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ベルリンの街で出会った10代の高校生たちが、「とりあえず」選挙に行く理由

とりあえず投票所に足を運んでほしいのだ。

2017年10月13日 16時20分 JST | 更新 2017年10月13日 16時26分 JST

2017年10月22日。

第48回衆議院選挙の投開票日である。

とりわけ今回の選挙で個人的に注目しているのは、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初めての衆議院選挙であるということ、さらに平成26年に実施された前回の第47回衆議院選挙では20歳代の投票率が戦後最低の32%(これは60歳代の投票率の半分以下)をマークするという何とも言い難い結果に終わったことから、10歳代、20歳代の若年層の投票率がどのようなグラフを描くのか、ということである。

筆者は現在ドイツに交換留学中であり、ドイツの学生たちがどのように自分たちの国の政治を見ているのか、ということをしばしば知る機会がある。9月24日に行われたドイツの総選挙日の二日前、アンゲラ・メルケル首相の対抗馬として注目されていたSPD(ドイツ社会民主党)の党首、マルティン・シュルツ氏の演説集会がベルリンで行われていたので立ち寄ってみた。

ふと周りを見回してみると、傍聴している人々はお年寄りや社会人だけではなく、若い人たちの顔があちこちに見られた。中には中学生か高校生くらいかと思われる人たちも立ち止まって話を聞いていた。

村上倖司朗
(SPDの演説集会の様子)

さらに、この記事を書くにあたってドイツ人数人に話を聞いてみたところ、自分とは年の変わらない学生から出たとは思えないような答えが返ってきた。「どうして投票に行くのか」と尋ねると、「選挙は自分たちの声を反映する貴重な手段だから」(20歳)、「投票に行くことは義務であり、自分たちの国がどのような国になっていくのかを決定するのは自分たちであるべきだから」(20歳)、「政府は毎回同じことをやっていて、自分たちで変えようとしないと何も変わらないから」(18歳)・・・などの答えが返ってきた。最後の言葉は、つい2週間に行われた選挙が彼にとって初めての投票だった18歳の青年が放った言葉である。

これらから、ドイツにいる学生たちが自分の国の政治をいかに高い意識を持って眺めているのかをうかがうことができる。でも、僕はここで「政治に対して高い意識を持っているドイツの学生は素晴らしくて、日本の学生は意識が低いからダメだ。

日本の学生はドイツの学生を見習うべきだ」と、いわゆる「(世界を見てきた)グローバル人間」の立場から日本の学生たちに対して古臭い説教をしたいわけじゃない。確かに、目指すべきところはドイツのような「成熟した民主主義」なんだろうけど、まずは「小さな興味」を持ち始めるところからスタートすればいいと思う。

では、その「小さな興味」を持ち始めるためにはどうすればいいのか。

とりあえず投票に行ってみる、ということだ。

興味がないから投票に行かないのに、興味を持つために投票に行け、という矛盾したことを言われてもピンとこないかもしれないが、とりあえず投票所に足を運んでほしいのだ。

恐らく、多くの学生が持つ投票に行かない理由のひとつは、「政治に対する知識がないから」、「なんか選挙って難しそうだし」というものであると思われる。そういう人たちに対して僕が言いたいのは、「そんなに難しく考えなくていい」ということである。きっと、多くの人が「政治」・「選挙」というものに対して難しいイメージを持ちすぎなのだと思う。いや、確かに政治は難しいものなのだけれど、難しいからと言って投票に行かなければいつまで経っても変わらない。

だからまずは、難しく考えることから脱却してほしい。そういう僕も、つい最近まで政治になんて全く興味がなかったし、選挙権を持つ前は別に「選挙に行くべき」なんて考えていなかった。そんな僕が政治に興味を持つようになったきっかけは、バイト先の先輩が政治を始めとして色んなことに精通しており、色んなことを知ってるってことが、なんとなく「かっこいいじゃん」って思ったからだ。きっと、何かに興味を持ち始めることってそんな単純なことでいいんだと思う。

「投票する」、つまり「誰かを選ぶ」ということももっと単純に考えていい思う。テレビやネットでニュースを見ていると、「安保法制」やら「加計学園問題」やら「デフレ脱却」やらなんだか難しい言葉がズラリ。

でももっともっと簡単に考えて、例えば、「東日本大震災のような大災害がまた起こった時に、また北朝鮮からミサイルが落ちてきたときに一番冷静に対応してくれそうなリーダーを持っている政党はどこか」とか、「なんとなくこの人ならよくしてくれそうだから、イメージがいいから」とか、「自分は今、大学の奨学金で苦しんでいて、未来の大学生にはそうなってもらいたくないから、大学の授業料無償化を推進している政治家は誰か」とか。テレビでは「今回の選挙の争点は○○!」とかよく言われているけれども、選挙の争点なんて人それぞれなのだから自分で決めてしまえばいいのだ。

投票に行く理由も、「この多額の税金がかかった一票を投じに行く」とかそんなに気張って考えなくても、「友達と出かけるついでに一緒に行く」だとか、「買い物の帰りに投票所に立ち寄る」とか、「地元の中学校の先生に会いに行くついでに」とかでいいんだと思う。

とりあえず投票に行く、ということ。そうすれば、きっと知識も興味もドイツの学生が持つあの意識もあとからついてくる。

それが、つい最近まで政治になんて興味のなかった普通の大学生が政治にあまり興味のない普通の大学生たちに対するメッセージ。

最後に、ベルリンの街で出会った16歳の高校生たちが「どうして若い人が投票に行くべきだと思うのか」という質問に対して答えた言葉を紹介したい。

「政治は未来の世代のためにあるべきだし、未来の若い世代のために、また私たちの世代のために私たちで何かを変えたいから。」

本来、未来の世代のためにあるべきであるはずの政治。これから何十年もこの国で生きていかなくてはならない10代、20代の若者たちではなく、60歳を過ぎた人々がこの国のあるべき形を決定する。それって何かおかしいことだと思いませんか?