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育自分休暇日記──4年目社員、アフリカへ。会社を辞めて気付く「常識」のちがい

2014年06月14日 14時43分 JST | 更新 2014年08月11日 18時12分 JST

はじめまして。元サイボウズ社員の長山です。このたび、サイボウズの「育自分休暇制度」を利用してアフリカ、ボツワナ共和国で2年間海外ボランティアをすることになりました。会社を辞めてから感じた「会社って○○なんだ!」という驚きや、2年間、途上国アフリカで生き抜くための術を学べる「青年海外協力隊の事前研修」のトリビアなどを、セルフインタビュー形式(二番煎じ)でぶっちゃけたいと思います。

こんなところに日本人!世界88カ国に派遣されたボランティアは3万人を超える。

長山A:まず、2年間の海外ボランティアについて教えてください。

長山B:はい、今回私が参加するのは「青年海外協力隊」という日本の外務省管轄のボランティアです。

長山A:聞いたことありますね!

長山B:この事業はJICAという組織がとりまとめていて、なんと再来年には実施50年になる歴史ある取り組みなんですよ。私は38,650番目くらいのボランティアですね。現在、世界88カ国に派遣されています。

長山A:それはすごい。それで、これからどちらに行かれるんでしたっけ?

長山B:アフリカ南部に位置する、ボツワナ共和国という国です。あまり日本ではなじみのない名前ですが......。「ブッシュマン」という映画の舞台になった国です。

長山A:ブッシュマン......てこんな感じですよね(画像)。ここで生活するとは......。だ、大丈夫ですか?

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Photo: David BarrieCC BY 2.0、cropping)

長山B:もちろん、昔ながらの伝統文化を残した地域もありますが、都市部はかなり近代的ですよ。ショッピングモールとかありますし。電気、水道、ネットも通ってます!ただ、私が派遣されるのはボツワナの田舎のほうなので、やっぱり日本と比べると不便なところは多いと思います。停電することも多いだろうし、水道水そのまま飲んだらもちろんお腹壊しますし、国道をフラフラしてたらうっかりゾウとかライオンに襲われたりする危険もあるし......。

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社員の「やってみたい」を応援してくれた上司

長山A:どうしてまたそんな過酷なところに会社を辞めて行くことになったんですか?

長山B:それについてはこちらの記事(「長山、会社やめるってよ」)が詳しいのですが、理由は大きく3つありますね。1つ目は「もともと国際協力に興味があったこと」、2つ目は「自分のスキルアップのために、今の状況を変えたかったこと」、3つ目は「会社に制度が整っていて、上司が背中を押してくれたこと」です。

長山A:制度っていうのは「育自分休暇制度」というやつですか?

長山B:はい、そうです。「育自分休暇制度」は、転職や留学など自分を成長するために退職する人が、最長6年間は、復帰できるという制度なんですが、自分にぴったりな制度だなって。仕事とボランティア、どっちもいっぺんにやるのは難しいから、まずは2年間思い切り海外でボランティア活動をしてみよう、と。知らない土地、想像もできない異文化の中で2年頑張ったら、その後の仕事にも活きるだろう、と思いついて。

長山A:それはいい制度ですね。

長山B:はい。会社の制度と、「まだ若いんだから、やりたいことやれ」という上司の一言がなければ青年海外協力隊を受験していなかったと思います。自分が与えてもらっていた環境には本当に感謝しています。

長山A:アフリカではどんなボランティアをするんですか?

長山B:途上国のボランティアというと井戸掘りといったイメージを持たれることが多いんですが、実際の活動内容は派遣国・職種により大きく違います。私はコミュニティ開発という分野でボランティア活動をするのですが、地方の村落を回って生活改善や産業育成の支援をするのが仕事です。全くの異文化の中でチームを作って業務を回すという経験は、今後の仕事にも活きると思います。

70日間、山の中での過酷な(?)研修

長山A:青年海外協力隊に行こうと決めてからはどういう流れになるんでしょう?

長山B:まず、試験に受からないと行けないんです。なので、一次審査で書類選考を受けて、二次審査で面接試験を受けて......合格!しました。私の場合、合格発表から出国まで1年くらい間があったのでしばらくは普通に仕事したり、有給休暇で長めの夏休みを頂いて旅行をしたりしてました。そして、出発の3ヶ月前から、山奥の研修所で70日間の合宿研修を受けました。

長山A:合宿研修ってどんなことをするんですか?

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長山B:主に、語学の研修です。研修には毎回100人前後の候補者が参加するんですが、派遣される国もアジア・アフリカ中近東と様々なので、もちろん勉強する言語もひとによって違います。私は英語でしたが、他の同期はタイ語、モンゴル語、スワヒリ語、ポルトガル語など様々です。

また、職種(理数科教師、看護師、PCインストラクターなど)によって、専門的な単語を覚えたり実際の活動をイメージした講義やワークショップの練習をします。70日間の研修で中学生が1年間で受ける英語の授業のコマ数と同じ時間数をこなすんですよ。語学力アップにはとても適している環境だと思います。

長山A:それは充実したプログラムですね。研修所での1日ってどんな感じなんですか?

長山B:まず、「朝の集い」から始まります。

長山A:朝の集いってなんですか?

長山B:ラジオ体操と国旗掲揚とランニングです。

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長山A:......。結構すごいですね。

長山B:はい。最初は面倒ですが、慣れると学生気分で楽しいですよ(笑)  友達もたくさんできますし。

長山A:会社員生活とはかなり違った毎日だったみたいですね。

長山B:合宿研修での70日間の生活はかなり変わりましたね。まず、毎日6時前に起きて、朝から運動して3食決まった時間に食事をするという規則正しい生活になりました。あと、研修所はお酒の持ち込み不可なんですよ。私は月に2〜3回くらいしか飲み会はなかったですが、毎日会社のひとと飲んで帰っていたーなんてひとはかなり健康的な生活になったんじゃないでしょうか。

長山A:語学以外にも講義があるんですか?

長山B:あります。途上国でかかりやすい病気や救急法についての講義、犯罪に巻き込まれないための安全管理、異文化理解のワークショップや、慣れない環境でのストレス対処方法など、活動を円滑にすすめるために必要なことはひととおり身につけてからの派遣になります。

また、集団生活を送ることが意識されたプログラムになっていて、いろんな委員会があったり、キャンプイベントで皆でテントを張ったり煮炊きをしたり、協調性が身につくような内容になっていますね。そういう中で自分の価値観をもちながらも他人の価値観を受け入れられる精神的な強さももてるようになります。

会社を辞めて気づいた「常識」の勘違い。

長山A:研修中に何か大変だったこととかありますか?

長山B:訓練の様子をソーシャルメディアに気軽に投稿できないのが地味にストレスでした。IT系のイベントなんかでは、新しく学んだことはイベント中に写真つきでソーシャルメディアにアップ!というのが常ですが、協力隊員は公人なので......。講義中にfacebookやTwitterを更新するわけにいかないですからね。

民間ITベンチャーと創業約50年の国家事業のカラーの差はかなり感じました。自分が普通だと思っていることは全然常識じゃないんだなって。私は新卒でサイボウズに入社したのでこういう機会でもなかったら、ずっと気付かなかったかもしれません。笑。

長山A:会社員生活を辞めて半年ですが、何か心境の変化などはありますか?

長山B:会社を辞めて、こんなに会社に支えられていたんだなあってあらためて思いました。辞める前から、会社のことは好きだったんですが、いざ会社を離れてみるとそのありがたみがあらためて身にしみますね。

長山A:例えばどんなところでしょう?

長山B:迷ったときに道を示してくれる先輩や上司がいる心強さは、会社を辞めないとわからなかったですね。もちろん研修中も協力隊同期のメンバーや研修所のスタッフの方にはたくさん相談に乗っていただいたり力になっていただきましたが、最終的には自分の判断でものごとを決めて進めていかないといけないので......。

企画書をつくるのも、イベントを実施するのも、自分のキャリアアップのためのプランを考えるのも、会社にいたら「こうしたらどう?」って方針を示してくれる誰かがいますし、「なぜ今それをすべきか」について、チームのリーダーがきちんと方針と目的を話してくれます。失敗しそうになっても、なんだかんだで必ず先輩や上司がフォローしてくれる。会社に育ててもらっていたし、守ってもらっていたんですよね。

長山A:すっかり後ろ盾がなくなって、自立心が育まれつつありますね!

長山B:そうですね!早速鍛えられています。

「成果を出せるチーム」を作りたい

長山A:今後アフリカでどういう活動をしていきたいですか?

長山B:実はまだ活動する村の場所も決まっていないので......。詳しいことは現地に行ってからでないと決められないのですが、2年間かけてじっくり「一緒に協力して成果を出せるチーム」をつくりたいですね。日本で学んだITやマーケティングのスキルがあるといっても、向こうの方からみたら「あんまり言葉の話せない外国人がきた、なんだろう?」という感じだと思います。

ボツワナ共和国の国家課題としては、あと20年で尽きるかも知れないと言われているダイアモンド産業に代わる新たな産業の創出だったり、都市部と地方の経済格差を是正したいといった目標がありますが、現地の村の方々からは「ボランティア?何しに来たの?お金ないの?」というリアクションが返ってくる可能性もあります。そこから、草の根の活動で信頼関係を築いて、何かひとつのゴールに向かって成果をだせるチームをつくることは正直かなり難易度の高いチャレンジです。でも、そのチームの一員として自分の力を発揮することができれば、胸を張って日本に帰れると思います。

長山A:「育自分」の名にふさわしいチャレンジですね。ぜひ怪我や病気などせず、元気に帰ってきてください。ありがとうございました。

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(2014年6月6日のサイボウズ式 「育自分休暇日記──4年目社員、アフリカへ。会社を辞めて気付く「常識」のちがい」より転載)