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数字の「12」が持つ意味とその不思議な魅力:研究員の眼

よくよく考えてみると、身近な数字でした。

2017年10月15日 09時44分 JST | 更新 2017年10月15日 09時44分 JST

はじめに

我々の世界は、基本的に10進法が主流となっている。少なくとも各種の数字は10進法で示されている。

その意味では、「10」という数値が極めて馴染み深いものになっているはずだが、一方でよくよく考えてみると、世の中に「12」という数字が結構生活の中で使われていることに気付くだろう。

今回は、この数字の「12」について調べてみた。

数字の「12」は多くの場面で使用されている

まずは、年月、時間において、1年は12ヶ月、1日は24時間(=12時間×2)で午前、午後それぞれ12時間、1時間は60分(12×5)、1分は60秒(12×5)といった具合で、12がベースになって定められている。

星座は、12個の月に対応するような形で12個(おひつじ座、おうし座、ふたご座、かに座、しし座、おとめ座、てんびん座、さそり座、いて座、やぎ座、みずがめ座、うお座)ある。

干支も、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥の十二支ある。

新約聖書では、キリストによって特別の伝道の使命を与えられた12人の使徒(*1)(ペトロ、ヤコブ (ゼベダイの子)、ヨハネ、アンデレ、フィリポ、バルトロマイ、マタイ、トマス、ヤコブ (アルファイの子)、タダイ、シモン、イスカリオテのユダ)がいる。

ギリシア神話には、オリンポス山の山頂に住んでいると伝えられる12神(ゼウス、へラ、アテナ、アポロン、アフロディテ、アレス、アルテミス、デメテル、ヘパイストス、ヘルメス、ヘスティア、ポセイドン)がいる。

十二縁起 (十二因縁)は、仏教が説く苦しみの元となるもので、無明(むみょう)、行(ぎょう)、識(しき)、名色(みょうしき)、六処(ろくしょ)、触(そく)、受(じゅ)、愛(あい)、取(しゅ)、有(う)、生(しょう)、老死(ろうし)をいう。

中国皇帝の礼服に用いられる模様は十二章といわれ、日、月、辰(星座)、山、龍、華虫、宗彝(そうい)、藻(も)、火、粉米、黼(ほ)、黻(ふつ)をいう。

なぜ「12」が多く使われるようになったのか

このように、東西を問わず、世界各地で「12」という数字が使用されている。

実は1年が12ヶ月なのは、暦を知る上での重要な「月」の動きに関連している。月が地球を1年間にほぼ12回転することから来ている。

このことは、地球から見ていると、月の満ち欠けが1年間に12回繰り返されることを意味している。

古代の人々は自然を観察する中で、こうした事象を認識し、「12」という数字に自然に特別な意識を持つようになったものと言われている。

即ち、古代において、天体の運行を観察する中で、1年を12の月に分けることが行われ、この12がそれ以外の生活のいろいろな場面で使われるようになったと考えられている。

1日が午前、午後それぞれ12時間になっているのは、古代エジプトの時計が日時計であったため、1日を昼と夜の12時間に分けたことからきている。

さらに、数字の「12」はこんな場面でも使用されている

「12」という数字は、幅広くいろいろな世界で使われている。できる限り、その「12」が使用されている(と思われる一般的な)理由等とともに紹介すると、以下の通りとなる。

音楽の世界での平均律(1オクターブなどの音程を均等な周波数比で分割した音律)は、12平均律が一般的である(ピアノの鍵盤を見ていただいて、1オクターブは、ドからシまでに、白が7個と(半音の)黒の5個の合計12個の鍵盤がある)。

これについては、「ドの周波数の2倍の周波数が1オクターブ上のドになるが、ドの周波数から5度ずつ周波数を高めていったところ12回繰り返したところで、7オクターブ上のドの周波数と非常に近くなったため」との理由によると説明されている(*2)。

英国や米国の陪審員は12人、これは陪審員制度の起原となった9世紀初頭のフランク王国において12名の陪審員が立てられたことによるが、これはキリストの12人の使徒からきていると言われている。

昔の英国等では、10進法ではなく、12進法が使用されていた。例えば、1971年までは英国通貨の1シリングは12ペンスであった。

さらに、現代においても、計量法における1フィートは12インチであり、貴金属や宝石の計量に使用される1トロイポンドは12トロイオンスである。

1ダースは12個、1グロスは12ダース、12グロスを1グレートグロスという。これも、12進法の名残であると考えられており、ダースの名称は英語のdozenからきている。

数字の表現方法で、英語で11はeleven、12のことはtwelveというが、13以上になるとthirteenというように「~teen」という表現が用いられており、10ではなく12を区切りにしている。

実は、英語だけでなく、ドイツ語、オランダ語、スウェーデン語といったゲルマン語派の数詞は、12 以下と 13 以上とで表現方法が異なっている。

例えばドイツ語も、11はelf、12はzwölf であるが、13以上はdreizehnというように「~zehn」という表現になる。

角度は円の1周が360度(12×30)ということになっている。これも、地球が太陽の周りを一周する1年を360日と定義したことからきており、結果的に地球が1日で太陽の周りを回転する角度が1度ということになっている。

因みに、360という数字は、1と360以外の22個の約数を持ち、1から10までの数のうち、割り切れない数は7だけである。

従って、いろいろな意味で使いやすい数字であると考えられている(なお、1から10までの全ての数で割り切れる最小の数は2520であるが、これはあまりにも大き過ぎて使いにくい)。

これにより、これまで述べてきた各種の12個のものを1つの円の中で表すのに、1つのものが30度を占めて、直交する軸も有することから、わかりやすく表現できることにつながっている。

自然言語で、12進法による数詞を持つものもある。これは、指を用いて数字を数える際に、片手の人差し指から小指の計 12 個の節を親指で示す数え方が用いられていたことによるものと考えられている。

以上に加えて、数字の「12」が使用されているケースは他にも多く見られ、なかには「12」という数字そのものに直接的に関係していないものもある。

例えば、日本の伝統的衣装として、十二単衣があるが、十二単の十二は「たくさん」とか「多い」という意味で実際に12枚は着ていないとのことである。

さらには、日本語に「十二分」という表現があるが、これは「十分」を超えて、それ以上を目指すという精神的な意味合いを強調するために使用されているようだ。

12と言う数字は実は極めて便利で美しい数字

ところで、12と言う数字は、2や3や4で割れる。2等分、3等分、4等分という考え方は幅広く普及していることから、年月や時間が12と深く関係していることで大変便利な状況になっている。

例えば、1年を2等分すると上半期と下半期という考え方ができ、4等分すると春夏秋冬の四季の考え方が生まれてくる。

また、1日は24時間であることから、これを2等分すると午前と午後になり、3等分すると、8時間は睡眠をとって、8時間は働いて、残りの8時間を各自の自由な時間にあてる、という考え方ができることになる。

なお、1時間は60分、1分は60秒というように、ここでは60進法が使用されているが、60という数字は、12の5倍であり、5等分を含めた1から6までの全ての数で割り切れる数値となることから、時計の針等で表すのに分かりやすいものになっている。

図形で表現する場合を考えた場合、正3角形と正方形は、直観的にわかりやく、正確に描きやすいが、正5角形はちょっと難しい。

正3角形を2つ組み合わせることで正6角形も描くことができ、正6角形を2つ組み合わせることで正12角形も描くことができる。

正12角形は、先にも述べたように、実質的に1つの円の中に存在して、直交する対称軸を有する形になっていることから、各種の表現に便利なものとなる。

1ダースが12本だと、例えばビール瓶を箱詰めするのに、3本×4列等ができるが、10本だと2本×5列のパターンしかなく、縦横のバランスが大きく崩れることになりかねない。

もちろん、こうやって「12」の利点をあげることができるのも、我々が現在の方式に慣れてしまっていて、それを居心地がよいと感じて、後講釈しているだけかもしれない。

ただし、昔の人も同じように感じていたとしても不思議は無いだろう。いずれにしても、「12」という数字は我々の生活に深く染み付いているといえる。

最後に

今回は数字の「12」について、その現代生活における広範な使われ方とその理由等について、報告してきた。

日常生活において、何となく慣れ親しんでいる世界において、数字の「12」が、いかに深く関わっており、それがどのような意味を有しているのか、あらためて考えてみると、なかなか面白い発見があったのではないかと思われる。

こうした些細なことから、知的探求を進めることに興味を感じていただければと感じた次第である。


(*1)イスラエルの12支族から来ているとされている。

(*2) 詳しい内容については「音律と音階の科学」(小方 厚著)を参照していただきたい。

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(2017年10月2日「研究員の眼」より転載)
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中村 亮一