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東京都子供子育て会議がスタート/その役割と課題の解説

2013年11月28日 15時11分 JST | 更新 2014年01月27日 19時12分 JST

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ちょっと前のことになりますが、10月25日、第一回東京都子供子育て会議が行われました。

僕は国の子ども・子育て会議委員に引き続き、都の委員にも任命され、相変わらず勝手にTwitter実況中継を行いました。

http://togetter.com/li/581534

【役割】

この東京都子供子育て会議というのは、何か。それには昨年夏に国会を通過した「子ども子育て支援法」についてまず説明しなくてはなりません。この子ども子育て支援法というのは、待機児童問題等への国民的な関心の高まりによって作られた、約70年ぶりに保育政策を大きく転換させる法律です。

大きくは消費税を財源として7000億円が確保され、保育サービスの供給量を拡大し、一方で質を高める施策を行っていこうというもの。そして幼稚園と保育園が一20した類型が作られたり、これまで20人以上しか認可されてこなかった保育所を、19人以下でも認めていくという、新たな「小規模認可保育所」が創設されたりしています。

この子ども子育て支援法の一つの特徴は、法律では大きな骨組みしか決められていないこと。そして中身は保育・子育て支援の有識者で構成された「子ども子育て会議」で審議される立てつけになっていることです。

保育所の運営補助や、設置ルール等、制度の根幹に関わる重要な部分が、民間の有識者会議に委ねられているわけです。

更に、供給量を増やして行くためのニーズ調査、計画策定、進捗確認などを、都道府県や市区町村等の自治体に設置された、「地方版子ども子育て会議」に委ねることになっています。そうすることで、その地域によって多様なニーズを組み取りながら、独自な計画設定、機動的な計画修正等が可能になる、という論理です。

【東京都の課題】

さて、そうした訳で東京都も子供・子育て会議を設置しました。(子どもの表記が子供となっているのは、多分東京都なりのこだわりです。)

東京都は財政的には日本で最も豊かです。しかし、待機児童の多くが東京都に集中しています。また、児童虐待相談対応件数は全国2位。(出典: http://bit.ly/1g7oluP

進んだ都市化と核家族化によって、育児への孤立感も非常に高いです。

【東京都子供子育て会議でやるべきこと】

僕が個人的に東京都ならではの問題で、重要だと思う点を説明します。(待機児童問題解決等は既に前提で、国ともかぶるので、ここでは記しません。)

●認証保育所はどうなるの?

東京都は国の認可とは別に、独自にお金を出して認証保育所という仕組みを2001年に作り出しました。

国の認可保育所よりも規制が緩く、財政支援も認可程ではないですがそこそこ手厚かったため、企業参入を中心に大きく広がりました。

この認証保育所が、新制度では宙に浮きます

新制度では保育所は

1. 定員数20人以上の認可保育所

2. 定員数6-19人の小規模認可保育所

3. 定員数5人以下の家庭的保育所

に分かれます。認証保育所は人員基準では認可に該当するところが多数ですが、保育士率や面積基準では適合しません。

また20人台のところは、少し定員を減らして小規模認可保育所になるという手はありますが、三歳以上を原則預かれなくなるので、小規模化したくないと思うところもあるでしょう。

もし認証保育所が国の新制度のどこにも入らなかったら?

東京都は「ずっと責任もってやります!」と今のところは言っていますが、東京都が全額負担し続ける今の仕組みを、どこまで「ずっと」やってくれるのか、はかなり難しいところです。

また、仮に東京都がしばらく補助を出し続けてくれたとしても、東京都では「国基準の保育所」と「都基準の保育所」という違う宇宙が並列的に存在し、その両者に制度的な繫がりがなくなってしまいます

例えばそうすると、現在国の会議で話している「情報公開義務」(財務内容も含めてガラス張りにしてね)とか、「事故情報データベースへの事故登録」とか、そういったものに都の認証保育所は参加しないことになります。それだと結局、互いに事故事例を学び合ったり、保護者が園同士を比較して、質の高いところを選ぶ、と言ったような行動がしづらくなります

ということで、東京都は自前の制度にこだわるだけでなく、認証保育所を認可への移行したり、あるいは小規模保育の制度に則る「東京都版小規模保育」のようなものの可能性を探った方が現実的ではなかろうか、と思うのです。

(例えば国と交渉し、同一敷地内に複数の小規模保育を組み合わせることで、定員数を増やす。また都市部における特例をつくり、3歳以降も預かれるようにする等)

●増え続ける虐待問題、どうするの?

東京都は虐待相談対応件数においては大阪に次ぎナンバー2。東京都が運営している児童相談所は既に手一杯の状態です。更に、家庭の問題の相談に乗る「こども家庭支援センター」という施設は、区市(基礎自治体)が運営していますが、運営母体が違うので、しばしば連携できなくて、虐待案件などスルーしてしまう、ということが起きています。

じゃあ児童相談所もこども家庭支援センターみたいに、区市にやらせれば良いじゃん、と思うはず。実際そういう話は議論されていて、そうすることで各区に虐待問題を担当する施設ができるので、虐待対応力が強化され、こども家庭支援センターとの連携も運営母体が同じなので、今よりは連携しやすいはず。

そしたらやれば良い!ということになるのですが、ここで絡むのは、お金。児童相談所機能を各区にやってもらうためには、各区に運営予算が必要。今ある児童相談所は数カ所だから、これが23区だったら23箇所とかになるわけで、予算が増えるわけです。それってどこから持ってくるの、と。そこで話が止まる、というわけです。

個人的に、それには策があるのですが、長くなるのでここでは問題提起にとどめます。

●障害児保育問題、なんとかしよう

保育所は障害児を受け入れる義務が表向きありますが、民間保育所(私立認可・認証)は、受け入れても人員追加の予算(加算と言います)がつきづらく(あるいはつかない仕組みで)、実質的に受け入れられません。ですので、職員が公務員で、人件費が別の財布から出せ、障害児のために人を追加しやすい公立保育所でもっぱら受け入れを行うようになります。

しかし東京都は地方と違って、公立保育所比率が低い。よって、障害児の受け入れが難しいことが多く、待機児童問題がそれに拍車をかけます。

さて、この問題をどうするか。新制度では、地域型保育(小規模保育や居宅訪問型、事業者内保育、家庭的保育)という新たな仕組みがあって、そこでは障害児加算ができる仕組みになっています。(まだ本決まりではないけど、今のところ)

これらを駆使して、障害児の受け入れを進めなくてはいけないですが、東京都の保育担当官がこうした新しい仕組みにキャッチアップしていないと、十分な供給量を確保した計画を策定できません

この辺りも委員側から積極的に伝えていかねばいけない部分でしょう。

●病児保育、そろそろいい加減にしよう

東京都はベビーシッター会社も日本一いるのに、病児保育を施設型のみで行ってきました。そして需要に供給を全く追いつかせていない、惨憺たる状況を生み出してきました。一部渋谷区や足立区などは訪問型病児保育へのバウチャー支給等していますが、こうしたことは全東京都で行うべきです。

しかし、東京都医師会が「本来ならば母親が子どもの側についているべきだ」等と初回から発言。そりゃ一緒にいれたらいるけど、難しいこともあるからセーフティネットが必要なんだろ、というところですが、ある年代以降の人々にはあまり理解されていません。

こうした子育てをとっくに卒業した「有識者」がうっかり政策に影響を与えてしまう現状に対し、現在の子育て層が大きく声をあげる必要がありますが、その層の方達は選挙にいかない。更に「本当は親が休める社会になった方が良い」みたいな「一見正論っぽいこと」を言い出す人もいる始末。

「親が休める社会」になるのを待つのは良いけど、それっていつの話?ですし、そもそも働き方の変革とセーフティネット整備は二者択一ではありません。両方進めていけば良いだけなのに、勝手に二者択一に話をすり替えてしまう。そして次の世代がセーフティネット無き中さらに苦労する、と問題はループする、と。

書き出していくとキリがなさそうだし、腹の立つことが多いのでそろそろ辞めますが、財政豊かな東京都も、個別施策を見ていくと課題山積みです。東京都子供子育て会議で、どの程度意見を伝えていけるか分かりませんが、精一杯頑張っていきたいと思います!!

(※この記事は2013年11月25日の「駒崎弘樹公式ブログ」より転載しました)