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企業とメディアの架け橋となり世の中に有益な情報を届ける-それがPRの醍醐味

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一昔前は、告知媒体といえばテレビ・新聞・ラジオが主流でしたが、今やそれらをしのぐ勢いでインターネットが普及し、情報を得るツールはSNSやWEBサイトがメインという声も少なくありません。それに伴い、「PR」という職業が改めて注目を浴びるようになりました。実は勘違いされやすいPRの本質とともに、リモートワーカーに快適な職場環境を提供してくれるシェアオフィスでの働き方について、フリーランスのPRプランナー松矢英恵さんにお話を伺いました。

松矢英恵(Hanae Matsuya)
電通パブリックリレーションズ、ジュエリー会社での営業企画・広報を経て、2013年3月にフリーランスのPRプランナーとして独立。これまでに飲食店やスイーツ、健康・美容食品をはじめ、出版社で出版物のPR、エンタメ系のPRなどを担当。「食、美容、健康、エンタメ」が得意ジャンル。

フリーランスを選んだのは好きな分野に特化するため


―新卒からずっとPR会社に勤務されていたとのことですが、なぜあえてフリーランスの道を選ばれたのでしょうか?

松矢さん(以下敬称略):新卒で入社した電通パブリックリレーションズでは、さまざまなジャンルのPRを経験しました。その後、ジュエリー会社に転職してジュエリーのPRをしていましたが、元々食や美容に興味があり、その分野に特化したPRがしたいと思い、フリーに転身しました。

フリーになって一番最初の仕事が、「キレイ料理レストランG&V」という飲食店のPRだったんですが、新聞・雑誌・ラジオ・WEBニュースなど50媒体以上に取りあげていただき、飲食店のPRに大きな可能性を感じました。企業に在籍していたころは、大手のクライアントさんのお仕事ばかりでしたが、G&Vさんのお仕事をきっかけに、飲食店やベンチャー企業など、いわゆるスモールビジネスに関心を持ち、その分野のお仕事にも関わるようになりました。

シェアオフィスはリモートワーカーにとって心強い味方


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―松矢さんは3年ほど前から、銀座のシェアオフィス「LEAGUE」を利用されているそうですが、シェアオフィスのメリットは、どんなところですか?

松矢:私は、クライアントさんのところへ行って打ち合わせをしたり、メディアを訪問したり、デパートに情報収集に行ったり、とにかくいろんな場所を飛び回って仕事をしているので、都内に拠点があることで、すごく助かっています。シェアオフィスにはロッカーがあるので荷物を置いておくこともできて、とても便利なんです。

ですがなんといっても、シェアオフィスの一番のメリットは「人との出会い」だと思います。3年前から利用していますが、ここにはコーディネーターさんがいて、私に合う会員の方を紹介してくれるんです。これまでも何人もの方と引き合わせていただき、数えきれないほどお仕事をご一緒しました。フリーランスやリモートワークって孤独を感じやすいんですが、シェアオフィスを使うことで「ひとりじゃない」と思えたりもしますね。

―それは魅力的なメリットですよね。では、逆にやりづらいと感じることは?

松矢:私は意外とないんですが、あえていうなら事務対応がすぐにしづらいぐらいですね。たとえば、ほしいときにほしい文具がそばにないとか(笑)。オフィスだと、だいたいなんでも揃ってますしね。でも、FAXもパソコンで送れるサービスを使っていますし、正直デメリットは、ほとんどないかもしれません。

―いつも、どのようなソフトや機材を使用して、お仕事をされていますか?

松矢:パソコンはWindowsのソフトを入れたMacBookを使用しています。プレスリリースをはじめ、資料はほんとどワードですね。あと、Dropboxがすごく助かっていて、これがなかったら仕事ができていないかも(笑)。Dropboxは、さまざまなデータをオンライン上で保管してくれるサービスなんですが、私は有料版の1TBの大容量タイプを活用しています。PC上で保管すると自動的にDropbox上でも保管されるので、バックアップとしても最適。実は、2度パソコンがクラッシュしているんですが、Dropboxのおかげでまったく被害がなかったんです。

あと、KDDIのFAX受信サービスとNetRealのFAX一斉送信サービスを併用して、FAX対応をPC上で済ませています。今はメールが一般的な連絡ツールですが、新聞社やテレビ局などメディアによっては、FAXで資料を送るほうがよいとされる場合もあります。

PRはクライアントとメディアの両者を幸せにする仕事


―現在の主なお仕事内容を教えていただけますか?

松矢:独立してからは、飲食店や食品にまつわるPR業務を中心に取り組んでいて、現在は7割以上が食関係のお仕事、残りの3割が美容・出版・芸能など、その他のジャンルのお仕事です。たとえば、飲食店がオープンする際にメディアに向けたプレスリリースを作成したり、クライアントさんとメディアの間に立って取材の調整をしたり、記者発表会では運営ディレクションを丸々任せていただいたり、PRに関する幅広い業務に携わっています。

―ここ最近で印象に残っているお仕事を教えていただけますか?

松矢:昨年、港区にオープンしたパティスリーのPRが印象的でしたね。フランスに本店があるのですが、日本に初上陸するということでPRをお手伝いしました。昨年は日本初上陸のお店が話題でうまく波に乗れて、非常にたくさんの反響をいただき、とても嬉しかったです。

クライアントさんはパンの製法に関する思い入れが強くて、「一番強調したいのは、斬新な技術を使って水分をたっぷり含んだ皮がバリバリ、中はもっちりのバゲット」とおっしゃっていたのですが、PR的に考えると、映像にしたとき絵がさみしく、おいしさがメディアを通じて瞬間的に伝わるものではなというのが正直なところでした。そこで、「見た目も華やかで、一瞬でおいしさの分かるクロワッサンを目玉にしたほうが良いのでは?」と、クライアントさんとメディアのポイントをすり合わせて提案しました。実際、多くのメディアで最高級品質のバターを使用したクロワッサンが取り上げられ、人気店になりました。

依頼主の意向を尊重しながらも落とし所を探っていくのは、非常にむずかしいんですが、結果、クライアントさんとメディア側の両者にハッピーになってもらうことが実現できて、PRとして意味があるお仕事ができたかなと思いました。

―すごく知識やテクニックが必要なお仕事ですね。そのスキルは、どうやって身に付けたんですか?

松矢:これまでのPR会社での経験ももちろんですが、学生時代からテレビ局でアルバイトをしていて現場を見てきたので、メディアの方がなにを求めているのか、感覚的にわかるというのが大きいと思います。飲食店というひとつのジャンルでも、お店によって興味を持つ媒体がまったく異なるので、毎回考えてプレスリリースの書き方を工夫しています。なかなか紋切型でできる仕事ではないんですが、過去の勤務経験がすごく役立っていますね。

PRはお金の世界じゃない、「情報」の世界だ


―普段どんな点に気をつけながら、お仕事を進められていますか?

松矢:先ほどもお伝えしたんですが、PRって実は誤解されやすい職業なんです。クライアントさんはとにかくメディアにたくさん露出して、話題を集めてほしいという期待を持たれている場合も多いのですが、PRプランナーは単なる露出獲得だけではなく、あくまで、思いの異なるクライアントとメディアの両者の間に立って、お互いwin-winになるような情報の切り口をみつけて提案していく仕事です。そうすることで世の中に役立つ情報がメディアを通じて広く発信され、結果クライアントさんと社会の間に良好な関係が築かれていきます。
ですので、クライアントさんとお仕事をはじめる前に、PRの役割を丁寧にお伝えして誤解が生まれないように気をつけています。コミュニケーションが不十分だと、いざこざが生まれやすいので。

―フリーランスって自由に働いているというイメージがありますが、お仕事の基本的なタイムラインは、どんな感じでしょう?

松矢:大体7:30頃に起きて、午前中は家か近所のカフェで仕事をします。ラッシュアワーが苦手なので(笑)。午後は打ち合わせやメディアへの訪問、資料作成を夕方までに終えて、夜はメディアの方と食事に行くというのがもっとも多いパターンですね。そういった交流の場で旬な情報を仕入れています。私たちの業界は、とにかく情報が大事なんです。PR会社の新入社員だった頃、上司に「この世界の通貨は、お金じゃない。 "情報"なんだ」と言われたことが、未だに忘れられません。

土日は基本的に休日で、仕事が立て込んでしまうとき以外はしっかり休み、バランスも保ちながら働けています。

国境を越えたグローバルな案件で視野が広がった


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―これまでのご経験のなかで、すごく苦労したとか、新しい発見があったとか、忘れられないお仕事を教えていただけますか?

松矢:2014年に担当した、フランスで開催されたジャパンエキスポの記者会見のPRですね。ジャパンエキスポは、漫画やコスプレ、ゲームなど日本ならではの文化をヨーロッパに紹介する催しで、2014年の来場者は24万人を超えました。このイベントの記者発表会を日本で行い、私はそのPRを担当しました。

クライアントがフランスの方でしたので、日本とフランスのメディアやPRの文化の違いを埋め合わせるのがすごく大変で......。実は記者発表の当日もこんなことがありました。通常プレスリリースは記者さんが会場に入るときにお渡しするんですが、CEOに「みなさんに僕のプレゼンをちゃんと聞いてほしいから、プレスリリースは最後に渡そう」と言われて。それは主催者としては当然のことだと思いますが、私は食い下がって、「記者さんは速報で1秒でも早く記事を出したいと思っているんです。だからプレスリリースを先に渡して、書きながら聞いてもらわないと間に合わないから、絶対ダメです!」と説得して。

海外から見たらわかりにくい日本のルールですが、熱意を持って説明することでご納得いただきました。一方、その夏フランスに出張して、ジャパンエキスポのイベントで広報をお手伝いしたときには、フランスのルールに従いました。そこで日本との違いをたくさん学ぶことができて、視野が広がったなと思います。とにかくフランスは「自由」。記者さんたちも、アーティストが有名かそうでないかを変に気を遣う様子もなく、聞きたいことをフランクに聞いているという雰囲気でした。

日本ではなかなか取材をしにくいと言われているアーティストの方も、現地では寛容に対応されているようです。向こうで会った日本人の音楽ライターさんが、「某有名アーティストさんにその場で取材を申し入れて、単独インタビューが実現した。日本国内ではありえないこと」と感動していたことも驚きでした。

日本が誇る食文化を世界に向けて発信したい


―これからフリーランスで働きたいとか、PR職につきたいと思っている人に向けて、なにかアドバイスをお願いできますか?

松矢:フリーランスで働く方は増えていると思うんですが、ことPRに関して言えば、私は一度は会社員を経験しておくことをオススメします。この仕事は、企業の経営の枠組みや組織の仕組みが理解できていないと、思わぬ落とし穴にハマってしまうことがあるんです。

企業には経営計画が必ずあって、PRはその一部ですよね。だから、お仕事をご依頼いただいた際にクライアントさんのお話を深堀りして聞いていくと、そこで必ず"PRを通じて最終的になにを実現したいか"という話が出てきます。つまり、PRの結果を経営にどう役立てたいのか、ということです。それは商品の売り上げアップやイメージアップだったり、企業の取り組みを第三者にストーリーにして表現してもらうことだったり、実は様々。そこを理解しないまま進めてしまうと、本当にクライアントさんにご満足頂くのは難しいんじゃないかと思います。私が今までやってこられたのは、企業での勤務経験があってこそだと思っています。

―独立してからの約3年間で、大きく活躍の場を広げられていますが、今後の展望を教えていただけますか?

松矢:ジャパンエキスポのお仕事もそうでしたが、もっともっと日本の魅力を世界に発信するお仕事に携わりたいです。私は食を中心にPRしていますが、日本食は非常にレベルが高く世界に誇れる文化だと思います。とくに美容食と言われる発酵食品やバランスのいい食事法を、日本に訪れる外国人に向けて、また世界に向けても、どんどんPRしていきたいですね。

―今回お話を聞いて、PRの概念が変わったという人も多いのではないでしょうか? 国境を超えて、松矢さんの活躍の舞台はどこまでも無限に広がっています。


 

この記事の著者:高良 空桜(Ao Kora)

2014年デビューのフリーライター。女性がより自由に、より豊かに生きるためのメッセージを発信すること、日本と海外をつなぐ世界の架け橋になることを使命とし、日々執筆に励む。トキメキがなによりのエナジー。
 

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