ダークツーリズムとは、繰り返してはいけない悲劇を巡る旅

世界を旅していると、楽しいコトばっかりではない。様々な問題について考えさせられたり、時には直接触れることがあると思います。そんなとき、自分はいち人間としてどう判断するのか。

世界に飛び出したのなら、心を動かされる絶景を見るのもいいけど、歴史の重みを胸に刻むことも必要。

近年では「ダークツーリズム」というものが話題になっています。ダークツーリズムとは、歴史的な悲劇の起きた場所を訪れ、亡くなった方を悼み、そこから学びを得る旅のこと。

臭いものには蓋をしたくなる。でも、それでは未来は変わっていかない。ちょっと重い内容になりますが、歴史が残した負の遺産たちを紹介します。

奴隷貿易の島、ゴレ島(セネガル)

セネガルにあるゴレ島は、奴隷貿易の島。ここから送られた奴隷は2000万人とも言われています。上の写真の「奴隷の家」では、150人~200人ほどの奴隷たちが性別や年齢などに分けられて狭い部屋に押し込まれ、鎖で繋がれ、焼き印を押されて家族の元を去っていったそう。

船にもぎゅうぎゅうに押し込まれ、当時の航海では無事新大陸につけた人はほんの一部。そして、死んだ人は鮫の餌にされていたそうです。

一夜にして出来上がり、25年の間人々を隔てたベルリンの壁(ドイツ)

photo by shutterstock

一晩にして突如出来上がったベルリンの壁は、約25年もの間人々を隔てていました。急に家族と離れ離れになった人たちが沢山いて、命がけで壁を超える人々もいたそうです。

壁が崩壊された時の穴も、生々しく残されています。また、ベルリンには、様々な負の歴史を伝えるものが残されており、ユダヤ人大量虐殺の犠牲者モニュメントも必見です。

150万人のユダヤ人が虐殺されたアウシュビッツ(ポーランド)

多くの人が耳にしたことのある、ナチス政権によるホロコースト。そのナチス政権時代最大のユダヤ人強制収容所がここアウシュビッツにありました。大量殺害のためのガス室や、人体実験の行われていた場所などその惨さに言葉を失ってしまいます。

ヤヌコビッチ元大統領の豪華な私邸(ウクライナ)

市民を大量虐殺した容疑で現在国際指名手配されているヤヌコビッチ元大統領。彼は、国中が貧困に悩まされている中、放漫な金遣いで敷地内にものすごい豪華な建物を建てまくっていました。

この私邸が見学可能となっており、国の情勢とその豪華絢爛さのギャップには驚きます。ちなみに、 ウクライナ人の知り合いは「なんであんなところに見学に行くのかさっぱり理解出来ない」と言っていました。

記憶に新しい9.11事件の起きたグラウンドゼロ(アメリカ)

記憶に新しい9.11の現場。死傷者は3000人以上にのぼり、瓦礫は数ヶ月に渡り燃え続けていたそう。NYの街中にあんなに大きな飛行機が突っ込んできたなんて、改めてことの大きさを感じられます。

原爆の悲惨さを伝える広島・長崎(日本)

海外を学ぶのも大切ですが、まずは日本を知らなくては。日本人として知っておかなくてはならない、原爆の歴史。そして、世界唯一の被爆国の国民として、何を世界に伝えられるのかを考えてみると良いかもしれません。

多くの若者の鎮魂を祈る、ひめゆりの塔(沖縄)

原爆ドームが核の恐ろしさを伝えるなら、ひめゆりの塔は太平洋戦争末期に多くの若者が亡くなったその悲惨さを象徴しています。小さなこの塔は、終戦直後の物資難な時代も表しているようです。

公害の深刻さを伝える水俣病資料館(熊本・新潟)

熊本・新潟にある資料館では、環境汚染による被害の重大性を伝えてくれます。写真のモニュメントは、イタリアのジョゼッペ・バローネ氏によるもので、熊本にあります。美しいモニュメントは、私達の心に水俣病の教訓を焼き付けてくれます。

まとめ

重い内容ですみません。ですが、世界に飛び出したのなら、ワクワクするような絶景もいいですが、こういった負の歴史にも触れて、学んで、考えてほしいなと思い今回の記事をまとめました。

世界を旅していると、楽しいコトばっかりではない。様々な問題について考えさせられたり、時には直接触れることがあると思います。そんなとき、自分はいち人間としてどう判断するのか。

考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。現地が語る生々しさは何よりもの教科書であると思います。

関連記事はこちら

注目記事