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8月への採用時期繰り下げで猛暑に長引く就活、特徴は「疑心暗鬼」と「情報ニーズとのギャップ」

2015年08月02日 01時51分 JST | 更新 2016年07月28日 18時12分 JST

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インターン強化で就活サイト登録が「大学3年の6月」と早期化へ


熱帯夜が続く夏に突入したものの、駅の構内ではスマホ片手に、着慣れないリクルートスーツに身を包む学生を見かけない日はない。

そんな中で先日、連合の非正規労働センターでは、「大学生は学業を優先すべき」といった政府要請に経団連が応えるかたちで就職活動時期の繰り下げられたことで、今年の就職活動にどのような変化がもたらされているかなどの実態調査を行った。

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それによると、今年の就職活動には下記にあげる幾つかの特徴がみられた。

1)夏前の内定・内々定獲得者の4割は、インターンシップ先から

2016年春入社の採用活動から、日本経団連の会員企業を中心に会社説明会の解禁は3年生の3月、採用選考の解禁は4年生の8月と例年より大幅に後ろ倒しになっている。しかし、就職活動を行っている(または就職活動を終えた)大学4年生(500名)に対する連合の調査によると、6月調査時に、すでに大学4年生の35.6%に対して先行して内定が出始めていた。

また、内定・内々定が出ている大学4年生(178名)のうち、インターンシップを受けた会社から内定・内々定が出ている大学4年生の割合は38.8%だった。

今年の就活生の就職情報サイト登録時期は「大学3年の6月」と早期化している。これはインターンシップ関連の情報を扱うサイトがオープンした時期と重なる。「採用活動の後ろ倒し」にもかかわらず、就職情報サイトの登録時期は、昨年の就活生の「大学3年の12月」より「半年前倒し」となっていた。

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 2) 就職情報サイトで欲しいのに非公開な情報 1位「過去3年の離職者数」


就職活動を行う学生側の希望に反して、企業側が公開していない情報について調べると、情報ニーズとのギャップがみられるのは下記の順となった。

1位「過去3年間の離職者数」

2位「平均勤続年数」

3位「前年度の所定外労働時間(残業や休日出勤)」の実態

調査結果によると半数近くが「過去 3 年間の離職者数」の情報公開を希望しているが、就活生の 9 割以上がその情報を得られていない。また、下記のグラフに示す順位に見られるように、学生の求める情報の多くは、処遇や働きやすさに関連した項目となり、「興味のある企業がブラック企業か」といった不安を晴らすために必要な情報でもあると言える。

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3)ネットでの多企業へのエントリーの不安と弊害

就活中の現役学生の約6割が「より多くの会社にエントリー・応募したほうが内定を得やすい」と考えている。エントリー数に関しては、下のグラフにもある通り、「自分のエントリー数・応募数が少ないのではないかと不安に関じる(23.0%)」といった声があり、「あまり興味ないところでもエントリー・応募する(20.3%)」と、不安にさいなまれる就活生の実態も明らかになった。

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また、就職活動情報サイトの利用やソー活などネット就活について聞いたところ、3割が「自分が興味のある企業がブラック企業など悪い噂がないかインターネットで検索する」と答えた。さらにネット就活の弊害としては「1日何件もメールが届き、必要なメールが埋もれる(28.8%)」「情報過多で必要な情報の取捨選択が難しくなる(22.9%)」などが上げられた。

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大学生の就職活動を研究している千葉商科大学 国際教養学部 専任講師 常見陽平氏は、この調査結果などを踏まえ今年の就職活動の特徴を下記のようにまとめた。

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「就活時期繰り下げによる混乱、就活の構造変化、学生が抱く問題意識が可視化された調査結果だと言える。社会的に就職活動の時期が変更になったが、企業は学生との早期接触をはかりたいが故に、インターンシップを強化し、就職ナビサイトもそのニーズに対応したことで、就職情報サイトに登録する時期が早期化している。また、例年と異なる条件となったことから企業も学生も疑心暗鬼になり、本当の時期が見えないことから、不透明なまま、結果として早期化、長期化したと言えないか。」

一方で、「採用広報活動が始まった時期から、夏前の3ヶ月で3割強が内々定というスピード感も特徴だ。学生から内定先を聞く限り、内定を出しているのはベンチャー企業、準大手が中心のようだ。ただ、今後、大手に取られる可能性もあり人材獲得につながるかどうかは別だ。ルールを破り早期に内定を出した企業も不安になることだろう。」

また、同氏は「離職率など学生が公開して欲しい情報が、就職情報サイトにて提供されていないという現状が明らかになった。結局、就職情報サイトは求人広告ではあるが、本来は求人票よりも情報が豊富でわかりやすく、比較検討できることが特徴なのに、その役割を果たしきれていないのではないか。就活に関する情報収集が、学生にとって負荷のかかるものであることは変わっていない。求職者である学生の立場をいかに守るか。就職情報サイトは学生の味方なのか、敵なのか、介在する価値があるのかが、問われていると言えるだろう。」とネット就活のインフラとなった就職情報サイトの本質的な存在意義に関しても、言及した。

連合の非正規労働センターでは、これまでメーデーの会場などで学生と組合員とが気軽に職場のことを話せる「就活応援café」の実施や、就職活動中の悩みを相談できる就活生向けの集中労働相談、労働教育やディーセントワークに関するシンポジウムなどを開催することで、若者の就労や雇用環境整備を行っている。

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■本調査に関する詳細リリースはコチラ

■関連リンク:

若者の「はたらく」を守るため、大人たちの熱血議論

若者のために!法案づくりの現場 ~ブラック企業問題に踏み込む青少年雇用促進法案とは? 

 ■関連リンク:連合労働相談ダイヤル

全国共通フリーダイヤル0120-154-052 へお掛けになった場合はお近くの連合に繋がります。 

~調査概要~

□実施期間::2015年6月9日~6月17日

□手法:インターネット調査(ネットエイジア株式会社(担当:吉田) )

□母集団:就職活動を行っている(または終えた)大学4年生500名、今年4月に社会人になった社会人1年生500名の合計1,000