大変な部分や深刻なものがほとんどなのですが、この映画を制作する中での出逢いから、災害や原発事故等に遭い、生活に変化を強いられてしまっても、その中で模索しつつ、それぞれがしっかりと自分らしく生きていける、そんな生き方を築いていっている、そうした人達もいるという事を伝えたいと強く思う様になりました。福島県の状況は深刻でもあるしとても複雑で海外にいる方々には特に簡単には説明も出来ない様な状況なのですが、この映画に出ていらっしゃる方々の姿、そして音楽に触れる事で、福島県を再び考えてみるというきっかけになるかもしれないと思っています。』

現在も12万人を超える方々が避難生活を強いられ、仮設住宅も5年目を迎えるにも関わらず必要性から撤去されることはありません。未だ震災からの復興は道半ばであり課題も多くあります。

課題を無視し、「今は平常に戻った」と嘯くつもりもありません。むしろ課題がありきの中、平常を取り戻す様を伝えることで福島県で生活されていく方々が努力やご苦労が伝わり、ダークサイド一辺倒の福島県というイメージが払拭されていくのではないでしょうか。

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*映画「Threshold: Whispers of Fukushima」 

監督:椎木透子
facebook:https://www.facebook.com/octoberbabiestoko
カメラマン:Chris Asadian/ 椎木透子 サウンドデザイン:Erik Santos
スタッフインタビュー:http://vimeo.com/108794560
福島の震災、事故を経験し今を生きる人達のつぶやきと奏でられる音楽とを通して語られる、人が生き甲斐をもって生きることの大切さ、それぞれに選んだ人生をひたむきに生きる姿を追ったドキュメンタリー。
ウェブサイト:http://thresholdfukushima.com