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人並みを求めるから「結婚する」から「結婚しない」へ

2013年10月19日 00時35分 JST | 更新 2013年12月18日 19時12分 JST

少し前の記事ですが、『PRESIDENT Online 』に掲載されていた「すれ違う『婚活難民』女が男に求める"人並み"以上の年収とは?」という記事がいろいろ興味深かったので、これについて少し。

1 記事の紹介

 「未婚男性の86.3%、女性の89.4%がいずれは結婚したいと思っているにもかかわらず」、「男性の生涯未婚率は30年前の約10倍」の20.1%、「女性も10.6%と2倍にな」っていることを受けて、その原因を考察しているものです。

 これについて、『婚活難民』著者の佐藤留美氏は「『わたしの相手には、せめて"人並み"以上でいてほしい』という女の本音」を強調しております。

 「一般的に、日本の女性は、この『人並み』に異様なまでにコダワリがあ」るとし、「自分の半径5メートル以内にいるご同輩の"平均値"」を下回ると、落ち込み、他人を妬む特性があるとしております。

 そして、明治安田生活福祉研究所が実施した調査では、「未婚女性が結婚相手に求める最低年収は『400万円~500万円未満』と答えた人が最多」だったわけですが、これは、こういう「男性と付き合っている(結婚している)人が『半径5メートル以内』に多」かっただけではないかと述べています。

 その上で、CAの例を出し、「彼女らの多くは、入社数年間は契約社員で年収300万円程度」なのに、「自分の相手には年収1000万円以上の男性を求め」るのは、身近にいる男性(パイロット)の平均年収が高いことや、「彼女らがお喋りする」ビジネスに乗る人の年収も高いからだと指摘しています。

2 周りの意見

 ある意味大変興味深い指摘です。私は、人はなんだかんだ言ってあまり強いものだとは思っておりません(『専門家はウソをつく』)。

 実際、他人との社会生活(交流)の中で、「常識」と呼ばれるものを学ぶ以上、行動規範には他人の行動の影響が多かれ少なかれ入ってくるので、やむを得ない部分もあるかと思っています。

 そういう意味で、学校教育で「個性の尊重」などということを主張される方がおられますが、最初から他人に誇ることができる「個性」を持っている「天才」など数えるほどしかいないはずです。

 大半は、学問にしても芸術にしても先人が苦労して開発した問題の解き方や技法などを学び(模倣し)、そのあとで、自分には何が適しているか見つけていくという話で、最初から何ができるかわかるはずもないと思っています(挨拶という1つの「型」を嫌う人達2)。

3 周りの人々

 話が多少逸れてしまいましたが、人は斯様に周りの人がどう行動しているかを見て、自分の行動を決めている部分は間違いなくあるだろうと思っているという話です。

 そういう意味で、以前は結婚をするのが当たり前で、年齢制限までがついていたとなれば、そうせざるを得なかったわけですが、それが徐々に揺らぎはじめ、年齢制限がなくなり、周りで結婚している方も減ってくれば、徐々にこうした圧力も緩まるのは当然かと思います(婚活と労働と規制緩和)。

 いったん緩み始めると、圧力は低下する一方なので、結果結婚圧力は大分薄くなってきており、こうした圧力の低下が更に婚姻率を低下させ、そうなると更に結婚圧力を低下されるという循環に陥っているのが現状ではないでしょうか。

4 最後に

 その一方で、「人並み」という発想は残っているわけで、「結婚するならそれなりの人と」という考えは生きているというのですから、これまで「人並みに結婚すべき」という結婚圧力に働いていたものが、逆転してしまっており、かなり興味深い話です。

 また、こうした「人並み」という意識が強く残っているいるということは、別に結婚しようがしまいが、きちんと「人並み」に生きていきたいという現れかとも思いますので、一概に悪いこととは思いません。

 それに結婚しょうがしまいが、個人の勝手で他人がどうこう言う話ではないというのも本当でしょうし、結婚して子供を無責任につくって虐待するよりはマシだろうという意見もあるかと思います(児童虐待という現実と放送)。

 そういう意味で、結婚が「絶対」などということを言うつもりは毛頭ありませんが、「人並み」の結婚ができないと嫌という理由で結婚しない人が多いという指摘が興味深いと思ったが故の今日のエントリーでした。

(2013年10月19日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました。)