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パラリンピックと共生社会-「公平性」のための「ルール」づくり:研究員の眼

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リオ五輪の熱狂が冷めやらない日本時間の9月8日、リオ2016パラリンピック競技大会が開幕した。日本からは17競技に132人の選手が参加している。

リオ五輪の28競技・306種目に対し、リオ・パラリンピックでは22競技・528種目が実施される。パラリンピックの種目数が多いのは、同じ競技でも障がいの種類や程度ごとに細かく「クラス分け」が行われているからだ。

五輪の柔道やレスリングでも体重別に競技が行われるように、スポーツにとって重要な要件のひとつは競技の公平性だ。

パラリンピックのクラス分けには、医師や理学療法士、コーチやトレーナー等で公認資格を持つ「クラス分け委員」が、実際の競技者の残存能力を徹底的にチェックして判定する。その結果、選手たちは公平に競技に参加できるのだ。

パラリンピックには、競技の公平性を確保するため多くのルールがある。視覚障がい者を誘導する伴走者の参加や各種音声ガイダンス、聴覚障がい者への競技スタートの合図の方法など、さまざまな工夫も必要だ。

一方、パラリンピックを観る者にとっては、ルールを知ることにより競技の面白さが倍増するとともに、障がい自体への理解が一層深まるだろう。

車椅子バスケットボールのようなチーム競技にも公平性を保つ上で「ポイント制度」というルールがある。各選手には障がいの程度に応じて1.0~4.5の持ち点を設定、障がいが軽いほど点数が高くなる。

コート上の5人の選手の持ち点の合計が14点以内になるようチームを編成しなければならないのだ。こうすることで障がいの程度が異なる多くの選手が参加でき、一定のチーム力の公平性が保てる。

リオ・パラリンピックでは、ロシアが国ぐるみのドーピング問題で出場資格を失った。国際パラリンピック委員会(IPC)はドーピングに対して極めて厳格な態度で臨み、スポーツ仲裁裁判所(CAS)もこれを支持した。

障がい者スポーツは多くの身体的制約等から競技の公平性の確保が強く求められ、公平性が担保できなければスポーツとして競技自体の存在価値が揺らぎかねないからだろう。

障がい者スポーツはさまざまな道具とルールを使って競技の公平性を確保し、一般競技との差異を埋めてゆく。テニスの世界四大大会では、いずれも「車いすの部」が設けられているそうだ。

障がい者スポーツの祭典であるパラリンピックも、将来的には五輪の一部門としての開催が可能かもしれない。「公平性」のための「ルール」づくりは、スポーツに限らず社会のさまざまなハンデキャップを補填する。

五輪とパラリンピックが統合される日、真の「共生社会」に一歩近づくのではないかと思う。

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(2016年9月13日「研究員の眼」より転載)
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社会研究部 主任研究員
土堤内 昭雄