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南スーダンに見る希望の芽 ~不信、憎悪を乗り越えて~

2014年07月18日 18時05分 JST | 更新 2014年09月16日 18時12分 JST

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南スーダンの国内避難民キャンプでともに暮らすムルレ族のメアリとディンカ族のアヨル(C)Amnesty International

世界で一番新しい国、南スーダン。内戦で荒廃した地を少しずつならしながら、未来に向かって前に進んでいくはずだった。しかし昨年12月、武力衝突が勃発する。新しい国の大統領、副大統領には、独立を主導してきたスーダン人民解放軍(SPLA)からそれぞれ、マヤルディ氏、マチャル氏が就いた。だが7月にマヤルディ大統領がマチャル氏とその一派を解任したことで、独立前からくすぶっていた両者とその支持者の対立が表面化する。マチャル氏は「マヤルディが独裁化した」と非難し、マチャル派の兵士が政府軍と衝突すると大統領は「クーデターだ」と非難。両派の争いは、民間人を巻き込んでエスカレートしていく。兵士たちは敵側というだけで、民間人を殺し、強かんし、物を奪い、家々を壊すなどやりたい放題だ。

マヤルディ派がディンカ族中心で、マチャル派がヌエル族中心のため、一見、民族間の対立に見える。しかしその背景にあるのは、政権闘争と石油資源の奪い合いだ。武力衝突は油田地帯で多く発生している。ただ、両派の衝突により、両民族間に相互不信が広がっているのは否めない。

そんな中、南スーダンの未来への希望が垣間見える出会いがあった。

すでに国内避難民は100万人を超え、うち3万人は国連の避難所に身を寄せている。ほとんどがヌエル族の人たちだ。他の多くの人は、市内に自然発生的にできたいくつかの避難場所で暮らしている。アムネスティが訪れた首都ジュバにある避難所もそのひとつだ。ここでは複数の民族が一緒に暮らしている。

そこでムルレ族のメアリさんに話を聞いた。彼女は南スーダン独立戦争で夫を亡くし、6人の子どもを一人で育ててきた。昨年12月にジュバで武力衝突が始まると、メアリさんの住んでいた町は、ディンカ族の兵士、警官、武装した市民の寄せ集めのような一団に、あっという間に攻撃される。一緒にいた2人の子どもと逃げ出したが、14歳の息子が撃たれ、鉈で切りつけられ、殺されてしまう。彼女の目の前で。しかし足を止めることはできない。16歳の娘を守らなくてはならないのだ。他民族に憎しみと敵意を抱くとすれば、こんな時だろう。

しかし、メアリさんは同じ避難所で暮らすディンカ族のアヨルさんと友情を育んでいた。2人は助け合いながらお互いの言葉を学んでいるそうで、キャンプにいるほとんどの人が他の民族の言葉を覚えようとしているそうだ。それが、暴力を引き起こす「誤解の壁」を取り除く強力な武器だからと。

スナップ写真を撮ろうとすると、2人は手をつないだ。そう、メアリさんとアヨルさんの夢は、南スーダンで激しい紛争を煽ってきた不信、不満、喪失という負の壁を越えて手を握ること。

憎悪と不信を抱き続ければ、問題と悩みは続くだけで、何の解決にもならない。こうしたものを捨てない限り、この国に希望はないだろう。そして、その希望は、この避難所で芽生え始めている。

(2014年7月17日 アムネスティ・インターナショナル日本)

アムネスティでは両陣営に民間人への攻撃をやめるよう求めるオンライン署名を行っています。7月22日で終了します。今、あなたの声が必要です。ぜひ、参加してください。

▽南スーダン:国を二分する戦闘で狙われる市民を守れ!

https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/s_sudan_201406.html