BLOG

司法試験合格公務員が弁護士登録しないワケ

2015年08月04日 23時34分 JST | 更新 2015年08月04日 23時49分 JST

conference

 8月3日は、6年目に入りました第二弁護士会市民会議に出席致しました。この市民会議とは「市民に開かれた、親しみやすい弁護士会を目指して諸種の活動を行っています。その一環として、当会の活動をご理解いただくとともに、当会の活動に市民の皆さまの意見を反映するため、平成16年より、年3~4回市民会議を開催」するもの。法曹界の常識が人々からかけ離れ非常識となってはいないか?!ということを自己点検するために市民からの声を聞こうという会議であります。

 今回の審議内容は

(1)法曹養成について

→合格率が25%になりかねないと言われる法科大学院の現状から、今後司法試験合格者数が1,500人程度の規模を下回ることになりかねない課題。並びに、法曹有資格者の国・自治体や福祉分野、企業分野、海外展開分野への活動領域拡大に向けて。

(2)はなさき記念館について

→篤志家から寄付された東京都中野区野方の土地に2011年に開設した「はなさき記念館」。事務所の確保が困難な新人弁護士に対して、実費程度の負担で独立した事務所スペースを提供。利用期限は一律一年。当初の予想に反し利用者が伸び悩む運営状況について

(3)フロンティア基金法律事務所について

→弁護士の公益的活動(社会的・経済的弱者等に対して、無償又は低額な報酬で行う法律事務の提供等の活動など詳細)を行うことや弁護士過疎地域における法律事務所において業務を行う弁護士の育成・支援をすることなどを目的とした法律事務所。第二東京弁護士会が設立した公設事務所支援基金で運用しているもの、経営面で厳しい現場について。

というものでありました。

(2)と(3)については、新人養成、社会的弱者へ向けての法的サポートという公共的な崇高な目的であります。その原資となりますのが第二弁護士会の会費。

 この会費というのが結構な金額でございまして、第二弁護士会では月額3万某円ということでありました。各弁護士において、これが経済的負担となっていることは否めません。年間100万円を超えるところも…参考サイトこちら

 びっくりでございますね。

 だったら、弁護士会に登録しないでフリーでやればいいんじゃない?!と、思いますが…

弁護士となる資格を得ることと、弁護士となることは別のことであり、弁護士となるには、弁護士となる資格を有する者が、各地の弁護士会の登録に関する審査を経て、弁護士名簿に登録されることが必要なのです。」

「弁護士となる資格を有していても、弁護士名簿に登録しなければ、弁護士として活動することはできません(弁護士法第8条)。」(日弁連HPより)

 ギャース!(←おときた駿都議風(笑))

そう、弁護士会に登録しなければ、弁護士を名乗れないのでございます!!

 泣く泣く支払った会費で、新人サポート・弱者の法的救済事業をしているのは誠にありがたいことなのですが、(2)は、ハコモノを建設してしまったので、イニシャルコスト、ランニングコストが重くのしかかり、(3)も人件費や事務所の賃借料などの経費を自主事業で賄いきれず四苦八苦、いずれも持ち出し状態となっている模様。

 ということで、上田令子的アドバイス!!

(2)について

ハコモノではなくキャッシュで「家賃補助」を新人弁護士に支払ってあげたらどうか。であれば好きな場所で開業でき1年で追い出される心配もなし!

(3)について

報酬が安い、あるいは無料なので通常の弁護士事務所では引き受けない案件でも、市場価格との差額分をキャッシュで補填をすれば手を挙げる弁護士もいるだろう。別途事務所を維持する経費を鑑みればキャッシュで補填するほうがよほど節約ができるのではないか。

と、毎度のことながら身も蓋もない「市民の意見」を言わせて頂いた次第でございます。

 順不同となりました(1)についてではございますが、東京都の公益通報者への取り扱いの在り方にかねてより問題視をしておりました上田令子でございます。「公益通報してくれる都民を守れ。」にて詳細を語っておりますが、私の疑義のポイントは

1.公益通報よりも立証の精緻さを優先したのではないか?

2.しかも法務部はこちらが指摘するまで、問題意識が無かったのではないか?

→公益通報制度への無自覚の結果、制度が骨抜きになるのではなかろうか?

(法曹資格のある職員がなぜこのようなことに?)

というものでありました。任期付き採用の弁護士が東京都にいるのは承知しているものの、地方自治体の職員により法的見識を高めてもらうためにも、食い詰めている弁護士を積極的に自治体で採用するよう働きかけを第二弁護士会からしてはどうか…と、求めましたところ…

弁護士会側から意外な回答を頂いたのであります。

「国や東京都職員には司法試験に合格している人はいるはずなのですが、弁護士登録を抹消しているんです。」

当然なぜ??と尋ねますとやや逡巡されながら以下回答が。

「おそらく…弁護士会費の負担の問題ではないかと…。我々としては、ぜひ登録していただいて、法的知見の共有や研鑽をしていただきたいと考えています!」

 司法試験に受かっていれば、弁護士登録していなくても、自治法153条により指定代理人はできますし、確かに資格試験だけパスしても実体験がなければだんだんと知識も陳腐かせざるを得ないということかもしれませんが、弁護士会費を払わないと弁護士と名乗れないということもそもそも、トーシローからしますと不思議な制度なんで、納得できるようなできないような…。

 というかなんでそんなに高いの?!弁護士会費?!

 という原点に還ってみますれば、(2)や(3)のような良かれと思う事業が経営的にタイヘンということになっている事実にも一因があるのかということに帰結したのでありました。

 しかれども、市民がいつも法的手段を行使できる法の精神は民主国家の大前提。高齢化社会を迎え資産管理など後見人制度の拡充、複雑化する家族間の問題、グローバル化などなど日本においてはますます持ってさんびゃく…もとい!弁護士先生は不可欠な存在であります!

 公益事業につては、コストにウルサイ私でも、公費(税金)を投入していいのではないか、と考えます。弱者にこそ、法の盾こそが何よりもの救済であり、最悪の事態を防ぐ予防となります。また、企業内弁護士においては企業が弁護士会費を負担するところもあるそうで、自治体内弁護士についてもなんらかの検討をしても良いと考えます。

 その大前提としては、弁護士会と弁護士会費の在り方を再検証することが条件ではありますが。

【お姐総括】

 鳴り物入りも法科大学院も、経済的理由等で進学できない学部生救済の予備試験(法科大学院を経由しない者にも法曹資格を取得する途を開くために設けられた試験)でショートカット司法試験合格してしまえば、そもそもの存在意義が問われるわけで…。海外では法科大学院はまさに、その名の通り判例研究など大学院として機能しているのに、司法試験受験機関となっているのではないか、という指摘も市民会議の中でもありました。

 弁護士会と法科大学院のコストについて、最終的にツケを払わせられるのは誰なのだろう…と考えますと、引き続き市民委員として活発に意見を述べて行きたいと思い会場を後にした次第でございます。

(2015年8月4日「上田令子のお姐が行く!」より転載)