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「次世代安全システム」は本当に「次世代」か?

2014年09月29日 23時24分 JST | 更新 2014年11月28日 19時12分 JST
YOSHIKAZU TSUNO via Getty Images
Japanese auto giant Toyota Motor's hybrid vehicle Prius is driven on a street in Tokyo on February 12, 2014. Toyota announced a global recall of 1.9 million Prius hybrid cars because of a fault that could cause the vehicle to slow down suddenly, in the latest safety blow to the Japanese auto giant. AFP PHOTO / Yoshikazu TSUNO (Photo credit should read YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)

朝日新聞は9月27日朝刊に「次世代安全システム、新型プリウス搭載へ トヨタ自動車」という記事を掲載した。朝日新聞デジタルのほうが、説明図も載っているので、紙面よりもわかりやすい。「車同士や、道路についたセンサーが通信し、交差点や右折時の対向車の後ろなど、死角に入った別の車の存在を、カーナビなどを通じて運転手に警告する」というのが、次世代安全システムの機能である。

僕はかねてからこのシステムに疑問を投げかけてきた。吉川尚宏氏、町田徹氏と対談した様子が、ちょうど『現代ビジネス』に掲載されているが、そこでも言及した。5ページ目にあるように、「私のクルマと相手のクルマに同じシステムが乗っていないと衝突が防止されないからです。ですから、普及率が70%でも、出会い頭衝突事故を回避できる確率は、70%×70%で49%まで落ちるんですよ。そういうふうに効用が自乗で低くなるようなものについて、消費者が積極的に入れるでしょうか。」というわけだ。

朝日新聞によると、来年11月にフルモデルチェンジするプリウスに搭載するそうだが、出合い頭衝突のうち新型プリウス同士の割合は限りなく小さいはずだ。それとも、プリウスは特に出合い頭で衝突しやすい車種なのだろうか。このために「総務省が2011年の地上アナログ放送終了に伴い、交通安全向けなどに割り当てた760メガヘルツの電波を活用」するというが、電波の無駄遣いではないだろうか。

一方で、グーグルなどが自動運転技術の開発を進めており、トヨタ自動車も同様の技術を開発中である。今までの自動車は手動運転だから「手動車」だったが、これで本当に「自動車」になるわけだ。

多種多様なセンサーからの情報を元に、起点から終点までの全経路にわたって安全走行を図るのが自動運転である。全経路ではなく、交差点での衝突防止だけに限定したほうが実用化は早いかもしれないが、自動運転が普及し始めたら見向きもされなくなる恐れが高い。自動運転の実用化と競争になるが、自動運転の肝はITだから、急速に進歩すると考えられる。

それでも、これは「次世代」なのだろうか。ぼくには、「手動車」の延長線上での技術開発にしか見えない。トヨタ自動車が「イノベーションのジレンマ」に陥らないように祈りたい。