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「ナイジェリアには犯罪者しかいない」-警察が悪を全面サポート

2013年12月28日 20時08分 JST | 更新 2014年02月27日 19時12分 JST

西アフリカの他の国でも、税関で積荷やコンテナが失くなることがあります。同じ旧英領のガーナでは1月もしないうちに商品を取り戻せたり、犯人が処罰されるのに、ナイジェリアではL/C(信用状)取引すら保険の請求もできない状態で放置され、窃盗犯の処罰も賠償もありません。

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ナイジェリア警察に被害を届けると、捜査にかかる交通費、通信費などに加え、飲食の要求、異動のご祝儀(万単位)や個人的なおねだりに苛まれます。

といって、お金を払えば捜査が進む訳ではなく、裏で犯罪者から多額の金をせしめ、野に放つのでした。誘拐や殺人すら、最初から告訴を諦める人もいるのです。

新聞やネットを見ると、警官の犯罪が頻発しているのが分かります。パイプラインからガソリンを盗む窃盗団を警官が率いていた、路上の警官が30円程度の賄賂を払わなかった通行人を射殺、夜タクシーを探そうと道路脇にいた人を射殺、等々。

若い頃から外国と行き来してきた夫はナイジェリアのそんな現実を知らず、窃盗を届け出た時から警察に翻弄されることになったのです。

積荷の窃盗が発覚した翌日、通関業者が逃げ回るので警察に被害を届けると、警察は通関業者のマネジャーの妹(銀行勤務)を拘束しました。ナイジェリアでは被疑者の身内を拘束して出頭させることがあるのです。

ようやく通関業者が持ってきた書類を見ると、税関検査の時点で数が足りないと書いてありました。いつも検査に立ち会う諸機関がおらず、複数いるはずの税関職員が一人しか署名してないなど、不審点だらけです。

帰省していた通関業者の社長に事情聴取するため、彼の故郷アナンブラ州まで刑事2人を送り出しました。車とドライバーを提供し、一切の費用はこちら持ちです。社長は村で家を新築し、「チーフ」という称号になったお披露目をしていましたが、本人は見つかりませんでした。

後日出頭した社長を、警察はその日のうちに保釈。それからは盗品の隠し場所が分かったという刑事を車に乗せ、夫はラゴス中を走り回りました。毎日のように朝食と昼食、ときに夕食まで振る舞わされ、「家族の治療費」など金銭を要求され、出費だけが膨らんでいきます。

州警察トップに陳情しましたが、最寄の署から上の組織、そして刑事本部に担当を替えてもらっても、やはり同じでした。

窃盗から半年あまり、一人で翻弄される夫をサポートするため、日本での窓口だった会社を閉じ、私も子供を連れてラゴスに移動しました。

警察長官に直訴して、刑事本部の別の部署が担当になりましたが、この頃には税関と裏で話がついていたようです。

刑事をせっついて税関に問い合わせの書類を送っても回答なし。夫が刑事を連れて税関に乗り込むと、ゲートで「中に入るのは刑事だけだ」。警察だけなら買収可能なので、職員が妨害していたのです。押し問答している間に車が渋滞してきて、何とか夫も刑事と一緒に税関内に入れました。

税関の担当者にはDHLで書類を送っていたにも拘らず、「受け取ってない」。DHLの配達記録を盾にまた押し問答の末、税関はついに関係職員を出頭させると約束しました。

出頭したのはイスラム教徒2人。積荷が盗まれたコンテナを配送させた事実は否定しようもなく、大の男が泣いたそうですが、警察は即日保釈。

保釈すると数十万~数百万円か、関係者の臨時収入になるのです。「保釈で稼がせてくださいよ」という露骨な刑事もいます。ナイジェリアでは窃盗や横領、詐欺、放火などの被害に遭いましたが、警察に告訴しても犯人はすべて「保釈」で放置されました。

「ナイジェリアには犯罪者しかいない」と近隣の国で言っているそうですが、まさに悪貨は良貨を駆逐する。警察は被害者を罠にはめてでも犯罪を握りつぶし、悪循環で犯罪が割に合う社会となっていたのです。