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日本にとって、安全保障上の最大の脅威は債務だ

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A vector illustration depicting the recession in Japan and general economic downturn their economy. | grimgram via Getty Images
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国会前で大規模なデモが繰り広げられ、多くの国民の理解が得られない中、安倍政権は安保法制を国会で成立させた。安倍首相は中国や北朝鮮を名指しで、事実上の「脅威」に見立て、安保法への国民の理解を広げようとしてきた。

■ 膨大な国の借金は「トロイの木馬」

しかし、日本にとって安全保障上の最大の脅威は、今や中国や北朝鮮ではなく、1000兆円を超える国の公的債務だ。この膨大な借金は、日本にとって「トロイの木馬」のようなものだ。今後、社会保障費や軍事費の拡大による財政悪化懸念から国債が暴落したら、それこそ国民の命や暮らし、生活を根底から脅かす元凶になりかねない。そして、財政破綻をしたギリシャのように、各種の行政サービスのカットに加え、年金削減や増税の痛みからも逃れられない。(日本は財政再建のため、社会保障費を抑制せずに、すべてを消費税率の引き上げで賄おうとした場合、最終的に30%超の税率が必要になる、との試算もある)

さらに言えば、かりに国債が暴落する事態に陥らなくとも、政府は今後、ますますどんな政策を打とうとしても、常に「財源はどうするのか」という深刻な懸念に付きまとわれることになる。財政状況が火の車で、何をするにしても、カネが無くなる。

この背景には、国の膨大な借金(国債)を買い支えてきた国内の民間(家計+企業)貯蓄が、人口の高齢化や家計所得の低下によって、長期的な減少傾向に陥っていることがある。庶民のタンス預金を含む民間貯蓄は、これまで預金や年金・保険といった形で国内の金融機関に集まり、国債の発行を国内で十分に消化することに寄与してきた。しかし、今後はボディーブローのごとく、それがじわじわと難しくなることが目に見えている。

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日本の国債が国内需要で十分に賄えないようになるとどうなるか。外国勢の国債保有シェアがぐっと高まり、市場での金利の決定で、ヘッジファンドなど海外勢の影響を強く受けるようになるだろう。もし海外勢の影響を受け、金利が上昇すれば、国債を大量に保有している銀行や生保など国内の機関投資家のバランスシートが毀損。さらに、日本国債が格下げされれば、こうした日本の大手金融機関も、国債を手放さざるを得ない事態も想定できる。

■ 世界最悪の財政赤字

経済協力開発機構(OECD)によると、日本の債務残高の対GDP比は232%に達し、世界最悪の状況だ。ギリシャ(188%)を大きくしのぐほか、財政危機に陥ったイタリア(147%)やポルトガル(142%)、フランス(116%)、アメリカ(106%)を大きく上回る。

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よく「日本が世界最大の債権国」であることから、日本の安心や安全、国際的な信認を強調し、日本の国債の暴落リスクを一蹴する議論がある。しかし、アメリカに大量に保有する日本の米国債(1兆1970億ドル)は、自国の借金返済のためでも簡単には売却できない。1997年当時の橋本龍太郎首相は、日本政府保有の米国債の売却をにおわす発言をして、その後、退陣を余儀なくされた。

また、マクロ経済では、国内の民間貯蓄の低下と財政赤字の増加は、現在の経常黒字の低下を意味する。

財政収支+民間貯蓄(企業と家計)=経常収支

東日本大震災後のように、経常収支が再び赤字に転じれば、フローの国内需要が不足し、海外勢の影響を強く受けるようになる。

リーマンショック後、アメリカの財政赤字が2年連続で1兆ドルを突破した2010年、アメリカ軍の制服組のトップである、当時の国防総省(ペンタゴン)のマイケル・マレン統合参謀本部議長も「アメリカの安全保障の最大の脅威は、債務だ」と、膨れ上がる財政赤字に警告を与えたことがある。

■ 日本は「茹でガエル」か

ひるがえって、日本はどうか。そのような警告を与える政治家や企業人はいない。逆に、2016年度の一般会計の要求総額は、年金や医療、介護など社会保障費や防衛費が膨らみ、102兆円超と過去最大を更新した。民主党政権と比べ、安倍政権の下、財政規律は緩み、歳出削減の取り組みは鈍くなっている。この国は、感覚麻痺の「茹でガエル」のたとえのように温度が危険なほど上昇するまで、深刻なリスクに気づかないでいいのだろうか。

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