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新しい母屋と離れの関係

2015年05月01日 01時30分 JST

統一地方選挙が終わった。

待機児童の解消や学童保育の整備、小児医療の無償化の年齢の引き上げ等々が約束されたが、その費用を誰がどう負担するかということは候補者も言わなかったし、有権者もたずねなかった。

ごみの収集を有料化して、それで小児医療の無償化年齢を引き上げますとか、固定資産税の減免を止めて中学校給食の費用を捻出しますとか、歳入と歳出がセットになった提案がどれだけあっただろうか。

内閣府の中長期の財政試算をみると、国のプライマリーバランスが大きく赤字になっているのに対して、地方のプライマリーバランスは黒字だ。

言わば母屋で両親が年金で暮らしているのに、離れでそのすねをかじっている子供が豪遊している。

内閣府の試算を見ると2015年度の地方財政の歳出総額は95兆円、2020年度には105兆円になっている。なぜか3兆円ずつ数字が小さい。

行革本部なりに2015年度の地方財政を分解してみると

98兆円 歳出総額

98兆円 歳入総額

歳入の内訳は

41兆円 地方税収等

3兆円 折半外臨財債、つまり過去の借金の借り換え

36兆円 補助金等

15兆円 地方交付税(特例加算抜き)

3兆円 財源不足

財源不足をカバーするために

1.5兆円 交付税の特例加算、言わば国がする借金

1.5兆円 折半臨財債 地方の赤字借金

それが2018年度になると

104兆円 歳出総額見込

105兆円 歳入総額見込

46兆円 地方税収等

4兆円 折半外臨財債

39兆円 補助金等

16兆円 地方交付税

合計すると1兆円ほど、「地方歳入が余る」!!

経済成長ケースでは、税収が伸びるプラス地方交付税の法定繰入額が大きく伸びるため、2018年に歳入の見込みが歳出の見込みを上回る。

この歳入の余りを新たな財政支出してしまうと、2020年度のプライマリーバランス赤字が9.4兆円でおさまらなくなる。

2018年度以降の剰余分は、過去の借金の借り換えである折半外臨財債の発行を減らすことに使わなければならない。

この借り換えの対象は約50兆円あるので、それをせっせと返していくことに使う必要がある。

さらに内閣府の試算では、地方の歳出も国と同じように、社会保障は自然増、つまり国の年間8000億円の三分の一程度、その他支出は毎年CPIの伸び相当、2%、伸ばしている。

2015年度と比べ2020年度の地方の歳出総額は内閣府の試算では9.7兆円伸びているが、社会保障の「自然増」を高齢化要因と高度化要因にきっちり分けて、伸びを抑え、その他支出はCPIで伸ばさずに一定に保てば、2020年度で4兆円程度を内閣府試算から抑えられるはずだ。

そのためには、個別の抑制ではなく(個別に抑制してもよいが)、地方財政の仕組の変更が必要だ。

現在は、予算要求には国による財源保障が強調され、執行段階では地方の自治が強調される。

国から地方への財政負担も、様々なところに入り混じってよくわからない。その最後の結果として、税とサービスの関係が議論されない地方選挙になってしまっている。

まず、国の補助金は、社会保障その他のナショナルミニマムを保障するものと明確化し、ナショナルミニマムに抑える。

公共事業の後年度負担は地方債で賄うが、後年度の交付税措置のようなことをせず、地方が返済する。

地方税と地方交付税を地方の一般財源として、それこそ地方自治で使い方を決める。

サービスの提供には財源の裏打ちが必要で、それをどういう優先順位でやるか、地方議会がしっかりと議論し、住民の理解を得る必要があり、その議論ができるような制度を創っていくべきだ。

(2015年4月29日「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載)