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"シグネチャーストライク(識別特性爆撃)"と、大統領の無人飛行機に対する空弁論

2013年07月13日 19時00分 JST | 更新 2013年09月12日 18時12分 JST

2011年3月17日、4機の短距離空対地ミサイルがアメリカの無人航空機から発射され、パキスタンのワジリスタン境界地域にあるダッタケールの街のバスターミナルに落とされ、およそ42人の死者がでました。これは、いわゆるアメリカの対テロ戦争のありふれた一日に過ぎませんでした。多くのアメリカ人にとってこの攻撃は、聞いたことがあったとしても、夕方のニュースの一コマに過ぎません。

しかし、その日実際に何が起こったのでしょう? 殺された42人は誰で、何をしていたのでしょう? そして、その攻撃はどんな効果があったのでしょう? それは、私たちをより安全にしたでしょうか? これらの疑問に対し、ロバート・グリーンウォルドのBrave New Foundationがリリースした新しい必見のビデオが答えています。

この攻撃は、いわゆるシグネチャーストライク(識別特性爆撃)"と呼ばれるものです。これはCIAまたは軍隊が、標的が誰かでなく、(無人機に映る)人々が、テロリストの特徴(シグネチャー)となる不審な行動や振る舞いをとっているかに基づいて攻撃の決断を出すことです。CIAが識別せず行動に基づいて人々を殺しているということは、ある特定の酷烈な行為が、人が殺され得る行動の基準を定義してしまったと仮定されます。

それでは、テロリストの特徴的な振る舞いとはどんなものでしょうか?前在パキスタン・アメリカ大使のキャメロン・マンターがDaily Beastのタラ・マッケブリーに話したところよると、「20代から40代の男性であることが定義である」とのこと。「わたしの感じるところでは、ある男の戦闘員は、ある男の――まあ、f集会に行った愚か者、といったところでしょう。」ニューヨークタイムズが政府高官の話を引用したところによると、CIAが"3人の男たちが挙手跳躍運動をしている"ところを発見すると、それはテロリストの訓練キャンプと認識するとのこと。

ダッタケールではその日、テロリストの特徴的な振る舞いは集会(またはジルガ)であり、部族の長老たちが地元の紛争を解決するために集まるものでした。この場合では、クロム鉱山をめぐる紛争についてが解決されました。そして、実際長老たちは、10日前にパキスタン軍に集会がある事を伝えていました。「なのでこれはコミュニティと周辺地域のほとんど誰もが知っていた、オープンな公的集会であった」と、スタンフォード大学法学部教授ジェームス・キャバレロがビデオの中で話しています。

コミュニティと周辺地域のほとんど誰もが知っていた。しかし、アメリカの諜報機関は知らなかった。CIAのリーダーも。大統領も。もしくはバージニアかネバダの匿名の基地で無人機のボタンを押した人も、知らなかった。

そしてそれによって、その地域のほとんどの長老たちは、無人機ミサイルによって殺されました。前英パキスタン大使であり、現在アメリカの大学教授であるアクバル・アーメドによると、「これは。誰もが安全でなく、どこも安全でなく、何も安全でないという状況に繰り入れるもの」と、ビデオの中で話しています。「ジルガは、最も大切にされている、地域の部族にとって最も貴重な機関です。私たちが座って問題を解決する事もできないのなら、それはもはや安全ではありません。」キャバレロ教授が言った通り、「コミュニティにとって40ものリーダーを1日で失うという事は、壊滅的な状況です。」

そして政権がよく口にするパキスタンでの安定性の構築に至っては、実際このミサイルの一撃が、現地の最も安定的な勢力を除去したのです。

その日ジャラル・マンザー・カイールは、彼の4人の親戚を犠牲にした攻撃を自宅近くにて目撃した事を覚えています。カイールの6歳の息子は(当たり前ながら)その後自宅で眠るのを怖がりました。「家に帰れない、木の上で夜を過ごさなきゃいけない」と息子が言っていた事を、カイールは話します。またカイールは、「アメリカ人に私のメッセージを伝えてください。CIAとアメリカはこれを止めなきゃいけない...これは単により多くの敵を生み出しており、何百年も続く事になります。」と語っています。

カイールのメッセージは珍しい事ではありません。グリーンウォルドによると、「私が行ったインタビューの最後には毎回、人々はこう言います、"オバマ大統領に、私はテロリストではないので私の家族を殺すのは止めてくださいと伝えてください。」

オバマ大統領がそのメッセージを受け入れようとしていたかもしれない時はありました。ダニエル・クレイドマンによる Kill or Capture: The War on Terror and the Soul of the Obama Presidencyという本の中で、著者はオバマ大統領が正式に就任したすぐ数日後に、また別の無人機ミサイルの攻撃があったことを話しています。殺された人々の中には、親政府部族の長老とその二人の子供が含まれており、関係者はクレイドマンにオバマは「幸せな男でなかった」と話しました。

シグネチャーストライクの概念がその後、彼に説明されました。CIA副長官のスティーブ・カップスが、「大統領、現地ではテロ活動に関連づけられている軍隊の年齢層の男性が多数いるのが見えますが、それを常に誰か識別することはできません。」と言ったところ、オバマは「私にとってそれは十分じゃない」と答えました。

それ以降、そのコンセプトは彼に募って行ったと思われます。シグネチャーストライクで戦闘員や民間人を含め何人の命が奪われたかは、明らかになっていません。なぜなら政権はその事実を認めようとしないからです。2月にロバート・ギブズがMSNBCのクリス・ヘイズに語ったところ、彼がオバマの報道官になった際、無人機のプログラムについて全く認識しないようにと言われたとのことです。「その存在すら話に出すな」と言われたことを覚えていると、ギブズは語っています。

勿論その後、国にとってもますます滑稽で屈辱的なこのスタンスが示されてから、政権は無人機ミサイルの存在を認めました、といっても認めた程度ですが。しかしおおよその数値は他のソースによって作られています。クレイドマンが指摘するとおり、オバマが大統領に就任してから11ヶ月でノーベル平和賞を受賞するまでに、彼はジョージ・W・ブッシュの任期全体を通して合計したものより多くの無人機ミサイルの攻撃を命令しています。2012年末までには、彼はブッシュの6倍パキスタンを攻撃しています。ニューヨーク大学とスタンフォード大学の教授陣(キャバレロほか)が実施した調査によると、2004年から2012年の間で、474人から881人の民間人がパキスタンの無人機攻撃により殺害されています。これは176人の子供たちを含み、別のグリーンウォルドのビデオにてテーマにされているので、見る事をお勧めします。2013年度については、私たちが認識しているだけで、政権は約261億ドルの予算を無人機プログラムに要請しています。

5月の国防総合大学でのスピーチで、オバマ大統領は無人機と、偵察、そしてグアンタナモに関する彼の方針を明確化するのが主な目的の国家安全演説をしました。彼のアプローチの変化が目立ったように思えました。彼は1時間にも及ぶ演説の中で、「10年もの経験をもとに、今、私たちは厳しい質問を自分たちに問いかけるときです。今日の脅威の中で、私たちはどう立ち向かうべきでしょうか。」スピーチの一部で彼は、無人機の使用に反対するという良いケースさえ持ち出しました:

...軍隊だけでは私たちを安全にできません。過激なイデオロギーが根付く場所で、どこでも軍隊を使う事はできません。過激思想の源を縮小させる戦略が無い中で、果てしない戦争――無人機または特殊部隊、軍隊の派遣による――は自滅的であり、私たちの国を厄介な方法で変えてしまうでしょう。

彼はさらに「アメリカの攻撃は民間人に犠牲者を出す結果となった」と認めています。これは2011年に大統領の反テロリズムアドバイザーのチーフであったジョン・ブレナンが「巻き添え死は一度も無かった」と主張したものとは大違いです。彼は後に「確かな証拠のある巻き添え死は無かった」と訂正しました。この馬鹿げた主張はマイカ・ゼンコーによるForeign Policyの記事により覆され、ブレナンは他の役人たちと同じ報告を受けていないか、もしくはインターネットにアクセスがない、という結論を書かれました。もしくは、「彼は嘘をついていた」と。どちらにしても、それは彼をCIAのディレクターに認定することにストップをかけませんでした。

オバマ大統領は彼のスピーチの中で、「アメリカは私たちが選ぶ場所どこであろうと攻撃できません――私たちの行動はパートナーとの協議に制約され、国家の主権を尊重します。」と言いました。これについてパキスタンは異議を唱えるかもしれません。ダッタケールの攻撃後、犠牲者の家族の一部は訴訟を起こし、パキスタンの裁判所によりこの攻撃は違法だと判決が出されています

実際に、大統領は「私たちの同盟は強く、世界における私たちの立場も同様です」と明白に示すことからスピーチを始めました。さて、世界は大きなところです。そこには他よりも私たちの立場が国家保全の大きな意味合いを持つ場所があります。例えば、ピュー慈善財団の世論調査によると、パキスタンでは、74%の国民がアメリカを敵と見なしているそうです。ブッシュ政権の最後の年には、19%のパキスタン人はアメリカを好意的に見なしていました。2012年までにそれは12%まで低下しました。現在ブルッキングス研究所で学者をしている前CIAのブルース・リーデルによると、攻撃は「下向きに滑り続けている世界で最も急速的に成長している核兵器保有国との関係を改善するには致命的である」と話しています。

大統領はまた、「従来型の航空機やミサイルは無人機より遥かに精密さに乏しく、民間人の犠牲や現地の怒りを引き起こす可能性があります」と主張しています。また間違っています。先週のThe Guardianでスペンサー・アッカーマン は、海軍分析センターのラリー・ルイスの調査をレポートしており、それによるとアフガニスタンでの無人機攻撃は有人戦闘機からの攻撃の10倍民間人の死傷者を出す可能性があると判明したそうです。「無人機は戦闘機よりも魔法のように民間人を避けるのに優れている訳ではありません。戦闘機のパイロットが民間人を守る明確な命令と訓練を受けていれば、民間人の犠牲者数を下げる事ができます」と、共著者のサラ・ホレウィンスキーは言います。

このスピーチで、オバマ大統領はまた、「私たちは恐怖に基づいた決断でなく、苦労の末に獲得した知恵から意思決定をするべきです」と語っています。その知恵に基づいた無人機の研究は――アフガニスタンの2010年から2011年のデータ――政権にとっておそらく利用可能でした。ホワイトハウスは安全な方法を探す事に興味を持っていたのでしょうか、そうかもしれません。しかし彼らはそれをしないことを選び、その代わり利己的な従来の、明らかに間違った"知恵"を繰り返しました。このような意思決定では実際の知恵のマントルを与えるのは難しいです。

しかし大統領はまた"監視増加の他のオプション"を調査するつもりだとも語りました。そして彼はつい前日に"監視と説明責任"に対する"明確なガイドライン"にサインしたとのこと。「あらゆる攻撃の前に、民間人の死傷者が出ないことがほぼ確実でなければいけない、という最高水準を定める」と宣言しています。

シグネチャーストライクについては語られませんでしたが、一部は"ほぼ確実"や"最高水準"という言葉により、もう使われる事はないだろうと見なしました。その思い込みはすぐ数日後に間違いだったと証明され、政権の職員はニューヨークタイムズに、パキスタンへのシグネチャーストライクは続くと話し、同紙のアンドリュー・ローゼンタールは"オバマ氏の演説の全体の趣旨と矛盾する"と書きました

2週間後、6月9日に、無人機はイエメンの車両を遅い、過激派と見られた何人もの人たちを殺しただけでなく、アブドゥラジズという少年の命も奪いました。彼は10歳でした。あの"ほぼ確実"さと、新しい"明確なガイドライン"は、どうやらアブドゥラジズには十分ではありませんでした。政権はこの攻撃またはこの少年の死に対するコメントを拒みました。説明責任と透明性はこんなものでしょうか。そしてつい先週、ワジリスタンへの攻撃は16名の死者と、他5名の負傷者を出しました。

対テロ戦争に対する「厳しい質問」をいくつか尋ねるのに加え、これらの疑いの無い明らかに厳しい真実?