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北京の街角から(その2)-変貌する都市景観:研究員の眼

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四半世紀ぶりに訪ねた中国・北京の都市景観は一変していた。多くの超高層ビルが林立し、その間を何本もの高速道路が走っている。

北京随一の繁華街・王府井には、おしゃれなショッピングセンターがたくさん集まっている。北京の現代建築には特異なデザインのものが多い。超高層ビルの上部が龍をかたどっていたり、建築というより巨大なオブジェのようであったりする。

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最も目を引く超高層ビルは、2008年に竣工した中国中央テレビ(CCTV)本社ビルだろう。北京市東部に建つ同ビルの設計は、オランダ人建築家のレム・コールハースだ。

200メートルもあるふたつの傾斜する超高層ビルを頂部で90度曲げて連結し、中央に大規模な外部空間が生まれる。同地区では2018年に完成予定の「中国尊」という500メートルを超える北京一の超高層ビルも建設中だ。

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2008年の北京オリンピックのメインスタジアムとなった北京国家体育場(通称"鳥の巣")も世界中から注目された。設計はスイス人建築家ユニットであるヘルツォーク&ド・ムーロンで、東京・表参道のプラダ青山店の設計でも知られる。

斬新なデザインのオフィス・商業ビルでは、2020年東京五輪の新国立競技場の元設計者だったザハ・ハディドによる「銀河SOHO」や「望京SOHO」がある。

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文化施設では天安門広場近くに建つ大規模なオペラ劇場とコンサートホールを含む中国国家大劇院がユニークだ。設計はシャルル・ド・ゴール国際空港を手掛けたポール・アンドリューで、まるで水面の上に浮かぶUFOだ。

隣接して人民大会堂がある。パリ・ルーブル美術館の中庭には、中国人建築家I・M・ペイ設計のガラスのピラミッドがあるが、北京とパリの相互にみる新旧建築の対比が面白い。

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北京をはじめとした中国の都市景観の特徴のひとつは、公園に多くの人が集まっていることだろう。北京にも大きな公園がたくさんあり、朝早くから大勢の人が太極拳や気功などを楽しんでいる。

今回、数人の人が円陣をつくって、バドミントンの羽根のようなものを蹴鞠のように蹴る遊び(チェンツ)をよく見かけた。広場や駅のコンコースなどでもこの遊びに興じる人がたくさんいた。

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北京市はオリンピックを契機に、旧市街の路地である「胡同(フートン)」や伝統的家屋の「四合院」の多くがクリアランスされ、近代的な美しい街に生まれ変わった。積極的な保存活動も行われているが、既存のコミュニティが壊され、奇抜なデザインの建築がたくさんつくられたことには懸念も感じる。

長い歴史と伝統を有する中国が、欧米の文化を貪欲に吸収した結果、あらたにどのような文化を創造するのか、開発と保存をめぐり、半世紀後の北京オリンピック・レガシーの成果が問われる。

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(2017年7月11日「研究員の眼」より転載)
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社会研究部 主任研究員
土堤内 昭雄