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決めつけて取材する朝日新聞記者

2014年12月10日 23時23分 JST | 更新 2015年02月08日 19時12分 JST
時事通信社

朝日新聞に設置された「信頼回復と再生のための委員会」で、記事の訂正について議論があったという。会合要旨には、「当社は、読者の信頼を取り戻すための第一歩として、訂正記事の書き方を変えます」とある。しかしその前に、訂正しなければいけない記事を書かないようにする必要があり、そのためには、取材姿勢を改めなければならない。

先般、帝国データバンクが11月分の倒産集計を発表した。それを報じた朝日新聞12月5日朝刊の記事の見出しは「円安倒産、3か月連続最多 11月」であった。一方、読売新聞12月9日朝刊は「倒産8年ぶり低水準」と伝えた。どちらがより正しいのだろうか。

元となった帝国データバンクの発表には「倒産件数は671件で、前年同月比18.2%の大幅減少を記録し、16ヵ月連続で前年同月を下回った」とある。それでは、円安倒産についてはどうか。「「円安関連倒産」は42件(前月39件)判明し、集計開始以降の最多件数を更新」と書かれている。つまり、倒産全体は100件以上大幅に減少したが、そのうち6%を占める円安関連倒産については、わずか3件前月から増加したというのが、帝国データバンクの発表である。読売新聞が全体像を報道したのに対して、朝日新聞は円安関連倒産だけに焦点を当て、全体像の報道を省略した。

「アベノミクスは間違っている」と決めつけて記事を書いたとしか思えない。だからこそ、記事は「海外から調達する原材料や輸入製品の価格が上がり、中小企業の収益を圧迫しているためだ」と続き、中小企業全体の問題であるかのようになっている。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では、シェアエコノミーについて3回連続してセミナーを開催した。政治家も呼んでシェアエコノミーの発展性について意見を交換したのだが、朝日新聞の記者は、「自宅を宿泊場所に提供するサービスは旅館業法に違反するというのが、厚生労働省の見解である。どう考えるか?」という質問を何度も繰り返した。これに対して、政治家は次のようにたしなめた。

法律が変わるまでやらないということをしていたから、日本はIT業界で遅れてしまった。グレーゾーンであるならやればいい。そのうち法律は変わる。決着が付けられるまで待っていたら、外資にすべて持って行かれてしまう。クロを押し切るのは良くないが、グレーならまずやってみてみるべき。政治家も後押しできる。

「お役所がクロといったらクロ」と決めつける朝日新聞の記者と、若者のチャレンジを後押ししようとする政治家と、どちらが支持できるのだろうか? 「検索エンジンは著作権法違反」との指摘におびえて展開が遅れグーグルに市場を奪われた過去を思えば、記者の考え方には僕は同意できない。そもそも、お役所にシロかクロかを決める権限もなく、それは司法の仕事だ。幸いにも、セミナーの直後に衆議院選挙が始まったために、「法律違反をそそのかす政治家」といった悪意に満ちた記事は出なかったが。

倒産統計もシェアエコノミーも、予断をもって取材し記事を書くべきではない。訂正記事の書き方について検討するより前に、「信頼回復と再生のための委員会」では取材姿勢について考えてほしい。