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今伝えたい、児童養護施設に関して。子どもたちの未来が明るいものになることを願って。

2015年01月19日 18時52分 JST | 更新 2015年03月20日 18時12分 JST
Sunny Side Up

1月12日(月)、「チャイルド・エイド・アジア Friendshipコンサート 」を観てきました。

このコンサートは、

「児童養護施設など、様々な環境で暮らす子ども達が、自分を表現し、様々な人たちと出会い、交流する機会を提供することで、見えない障害を乗り越えて社会を生きていくための夢や智恵や力を育む助けをしたい」

という理念で活動されているNPO法人リトル・クリエイターズ主催イベントの1つです。その理念に共感し、私たちサニーサイドアップも、昨年からCSR活動の一環として協力をさせていただいています。

今回のコンサートでは、日本、シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピンの子どもたち総勢60名以上が出演し、歌や演奏、ダンスなどの素晴らしいパフォーマンスを披露してくれました。どの曲も二カ国以上の子供たちがコラボレーションするように演出され、国の違いを超えて音楽でコミュニケーションをする子供たちの姿は素晴らしいものがありました。

昨年に引き続き、秋篠宮紀子妃殿下もご臨席されていました。昨年初めてこのコンサートをご覧になった妃殿下が、今年も子どもたちの頑張る姿を是非観たいと、自ら希望されてご臨席されたとのこと。ステージ上の子どもたち1人1人にお心を配られながら、とても楽しそうに、目を細め観覧されていました。そして終演後には積極的に子どもたちと交流され、お言葉をかけていらっしゃいました。

このコンサートの特徴は、各国からオーディションで選ばれた才能あふれるアジアの子どもたちが一堂に集う、ということはもちろんですが、児童養護施設に暮らさざるをえない子どもたちも一緒に同じステージに立ち、司会やプレイヤーの一員として、自分たちらしい表現を行うことです。

私事でありますが、今から20年以上前、当時4歳だった児童養護施設に暮らすある少年と、長きに渡って交流を持っていたのですが、私は彼を通じて、児童養護施設の現状、施設を出た子どもたちをとりまく差別や、格差、貧困といった厳しい厳しい現実を、目の当たりにしました。

その彼は結局、19歳という若さで自らの人生に幕を閉じました。

今年、彼が亡くなってから七回忌を迎えますが、今でも、

私に出来ることがもっとあったのではないか、

何故彼を救えなかっただろうか、

という後悔の念に苛まれることがあります。

私が児童養護施設の子ども達と交流をはじめたころ、子どもとの付き合い方に悩むことが何回かありました。

週末に子どもを自宅で預かるフレンドファミリーという活動をしていたのですが、たとえ月1回の週末だけでも、

「楽しい経験をさせてあげたい、友達をたくさん作ってあげたい、普通の家庭の雰囲気を味あわせてあげたい、美味しいモノ・好きなモノをたくさん食べさせてあげたい......」

そんな想いで同じ時間を過ごしていましたが、別れの時が来て、施設に送り届ける度に大泣きし、私にしがみついて離れない彼の姿を見て、こんなにも辛い泣き顔を見るのなら中途半端な経験をさせたり、幸せな家庭に育っている友人の子どもたちと交流したりすることは、彼にとっては実は酷なのではないかという思いにかられ、施設職員の方に相談したことがありました。

すると、職員の方はこんなことを言われました。

「日本では、多くの人があれこれ心配しすぎて、あえて施設の子どもたちとは関わろうとしない傾向があります。中途半端だっていいんです。ひと時でも楽しい思い出をつくる助けをしてあげてください」

子どもたちにとって大事ことは何なのか、職員の方の言葉に込められた想いに背中を押された私は、それからも児童養護施設を訪問し続け、今でも子どもたちとの交流を続けています。

日本では、児童童養護施設のことはあまり知られていません。

少しでも多くの方が、現代における児童養護施設に心をかけ、子どもたちの未来が明るいものになることを願って、この場を借りて、子どもたちが置かれている環境を少しだけお伝えしたいと思います。

■ 様々な機会が限られている

「チャイルド・エイド・アジア Friendshipコンサート 」では、児童養護施設で暮らさざるをえない子どもたちに、芸術にふれる機会、国際交流をする機会を創出しています。バックステージでは、子どもたちが身振り手振りを駆使し、つたない英語を使って一生懸命に、でもとても楽しそうにコミュニケーションをしていました。

児童養護施設で過ごす子どもたちは、経済的に決して豊かとは言えません。

ですから、様々な機会が限られています。好きなテレビやビデオを見たり、本や漫画を買ったり、お菓子を買ったり、習い事をしたり......。私たちが子どもの頃、ごく普通に行っていたことができない現状があります。ましてや芸術に触れる、あるいは嗜む機会や、国際交流の機会に至っては、非常に限られていると言わざるを得ません。

例えば施設で育った子どもたちの進学に関して下記のようなデータがあります。(東京都福祉保健局2011年

最終学歴は、「高校卒」が 58.3%と最も多く、次いで、「中学卒」が 23.4%と多い。また、大学卒等(4年制大学卒、短大卒、専門学校卒)は 15.1%となっている。平成 22 年度学校基本調査報告(東京都総務局)によると、高等学校等への進学率は98.0%、大学等への進学率は 65.4%となっていることから、本調査回答者の中学卒の割合は相対的に高く、また、大学等への進学率は相対的に低いと考えられる。

データが表しているように、児童養護施設の子どもたちが高等教育を受ける割合は相対的に非常に低くなっており、将来の選択肢が限られていることが見て取れます。

■18歳で施設を出ないといけないという現状

児童養護施設で過ごす子どもたちは、全国で約3万人いますが(厚生労働省2014年発表)、18歳になると施設を出ないといけません。

しかし、18歳で施設を出て独り立ちを強いられる子どもたちは、進学や就職、孤独感、将来への不安など、様々な問題を抱えています。

18歳で急に社会に出され、独り立ちしろと言われても、住む家も、頼れる人も、親や親戚からのバックアップもない。不安定な就労状況で、金銭管理もできず、日々の生活もままならない......。

19歳で亡くなったその彼は、中学を卒業した後、施設を出て、15歳でホームレスになっていました。彼だけではありません。このような状況に追い込まれてしまう子どもたちは少なくないのです。

「チャイルド・エイド・アジア Friendshipコンサート 」を主催するNPO法人リトル・クリエイターズはもちろん、多くの方が子どもたちに関わる課題解決に向けて活動をされています。児童養護施設の子供たちの夢を応援する「カナエール」なども有名です。

自分は何もできないと思うのではなく、活動に共感できる団体を見つけ、できる範囲で支援をすることからでも、変化は起きると思います。

昨年流行ったアイスバケツチャンレンジも、結果としてサポートを必要とする病気が注目され、研究に多くの支援が寄せられました。

きっかけはどこにでもあります。まずは知ることがスタートです。

そして、課題が多すぎるから、色々と気を遣わないといけないから、などと物怖じすることなく、自分でもできることから積極的に関わっていくことが大切なのだ、と私は信じています。

私も、「チャイルド・エイド・アジア Friendshipコンサート 」のステージに立つ子どもたちの笑顔を見ながら、個人として、また会社としてできることを少しずつやっていこう、と改めて思いました。

多くの子どもたちの未来が、明るく希望に満ち溢れたものになることを、願ってやみません。

(サニーサイドアップ公式ブログ「SUNNY DAYS」より転載)