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田中将大の大型契約にメジャー選手もぼやく 新ポスティングシステムへの疑問の声は果たして妥当か?

2014年02月09日 02時34分 JST | 更新 2014年04月09日 18時12分 JST

新ポスティングシステムのあり方は正しいのか否か。ヤンキースが7年1億5500万ドルという超大型契約で田中将大を獲得したことで、今オフから施行された新制度に対して疑問の声が上がっているが、1例だけを取り立てて是非を問うのは時期尚早だろう。

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■ 田中の契約にぼやくメジャーリーガーの反応

新ポスティングシステムのあり方は正しいのか否か。ヤンキースが7年1億5500万ドルという超大型契約で田中将大を獲得したことで、今オフから施行された新制度に対して疑問の声が上がっているが、1例だけを取り立てて是非を問うのは時期尚早だろう。

前制度では、入札額が明らかにされないシークレットオークション方式で、最も高い入札額を提示した1球団だけが、ポスティングされた選手との交渉権を手に入れていた。だが、それでは特定の大きな予算を組める球団だけしか参加できない上に、得をするのは高額な落札金が手に入る日本球団(選手の前所属球団)だけ。ということで、新制度では、日本の球団が設定した譲渡金(最高2000万ドル)を支払う意思を表明した球団すべてが、当該選手と交渉に臨めることになった。譲渡金に上限が設けられたことで予算の少ない地方都市の球団にも獲得チャンスが生まれる、という触れ込みだったが、契約を結んだのは最高額を提示したヤンキース。結局は、以前と変わらない、という声が聞こえる。

確かに、今回の田中の契約は大きい。大きすぎる、と言ってもいいだろう。常識的に考えて、いくら日本で24勝無敗という成績を残したとしても、メジャーでは1球も投げたことのない投手だ。その投手に対して、メジャー史上5番目に大きな契約が与えられるのは常軌を逸している。

田中の契約が発表されるなり、ジェレミー・ガスリー(ロイヤルズ)が「円に換算したらスゴイことになるな」とツイートしたり、現段階ではまだフリーエージェント(FA)で移籍先が決まらないブロンソン・アローヨが「ダイスケ(松坂)みたいな例があるのに、すぐに忘れて、また新しい選手に大金を払う。同時に、自分みたいにコツコツ積み上げてきた選手の存在も忘れられるんだ」とボヤいてみたり。同じメジャーリーガーたちの反応もさまざまだ。

だが、今回の契約が大きく膨れあがった背景には、自由市場経済の原理がある。商品(=選手)の価格が決まるのは、需要と供給のバランスだ。需要が多くて供給が少なければ、商品を手に入れるために、消費者は高額の代金を支払わなければならない。

■ 新制度も完璧なルールではない

今オフのFA先発投手がこれに当てはまる。先発ローテの1番手、2番手を担えるであろうFA投手の数は少なかったが、求める球団が多かった。田中は今オフのFAランキングの中でもトップ10に食い込むほど評価は高く、獲得意志を示す球団が多かった。商品価値=契約は自然とつり上がり、7年1億5500万ドルという値段にまで達した。もし田中が今オフではなく来季オフにポスティングされていたら、まったく違う値段がつくだろう。需要と供給のバランスが売り手側に有利な状況で、田中という商品自体も旬を迎えた状態だった、さらには黒田博樹や岩隈久志、ダルビッシュ有らが、日本人先発投手の信頼性を高めたからこその結果と言える。

実際、新制度は旧制度に比べ、メジャー各球団とポスティングされた選手に対し、より大きな自由度を与えている。メジャー球団にしてみれば、これまで最高額を提示しない限り、交渉の席につくこともできなかったが、現状では、指定額を払う意思表明をすれば、選手との交渉に臨むことができる。高額な契約をオファーできなくても獲得意思の熱意だけは伝えられるし、トレード制限の項目をつけたり、出来高の項目を増やしたり、選手の育成方針を説いたり、契約に工夫を凝らすことで、折衷案を見いだせる可能性が出た。

選手の立場から見れば、単純に選択の幅が広がった。自分の意思とは関係なく、最高額で入札した1球団と交渉するしかなかった旧制度よりも、新制度の方が自分の意向を反映しやすい。最高契約額をオファーした球団ではなくても、かねてよりプレーしてみたいと思っていた球団からオファーがあれば、その球団と契約する可能性も十分にある。

さらに、複数球団と交渉できれば、2010年オフに起きた岩隈久志(当時楽天)とアスレチックス、2011年オフに起きた中島裕之(当時西武)とヤンキースのような破談劇はなくなることになる。破談の可能性がなくなるだけでも、選手にとっては大きなメリットになるだろう。

もちろん、新制度が完璧なルールに仕上がっているわけではなく、改善や見直しの余地はあるだろう。メジャーでは、来季オフは前田健太(広島)がポスティング制度を利用するのではないか、という予測が広がっている。もしこの予測が現実のものとなった場合、前田も驚くような契約を獲得するのか。それは、その時の需要と供給のバランスが大きく物を言うはずだ。

佐藤直子●文 text by Naoko Sato

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(2014年2月8日フルカウント「メジャー選手もぼやく田中将大の大型契約 新ポスティングシステムへの疑問の声は果たして妥当か?」より転載)

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