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1ユーロの航空券税で多くの命が救われる

2014年11月29日 18時04分 JST | 更新 2015年01月28日 19時12分 JST
KENZO TRIBOUILLARD via Getty Images
Former minister and support of President of the MoDem centrist party and candidate for 2012 French presidential election, Philippe Douste-Blazy takes part in the TV show 'Le Grand journal' hosted by Michel Denisot on a set of French TV Canal+, on April 2, 2012 in Paris. AFP PHOTO KENZO TRIBOUILLARD (Photo credit should read KENZO TRIBOUILLARD/AFP/Getty Images)

ジュネーブに本拠を置く非政府組織ユニットエイドの理事長が訴える。極貧にある人々の境遇を改善するには、1ユーロ航空券税等の痛みを伴わない税をもっと発展させるべき。

フランスで文化、厚生、外務と国務大臣を歴任、医師でもあるフィリップ・ドスト=ブラジはここ何年にもわたり、忍耐と困難の闘いに身を投じている : 極貧とそれが保健衛生に及ぼす悪影響は、国内経済に痛みをもたらさない方法で著しく減少させることができる、と世界中の国を説得している。サービスと消費財に微少税を導入するだけ、と強調する。国連で開発のための革新的資金調達に関する特別顧問を務めるドスト=ブラジに、ジュネーブでインタビューした。

Q : 航空券に1ユーロの税をかけるという案は、ルーラ(当時のブラジル大統領)とジャック・シラク(同フランス大統領)によって2002年に発表され、世界保健機関に席をおく非政府機関ユニットエイドで具体化されました。この作戦について、今どう総括されますか。

フィリップ・ドスト=ブラジ(DB) : ジュネーブのユニットエイドには70名の職員がいます。ここは世界の極貧と闘うという観点で、経済に害を及ぼさない助け合い貢献としての連帯税を考察する世界初の実験室です。地球上で15億もの人々が極貧状態にあります。彼らの一日の稼ぎは1.25ドルに満たず、保健衛生システムへのいかなるアクセスも持ち合わせていません。そこで実現した初めての手段の一つが航空券への1ユーロ税で、2006年に導入されました。現在13か国がこの税を取り入れていますが、これまでの7年間で25億ドル以上が集められ、エイズ、マラリア、結核との闘いに充てられました。ユニットエイドのお陰で、世界中のHIVと共に生きる子供たち10人のうち8人が治療を受けることができています。可能性はまだまだあります。

Q : しかし13か国とは、まだまだ少ないですね。連帯の国スイスもまだとは。実施はそんなに複雑なのでしょうか。

DB : いいえ、これほどシンプルなものはありません。これは間違いなく世界中で唯一の好かれる税で、もっと広範に実施されるべきものです。空の旅を活用する人の誰がそのチケットに1ユーロ余分に支払うのをイヤと言うでしょう。導入している国があまりに少ないのは事実です。ユニットエイドが発足した時、私たちは現場で活動することは望まず、むしろ現地にいる他の活動家を支援する、それも的確なプログラムに的を絞って、という形を選びました。目立たないという点は間違いなくユニットエイドの悩みどころです。今はイメージ不足を取り戻し、この痛みのない税を皆さんに知っていただくことを目指しています。モロッコが航空券税に加盟したところです。日本も恐らく2016年には追随するでしょう。スイスでは私が政治の当事者らとすでに話し合いを持っています。今は政府にこのプロジェクトをプッシュすべき時と確信しています。

Q : エボラ出血熱に直面して各国は資金拠出に非常にためらいがちですね、事態は緊急であるにもかかわらず。なぜ国連とその機関はこうした革新路線をもっと前面に押し出さないのですか。

DB : エボラウイルスとの闘いにおける資金問題は、実際資金調達のあり方を火急に再検討する必要性を提示しています。各国の予算は最悪の状態にあり、それぞれの国で努力はされていますが、旧来型の税では非常に厳しいのが現実です。世界保健機関によるサポートを受けているユニットエイドとしても、今や革新的資金調達の作戦行動をすべき時です。この資金調達は地球上でますます拡大する不均衡の是正に一役買う、未来の解決策です。倫理とか思いやりの問題にとどまらないのです。貧困はテロリズムを養います。政治が動く動機は安全保障だけではないはずです。

Q : もう一つ、金融取引への課税がありますね。実現は難しいのでしょうか。

DB : 世界中で一秒ごとに星の数ほどの金融取引が行われています。もしデリバティブ商品に0.01%課税したら毎年4000億ドルを手にできるという試算があります。毎年の4000億ドルで何ができるか考えてください。現在、EU加盟11か国がこの税の原則に同意していますので、そこから毎年350億ドルがもたらされることになるのです。これだけでも上出来です。私たちはそれらの国々での実施を後押ししています。問題は、複数の国の財務大臣がこの資金を自国予算に補てんできる好機ととらえていることです。これでは本来の目的にとっては、とんでもない濫用となってしまいます。私たちはこの資金調達による少なくとも25%は地球上の貧しい人々に使うという保証を得るため、交渉しなければなりませんでした。

Q : 痛みを伴わない税、革新的資金調達の道筋は他にありますか。

DB : 他にもサービスや消費財で痛みを伴わない税にぴったりのものがあります。インターネット、携帯電話、エネルギー資源。アフリカで私たちは子供たちの慢性的栄養失調との闘いに、石油バレル税とガス税の一部を充当するという案を検討していて、多くの国がUNITLIFEと命名されたこのプロジェクトに着手する準備があると言っています。

それから、他にも着目すべき革新的側面がいろいろあります。これは非常に恥ずべきことですが、アフリカでは人々を救う薬を手にするのにヨーロッパに比べ二倍長い間待たなければならない。単に料金が高いためで、そのせいで地球上のこの地域における市場形成全体が邪魔されています。エイズとの闘いについては、4大製薬会社と契約を結び、その薬を緊急に是が非でも必要としている場所で商品化するため、99%安いジェネリック医薬品をライセンス契約のもとで生産することができました。特許共有という原理であり、この方式は他の薬についても広げることができるものです。ユニットエイドはしたがって資本主義システムに普通では存在しないような市場を形成する働きもします。これはとびぬけて前途有望な領域です。

(トリビューン・ド・ジュネーブ インタビュー : Cathy Macherel )

2014年11月21日、11時06分掲載