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トランプ大統領は、アメリカの「福男」になれるか-「主体」と「客体」入れ替わる時代:研究員の眼

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アメリカのトランプ大統領の就任とイギリスの欧州連合(EU)離脱の表明は、世界の大きな潮目の変化を感じさせるものだった。

1月20日の新大統領の就任演説は、「アメリカ・ファースト」を掲げる超大国アメリカが、もはや世界のリーダーではないことを強く印象付けた。

8年前のオバマ前大統領の就任演説では、「多様性の中での統合が希望をもたらす」と高い理想を謳いあげたが、今回の演説は保護主義や移民排斥などの自国第一主義を色濃く反映したきわめて内向きで現実的なものだった。

歴代アメリカ大統領の就任演説では、重要な時代状況を反映し、名言が生まれたりすることも多い。

第35代大統領ジョン・F・ケネディは、1961年の就任演説で『アメリカ国民の皆さん、国があなたに何をするかを問うのではなく、あなたが国に何ができるかを問うてください』(My fellow Americans: ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country.)と語った。

また、冷戦の最中にある世界に向けて、『世界の皆さん、アメリカがあなた方に何をするかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを問うてください』(My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.)と述べた。

つまり「客体」としての国民にとどまるのではなく、「主体」としての国民の行動を呼びかけたのだ。

話は変わるが、兵庫県西宮市の西宮神社は商売繁盛「えべっさん」の総本社だ。ここでは、新年恒例の「福男選び」が行われ、今年も1月10日の開門と同時に、本殿までの230メートルの参道を約5千人が駆け抜けた。

当日朝の報道バラエティ番組では、「開門神事」を取り上げた放送局も多く、これまでに「福男」に輝いた人の運気を追跡取材していた。

それによると「福男」になった人は意外と幸運に恵まれることは少なく、けがや病気、失恋など不運に遭遇することが多いとレポートしていた。

それに対して、インタビューに応じた神社の宮司からは、『福男は福を授かる人ではなく、福を授ける人のこと』とのコメントがあり、とても興味深かった。

つまり真の「福男」は、福を授かる「客体」ではなく、人々に福を授ける「主体」ということだろうか。

アメリカ歴代大統領は、建国以来のフロンティア・スピリッツを掲げ、世界の平和と繁栄を目指してきた。しかし、グローバル化の進展は、超大国アメリカを世界に「福」を授ける「主体」から、世界から「福」を授かる「客体」に方向転換させようとしている。

トランプ大統領が、『アメリカを再び偉大にする』(We Will Make America Great Again.)を実現する、真のアメリカの「福男」になることを期待したい。

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(2017年1月31日「研究員の眼」より転載)
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社会研究部 主任研究員
土堤内 昭雄