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宿輪純一 Headshot

『ロスト・バケーション』―"サメ"というブランド(105)

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(THE SHALLOWS/2016年)

人気のない秘境ビーチでサーフィンしている時に運悪く負傷し、満潮時には海に沈む岩場に一人取り残されたヒロインが、危険な人食いサメにガンガン狙われるという、夏に必須な「サメ系パニック・サスペンス」。それに加え、ものすごくきれいなビーチを見るだけでも、心が洗われる気がした。

美人でスタイルのいいヒロインはテレビシリーズ『ゴシップガール』でブレイクし、ファッションアイコンとしても注目されているブレイク・ライヴリー(28歳)。

休暇で秘境のビーチ(映画の設定ではメキシコだが、ロケ地はオーストラリアのロード・ハウ島)に来た医者のナンシー(ブレイク・ライヴリー)は、サーフィンを楽しんでいた最中に、サメに襲われ脚に傷口がパックリ開くという重傷を負う。何とか近くの岩場にたどり着くことはできた。しかし、典型的な展開であるが、サメがナンシーの存在に気が付いて狙いを定め、周囲を旋回していた。砂浜までおよそ200メートルだが、サメを突破することは不可能。地元のサーファーも餌食になり、孤立無援。しかも、その岩場が満潮で海面下に沈むまであと100分。絶望的な危機に追い込まれ、絶体絶命。どうするナンシー!

夏になるとサメ映画が公開されることが多い。サメ映画の代表は何といっても『ジョーズ』(1975年)であろう。本作はそれに続くものではないかと思う。

サメ映画は、特にアメリカ人が好きである。夏になると毎年必ずといっていいほどサメ映画がいくつも公開される。まず、サメはアメリカでは沿岸で結構よく遭遇する身近な問題だからではないか。西海岸でも、東海岸でもそうである。ジョーズもニュージャージー州で起こった事件が基になっている。現在、日本沿岸ではあまりサメとは遭遇しないのではないか。以前というか古代は、結構いたようで『因幡の白兎』では、サメがワニとして大量に登場してくる。

サメ映画の特徴は、B級、いやC級のものが多いという特徴がある。実は筆者も結構好きで良く見ている。サメが淡水にも現れたり、大量に現れたり、地上に上がったり、巨大になったり、メカになったり、首が3つになったり、空から降ってきたり、宇宙に行ったり・・・とかなりすごい。まさに「ゴジラ」の発展形態と同じ様に感じられる。

そうなのだ。「サメ」というのは、夏の風物詩というか、「ゴジラ」のような「ブランド」なのである。夏では必要なのである。しかも、ブランドでも著作権料はかからない。これを使わない手はない。B級でもC級でも、サメ映画はある程度は当たるのである。

また、日本ではサメは食べるが、西洋ではあまり食べない。一方、中国料理ではフカヒレは高級食材である。実は本作に登場するホオジロサメは、このフカヒレを取るためや、スポーツハンティングの対象として乱獲されており、なんと絶滅危惧種に指定されている。本当は、ホオジロザメは空腹でない限りは何も襲わず、こちらから危害を加えなければ何もしてこない。本当に怖いのは人間の方なのである。

原作は『THE SHALLOWS』で浅瀬の意味である。しかし、この単語は日本人はあまり知らない。ちなみに、試写会の隣に座った同業者は「スワロー」と発音していた。B級映画では「シャーク・・・・」という題名も多く、敢えて「シャーク」を入れないように邦題を決めたようである。"A級のサメ映画"ならではのエピソードである。

 
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