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命が惜しければ「避難勧告」を待つべきではない

2014年08月25日 16時45分 JST | 更新 2014年10月24日 18時12分 JST

一昨日、ハフィントンポスト経由公開した、広島土砂災害から学ぶべき教訓とは?に対し、様々なチャンネルを経由して多くのコメントを頂戴した。一つのコメントの背後には同じ思い、疑問を持つ読者が多数おられる事と推測する。従って、本論である「命が惜しければ「避難勧告」を待つべきではない」に取りかかる前に、簡単ではあるが三種類に大別される読者コメントに対し、先ず説明を試みたい。

気候変動に対する地球温暖化ガスとの因果関係は未だ立証されていない

この指摘、批判は基本的には正しいと思う。とはいえ、学者が重い腰を上げ、気候変動のメカニズムを究明するのには随分と長い時間がかかると推測する。その間、地球温暖化とそれにより生じる集中豪雨を指を咥え傍観していては徒に犠牲者の数が増えるばかりである。露骨にいえば、本来死ななくても良い人間が死んで行くという事に他ならない。

仮説が間違いである事が科学的に立証されれば、その時に訂正すれば良いだけの話ではないのか?現段階では地球温暖化ガスにより海面温度が上昇し、これが積乱雲を大量に発生させ、今回の広島の様な集中豪雨から土砂災害を引き起こすとの仮説で対応策を策定すべきと思う。

更には、Los Angeles TimesのHow much water does California have left?

の様な記事も参考にすべきであろう。3年に及ぶ旱魃結果、南カリフォルニアでは後1年から1年半で水源が枯渇してしまうのだそうだ。そうなれば、当然この地域には人は住めなくなる。オバマ大統領はかかる南カリフォルニアの重篤な旱魃と地球温暖化ガスの関係を認め、THE PRESIDENT'S CLIMATE ACTION PLANを提案している。日本がこの事実を参考にすべきは当然ではないのか?

危険な場所に多数の日本人が住んでいるのは理解したが、コンパクトシティーの話は唐突

最悪の施策は「日本強靭化政策」などの看板を掲げ、近い将来限界集落になる事が確実な過疎の地域に災害対策を実行し、土建会社に小遣いを与えるだけのバラマキ政策を実行する事である。それよりは、未来に渡って長く住み続ける事が可能なコンパクトシティーを具現化すべきと考える。

今一つの理由は、年内にはTPPは合意すると予測する。勿論、これは日本がアジアにおける成長の果実の分け前にありつく事を意味するので歓迎すべき事である。しかしながら、日本の各都市がアジア各都市との都市間競争に晒される事でもある。行政サービスの中身と負担を天秤に掛け、少しでも有利な都市に企業や富裕層は移動してしまう。都市のコンパクト化により、高レベルサービス、低負担化を推進せねば、高齢者、生活保護受給者、公務員といった人間しか住まないゴーストタウンになってしまう。

危険な場所に多数の日本人が住んでいるのは理解したが、「避難勧告」の遅れに象徴される行政の対応にも問題があるのではないのか

この指摘は基本的に正しいと思う。ついては、ありがちな行政批判のための問題指摘ではなく、今回の広島で発生した土砂災害を参照例として、少しでも将来の犠牲者を減らすといった趣旨で論考を試みる。先ず、基本的な話として、私は今回の多数の犠牲者の背後にあるのは、地球温暖化に伴う異常気象以前に立案した避難マニュアルを、集中豪雨のレベルが格段に重篤化している今も金科玉条の如く順守している行政の怠惰にあると見ている。

毎日新聞は今回の土砂災害に関し、下記の通り伝えている。

同市の松井一実市長は災害発生当日の20日、記者団に対し、降雨が局所的だったことなどから「避難勧告まで出すかどうかちゅうちょした」と対応の遅れを認めた。だが、22日の記者会見では、避難勧告について「市のマニュアル通りにやった」と釈明。

「市のマニュアル通りにやった」結果として、かかる甚大な人的犠牲を出した訳である。「市のマニュアル」とやらが、現在一般的になってしまった激しい集中豪雨の事態を反映していないのは明らかではないのか?。「市のマニュアル」が単位時間当たり一体幾らの雨量で策定され、一方、今回の実際の雨量がどうだったか?広島市は公表すべきと思う。

上記と併せ、これ程日本国中で集中豪雨が頻繁に発生し実際に被害が生じているというのに、何故「市のマニュアル」の見直し、事態に合わせた改善をしなかったのか?誠に以て訝しい。広島市は行政として、脳死、思考停止と批判されても致し方ないと思う。

広島は典型的な日本の地方都市?

広島市長や広島市役所職員には申し訳ないが、仮に広島が日本の地方都市の中で札付きの最低最悪であれば、日本の状況は左程重篤ではない。広島は例外と切って捨て、殆どの地方都市では住民の安全、安心は保障されていると理解して良い。

しかしながら、実態はその真逆であろう。詰まりは、広島は典型的な日本の地方都市であり、他の地方都市も状況は似た様なものであり、偶々今回広島で起こった様な局地的な集中豪雨を免れているだけの話と推測する。従って、自宅場所が危険地域であるか否か速やかに調べる必要がある。仮に、不幸にして危険地域であるならば、早く安全な場所に引越しすべきである。

経済的に引越しが難しければ、残念だが消去法として危険地域に住み続けるしかない。その場合大事な事は、自宅のある地方都市の「市のマニュアル」も、広島同様気候変動以前の降雨量をベースに策定され、見直しがされていないと思われる点である。

従って、地方の首長や地方公務員には失礼かも知れないが、「命が惜しければ「避難勧告」を待つべきではない」という結論にならざるを得ない。予め絶対安全な避難先を決めておき、自ら情報を収集し、決断し、早めの避難を実行するのである。子供が学校に通学しているケースであれば、予めかかる一家としての避難方針を学級担任に説明し、速やかに迎えに行き、子供を引き取り、一家揃って避難先に移動する運びとなる。

一家の生命と安全を、脳死と思考停止の産物である「市のマニュアル」などに絶対に委ねてはならないというのが、今回の広島土砂災害の教訓ではないのか?

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