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アリアナ・ハフィントンよりご挨拶

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Konnichiwa(こんにちは)! 「ザ・ハフィントン・ポスト・ジャパン」立ち上げに向けて、5月3日から東京に来ています。到着した直後には時差ボケもありましたが、今では13時間の時差にもすっかり慣れました。すぐに馴染めたのは、「omotenashi(おもてなし)の心」のおかげです。日本の伝統だと聞いていましたが、評判通りでした。

さて、私と娘のイザベラ、それに「ザ・ハフィントン・ポスト」(ハフポスト)国際版編集部のメンバーは、秋葉原にあるハフポスト日本版編集部にお邪魔して、こちらの有能なスタッフとともに日本版の立ち上げ準備を進めています。ハフポストがアジアに進出するのは今回が初めてで、一同たいへんな意気込みです。これまで、アメリカのほかにイギリス、カナダ、フランス、スペイン、イタリアの各国版を手がけてきましたが、アジアに初めて進出する今回は、私たちにとって非常に大切な機会となります。

私たちの目標は、成長しつつある世界規模の会話に、世界中からたくさんの声を招き入れること。ハフポスト日本版の立ち上げによって、その目標にまた一歩近づきました。本日から開始したハフポスト日本版は、かつては乗り超えがたいものと考えられてきた地理的、言語的、文化的障壁を、21世紀のメディアがどのように克服していくかを証明します。

ハフポスト日本版を立ち上げられること自体が喜びですが、とりわけ日本は現在、転換期を迎えています。2012年に政権の座に返り咲いた安倍晋三首相は、緊縮財政に関して世界の多くの国で繰り返された過ちの轍を踏まず、「"委縮し続ける経済"に決別」するとの決意を示しています

2011年3月の地震と津波、その後の原発事故は破壊的な被害をもたらし、その悲劇の爪痕は今なお生々しく残されています。けれども、あの悲劇の後に人々が示したすばらしい回復力と勇気と思いやりの心も、脈々と続いています

ハフポスト日本版ではこうした重大な出来事を報じるだけでなく、読者の皆さんに対して記事の投稿も呼びかけます。さらに、日本の文化を掘り下げ、その価値を見出していきます。座禅や、(豊かな儀式性や、千利休などの茶人が魅力的な)茶道などの、深く根を下ろした伝統はもとより、もっと変わった風習、例えば「赤ちゃんの泣き相撲」なども取り上げます。

私の個人的に関心のあるテーマのひとつ、睡眠に対する日本独自のアプローチについても、スポットライトを当てることになるでしょう。例えばカプセルホテルや電車で居眠りをする人々の姿も、多くの外国人旅行者が写真つきでブログに報告する驚きの光景です。ハフポスト日本版ではこのほかにも、グルメや本、演劇、映画、旅行、スポーツなど、趣味に関する意見交換の場もご提供します。

日本のメディアには、独特の課題とチャンスがあります。ザ・ハフィントン・ポスト・メディアグループのジミー・メイマンCEOは、「ハフポストの読者のうち、モバイルからのアクセスは、多くの国では20〜25%程度ですが、日本ではだいぶ違う数字になるでしょう。モバイル・インターネットこそが、日本ではインターネットなのです」と語っています。また、世界の新聞発行部数の上位5紙のうち3紙は日本の新聞が占めています。

その一方で、日本ではソーシャルメディアやSNSの利用も盛んです。FacebookやTwitterはもとより、LINEやcommやGREEなどのスマートフォン向けサービスにも人気があります。LINEの開発を率いた森川亮(あきら)氏(現LINE株式会社社長)は、ソーシャルメッセージ・サービスの急速な普及を「ムーブメント」と称し、「それが欧米にも広がっていくことを期待している」と述べています(リンク先WSJ記事の日本語版はこちら)。

とりわけ期待できることは、こうしたネットワーキング・サービスを災害等の対応に役立てることです。現在、災害時の緊急通報にモバイル技術を活用するプロジェクトが進められていますが、これは東日本大震災の際の通信障害を契機としてたち上がったものです。

ハフポスト日本版が今回提携するパートナーとして、朝日新聞社はこの上ない存在です。同社は日本有数の新聞社であるとともに、私たちが確信している、既存のメディアと新興メディア、デジタルと紙の境界が一層あいまいになる「ハイブリッドな未来」が来るという価値観を共有しています。朝日新聞は、1879年1月25日の創刊から1世紀以上にわたって日本の言論の一角を担い、政治経済からスポーツ、さまざまに興味深いサブカルチャーまで、日本の生活のあらゆる側面に漏れなく目を向けてきました。発行部数は朝刊で約770万部近く、夕刊も約290万部を誇ります。2011年からは、有料の電子新聞「朝日新聞デジタル」を立ち上げ、新たな読者層を獲得しています。

朝日新聞社は長年にわたって、文化やスポーツの団体をはじめとする国内のさまざまなグループや事業への支援に力を入れています。また、日本が悲劇に見舞われた困難な時期にはとりわけ、報道機関としてすぐれた働きを見せました。特筆すべきは、2011年の福島原発事故についての徹底した報道と、1980年代後半にリクルート事件を発覚させたスクープ記事でしょう。

日本という国境を超えた視点に立ち、より広い世界へと語りかけるという同社の哲学は、同社の成長をも担ってきました。同社は日本語のほかに、英語、中国語、韓国語でもコンテンツを発信しています。

朝日新聞社は、ジャーナリズムの一角を支えているだけでなく、市民の価値観の礎のひとつにもなっています。朝日新聞社の木村伊量(ただかず)社長は次のように書いています。「独善に陥らず、お互いを尊重しながら、率直に主張をぶつけあうことで、相互理解は深まります。国民に確かな判断材料を提供することによって、民主主義は成熟していくのだと私たちは考えます」。また、1952年に制定された「朝日新聞綱領」は以下の通りです。「一、不偏不党の地に立って言論の自由を貫き、民主国家の完成と世界平和の確立に寄与す。一、正義人道に基いて国民の幸福に献身し、一切の不法と暴力を排して腐敗と闘う。一、真実を公正敏速に報道し、評論は進歩的精神を持してその中正を期す。一、常に寛容の心を忘れず、品位と責任を重んじ、清新にして重厚の風をたっとぶ」

ハフポスト日本版の松浦茂樹編集長は北海道出身。東京理科大学を卒業後、ITおよびメディア関連のさまざまな企業でキャリアを重ねてきました。コンデナスト・ジャパンで日本版『WIRED』の復活を支え、その後はモバイルゲーム企業のグリーで「GREEニュース」を統括、サイトの収益およびトラフィックを増加させました。

ハフポスト日本版開始時には以下のブロガーの皆さんにも参加していただきます。

衆議院議員の枝野幸男氏は、「アベノミクス」として知られる首相の経済政策が、長期化したデフレからの脱却に有効か否かを論じます。同じく衆議院議員の野田聖子氏は、日本の労働力に女性を積極活用する新政策についての希望を語ります。元ミス日本の吉野ゆりえ氏は、希少がんの肉腫(サルコーマ)との闘いについて語り、東京大学大学院教授の渋谷健司氏は、日本の高齢者が健康であり続けるための方策について論じます。

ここ何ヶ月にもわたりアメリカ大陸とアジアをまたがったチームワークによって、このハフポスト日本版の立ち上げを実現させることができました。皆さんと一緒に働けたことは、私にとってこの上ない喜びです。朝日新聞社の木村伊量社長、吉田慎一氏、西村陽一氏、小野高道氏、矢田義一氏、後藤絵里氏には心から感謝を申し上げます。

ハフィントンポスト日本版編集部の皆さん、編集長の松浦茂樹、ニュースエディターの和田千才、トレンドアナリストの永山篤、レポーターの猪谷千香、アソシエイトニュースエディターの千代明弘と宇津宮尚子、ブログエディターの安藤健二と松本香織には深く感謝します。

また、AOLオンライン・ジャパンの奥江靖、坂田憲昭、安藤雄二の多大なる貢献なしには、この日を迎えることができなかったでしょう。そしてもちろん、USを中心としたハフポストチーム、ニコラス・サブロフ、デビッド・フルメンバーム、ジョアン・ゼルマン、ジョン・パブレイ、オット・トス、ニック・ペトロヴ、フィリップ・モーガット、ほか多くの技術チームは、ニューヨークと東京をお互いに行き来し、日本の編集者を訓練し、ハフポストのDNAを日本に伝えてきました。

ハフポスト・ファミリーへの日本の参加を、心より歓迎いたします。コメント欄にご意見、ご感想をお寄せください。