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オフィスに行くことも、社員と出会うこともないオンライン完結型インターンシップ

「柔軟な働き方とか、テレワークという言葉がよくわからなかったが、今回、すごくよく理解できた」

2017年10月19日 13時01分 JST | 更新 2017年10月23日 19時11分 JST

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(女性は若者支援機関よりインターンシップに参加した)

とてもきれいなオフィスなんですね

特定の職業の経験を積むため、企業で働くとはどういうことかを学ぶため、大学生に限らず広くインターンシップや職場体験が行われている。私たち育て上げネットの就労支援プログラム「ジョブトレ」でも、企業と連携したインターンシップは人気であり、そこで得られた経験を就職活動に生かしたり、インターンシップ先の企業の求人に応募したりしている。

しかしながら、一定期間、自宅から企業に通う形式の多いインターンシップにはいくつかの課題がある。ひとつはコストである。交通費など実費負担分を拠出しなければならず(交通費を出す企業もある)、距離が離れればそれだけ負担分が重くなる。もうひとつは物理的制約だ。

居住地域によっては、周辺にある企業の業種や業態が偏り、そもそも希望する職種や業態の企業が存在しないこともある。かといって、該当地域に一時的な居を構え、インターンシップを行うには時間も費用も大きなものとなってしまう。

そのような課題の存在により、若者と企業の接点が限定的になってしまうことは双方にとって大きな機会損失となり得ると考え、日本マイクロソフト社と育て上げネットが連携し、面接から実際の業務経験までをすべてSkype for Business(以下、スカイプ)を活用して行う、オフィスに行くことも、社員と出会うこともないインターンシップを試行的に行った。

「わぁ、とてもきれいなオフィスなんですね」

プログラムに参加した20代の女性は、"インターンシップ先であった"社内業務システム開発とWEBサイトの運用構築、ICTを活用した経営改善を事業とする東京都中央区にあるダンクソフト社のオフィスを初めて訪れ、入口でそうつぶやいた。

20代男性は育て上げネット(東京都立川市)から、女性はふなばし地域若者サポートステーション(千葉県船橋市)からインターンシップに参加した。申し込みも面接もスカイプだったため、画面越しで指導を受けたダンクソフトの社員の方々ともこの日、初めて面会した。もちろん、二人の若者が対面したのも初めてだった。

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(育て上げネットのオフィスからインターンシップに参加する男性)

企業、NPOの期待と不安

インターネットを使い、スカイプを通じて物理的な制約なく企業でのインターンシップを行うにあたって、若者支援団体も、企業側も期待と不安があった。

支援団体の期待は、希望する職種や業種、そもそもインターンシップ受け入れ企業が限られた状況のなか、若者の希望に少しでも沿えること。不安は、オフィスに行くことも、先方社員と対面で出会うこともない環境で、若者が最後までインターンシップを行い、充実した時間を過ごすことができるのか。

一方、企業側として本プログラムの協力企業であるダンクソフト社の代表取締役の星野晃一郎氏は、期待と不安についてこう話す。

「企業が期待するのは採用です。特に東京では採用が難しい。人がいないと言うけれど、今回の若者たちのように働きたいという人はいるんです。ですが、その事実を知らない企業も多い。このような企業と若者のマッチングというのは社会としても期待が大きいでしょう。不安面は企業や事業に対する認知度ですかね。若者たちは実際に会社に来ないでインターンを行うので、受け入れ企業の理念や事業内容など会社を知ってもらうことが課題になります。これはインターンプログラム全体で考えていきたいですね。」

事前のネット環境などは支援団体が責任を持って整え、インターンシップに臨むにあたっての一般的な研修および最低限のスカイプの使い方などは伝えた。しかし、通常のインターンシップでは、若者自身が企業のなかで指導を受け、わからないことは調べたり、社員に質問して解決していく。そのため、インターンシップ中は職場で課された業務をこなしていく"目の前の若者"に必要以上のサポートは行わないようにした。

スカイプでの事前面接を終えた若者は、画面越しに三日間のインターンシップを行った。オリエンテーション、ダンクソフト社におけるスカイプルールの共有から始まり、実作業としては、ダンクソフトの働き方を紹介するWEBページを作成、納品すること。WEB会議で仕事内容の説明を受け、社員にオンラインインタビューを行う。原稿にお越し、Windowsアクセサリ「メモ帳」を使ってWebページ(コーディングも少し活用した)を作成する。

実際に納品した記事はこちらから読むことができる。

テレワークインターン生作成のインタビュー記事 No.1

テレワークインターン生作成のインタビュー記事 No.2

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(インターン終了後に訪れたダンクソフト社にて星野社長より修了証をいただいた)

すべてのプログラムを終えた最終日、最後の御礼や挨拶もスカイプ越しに行った。回線不具合などちょっとしたトラブルはあったものの、プログラムが止まってしまったり、作業が滞ることもなかった。むしろ、丁寧な準備と適切な環境があれば、スカイプを使ってのインターンシップには大きな可能性を感じる結果となった。

コストもあまりかからず、物理的な制約にもしばられない本プログラムは、日本のどこにいても、海外にいても、インターネットがつながっていれば若者が希望する企業で働いてみることができる。企業からしても所在エリア周辺に居住する若者に限定することなく、インターンシップを通じて若者との接点を持つことが可能だ。

今回以降、試行的プログラムを重ね、プログラムをアップデートしていく計画となっている。経済的、物理的制約のある若者と企業の接点を、インターネットを使って創出していくこと、その可能性についてパートナーの日本マイクロソフト社会貢献課長の龍治玲奈氏からも期待の言葉をいただいた。

「若者が安定雇用に繋がるまでの支援連携の必要性については、これまでも「若者と仕事」等を通じて協議してまいりました。今回、支援をご一緒するNPO・パートナー企業のお力を頂いて、実際の事例を創りあげられたことを心から有り難く思います。学びを共有していくことで、日本全国、或いは諸外国でも、地理的な制約無く、若者たちが一人ひとりの生活あった形の就労を実現し、豊かな社会が実現されることを期待しています。」

インターネットを利用したインターンシップが多様なニーズを一手に解決できるものとは考えていない。しかし、これまでのインターンシップが持つ制約条件をひとつでも、ふたつでも越えていき、少しでも若者が「それであれば!」と参加できるプログラムを増やしていきたい。

若者も参加したフィードバックの会議では、実際のインターンシップはどうであったか。何か視野は広がったのか。もっとよいプログラムにしていくにはどのような改善が必要か、などが話し合われた。

男性は、「特に改善を求めるところはありません。こういう働き方ができる企業で仕事がしたい」と話した。女性も、「柔軟な働き方とか、テレワークという言葉がよくわからなかったが、今回、すごくよく理解できた」と話してくれた。

テレワークや柔軟な働き方について多くの議論がなされるなか、実際に「自宅やカフェから業務を行う」といった経験のない若者にとっては働き方や業務遂行のイメージをつけづらい。今回のプログラムを通じて、参加した若者が「柔軟、多様な働き方をPRしている企業は積極的に見ていきたい」と言っていたのはとても印象的であった。

今後、インターネットを利用したインターンシップを継続していくなかで、より汎用性と拡張性を持って広がっていくよう努力を重ねていく。

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