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米航空会社が飛行計画を提出したことについて

2013年12月02日 23時37分 JST | 更新 2014年02月01日 19時12分 JST

中国の防空識別圏問題に関連して、アメリカの大手航空3社が飛行計画を提出し、結果として、日本と対応が異なってしまいました。

これに関してハフィントンポストが「中国の防空識別圏、アメリカの航空大手3社が飛行計画を提出」という記事を配信しており、いろいろ思うところがあったので、これについて少し。

1 記事の紹介

「アメリカ航空大手3社が、中国が東シナ海に設定した防空識別圏の通過に当たり、飛行計画を中国当局に提出していたことが12月1日」にわかりました。

これは「米政府は11月29日、米民間機が防空圏を飛行する場合、中国当局の要請に従って運航することを『期待する』との立場を明確にしているが、それと足並みを合わせた」ものとしております。

ロイター英語版は、ユナイテッド航空、アメリカン航空、デルタ航空の大手3社は、「アメリカ政府の助言に従って」、被告計画を通知したとしています。

『47NEWS』はこうしたことを受けて「アメリカ政府は、航空会社には飛行計画の提出を促したものの「中国が設定した防空識別圏を容認したわけではない」という分かりにくい立場を取っている」ともしています。

2 梯子をはずされた日本?

当初、このニュースは、FNN「防空識別圏問題 米国務省、自国の民間機に『飛行計画提出を』」などにあるように、「『アメリカ政府は、国際的な運航する航空会社は一般的には外国政府の航空情報に従うことを期待する』として、アメリカの民間航空会社に事実上、中国側が求める飛行計画の提出に応じるよう求める考えを示した」と報道されていました。

つまり、アメリカ政府の「期待する」をどのように解釈して報道するかという話で、これを「応じるよう求め」ているものと見るか、単に一般論としてその方が望ましいとしているだけなのかによって大分違ってくるという話です。

「応じるよう求め」るのであれば、形として日本政府が梯子をはずされたような恰好で、尖閣諸島問題ではアメリカは明らかに日本側についたと思っていたのですが(自分たちで設定した防空識別圏で、苦悩する中国)、それも間違いかと思っていたというのが正直なところでした。

ただ、今回の元記事を見て、あくまで私の私論にすぎませんが、アメリカはそこまで明確に主張しているわけではないような気がしたので少し書いてみたくなったというのが本当のところです。

3 アメリカの立場

以前、慰安婦問題で日韓の争いに巻き込まれたくないアメリカということを書きましたが(韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ韓国に「慰安婦問題」で巻き込まれるアメリカ2)、アメリカの本音はやはりそこいらにあるのではないかと考えます。

いろいろ誤解している方がいる様ですが、アメリカにとって一番大事なのはアメリカの国益であり、アメリカが日本のことを第一に考えて行動してくれるなどと期待できるはずもありません(日本のアメリカに対する片思いとアメリカの無関心)。

確かに、日本は大事な同盟国ですが、中国もすでにアメリカの国債を大量に保有しておりますし、貿易上の大事なパートナーとなっている以上、中国と徹底的に事を構えるつもりはないと考えます。

それに、多大な軍事費がアメリカの財政を圧迫している現状を考えると、これ以上無用の摩擦は増やしたくないというのが本音かと思います。

ただ、万が一、自国の航空機に何かあった日には、目も当てられないので、下手に危ない橋を渡るよりは、安全策に徹する方が無難と考え、航空会社にその旨通知したというところではないでしょうか。

4 国際秩序

しかし、その一方で、イラクがクウェート侵攻を行った際に直ちに反応したように(湾岸戦争)、現在の国際秩序を変更することについては、簡単に許さないという発想があります(もちろん石油の問題もあったのは否定しませんが)。

そのため、もし中国が武力で尖閣諸島を奪還しようとすれば、それに対しては断固たる措置をとるという方針は変更がないと考えます。

そういうことを考えると、実行支配を行っている国が有利という面は否定できず、竹島問題でも同じ話になってしまいます。そのため、国際司法裁判所などに提訴して国際社会に自国の正しさを主張するしか手がないのが現実かと思います(韓国の水産物禁輸措置をWTOに提訴することについて)。

ただ、これも相手国が受け入れなければそれまでですし、日本としては中国・韓国両国と同時にやり合うのは得策ではなく、どちらか一方との関係はそれなりに良好に保った上で、もう1国にあたるという方策が無難かと考えます。

5 最後に

今回の問題は日米の領土問題の考え方に対する違いということになるかと思います。つまり、直接の当事者である日本としては譲ることができない問題を含んでいるため、原理原則で行動し、航空会社に飛行計画の提出をとりやめさせました。

対して、アメリカはそこまで原則にこだわる必要はなく、自国民(飛行機)の安全を優先させたというところでしょうか。

ただ、日本の航空会社の飛行機にも外国人は大勢乗っているわけで、はたしてこの防空識別圏問題が今後どのようになるか、もう少し注意しながら事態の推移を見ていきたいところです。

(※この記事は、2013年12月3日の「政治学に関係するものらしきもの」から転載しました)

尖閣問題 画像集

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