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大阪都構想否決で、日本、オワタ。一体何が終わったのか?

2015年05月28日 23時45分 JST | 更新 2016年05月28日 18時12分 JST

2015年5月17日。住民投票で大阪都構想が否決されました。

TwitterやFacebookなどでは「大阪、オワタ」「日本、オワタ」と失望の声があふれましたが、一体何が終わったのか?私が「日本、オワタ」と考える理由を書いてみます。

まず、前提として、大阪都構想により大阪府と大阪市の二重行政をなくし、効率化することは、論理的に言って大阪の、ひいては日本の経済にとって有用なことでした。(この前提が共有出来ない人はこの後も意見が合わないと思いますので読まなくていいです)

この「論理的に」良い施策に反対した大阪市民が過半数いた理由は以下のようなものが考えられます。

1.論理的に不利益を被る

2.感情的に今あることを無条件に変えたくない

3.感情的に理解できないことを拒否したい

これは、大阪都構想のような大きなものだけではなく、会社の社内稟議でも同じことが起こります。論理的に正しいだけでは意見は通せないのです。

大阪都構想の場合は、具体的にはこういう人たちが反対していると思われます。

1.論理的に不利益を被る

仕事がなくなるかもしれない大阪市の役人、シルバーパスがなくなるかもしれない老人など。

2.感情的に今あることを無条件に変えたくない

区の名前が変わるのが何となくイヤな人、橋下さんが急速に何かを変えようとしているのがイヤな人。

3.感情的に理解できないことを拒否したい

よくわからないけど、イヤな人。

1で不利益を被る可能性がが高い人たちは老人が多いです。また、変化したくないという感情を持ちやすいのも老人が多い。この結果が(信憑性は定かではありませんが)70代以外はすべての世代で賛成が過半数、30代が一番賛成率が高いという出口調査の結果に繋がったのだと思われます。

さて、この結果を踏まえて、なぜ「日本、オワタ」になるかを考えてみましょう。

日本国の最大の問題点は、借金が多すぎること、そして、その借金が年々増大していることです。なぜ借金が増大しているのか?その理由は財務省が出しているグラフを見れば一目瞭然です。

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まず、日本国は年間96兆円使っているのですが、税入は50兆円しかありません。足りない分のうち41兆円は借金です。収入の倍近いお金を使っているのだからそりゃ、借金は増えます。

そして、支出の内訳をみると

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社会保障費(年金、介護、医療など)と、地方交付税(国から金のない地方に回してあげているお金)で約半分を占めます。あと、24%が借金の利息というのも悲惨です。

この日本国の財政状況を考えるとやらなくてはならないことは、社会保障費と地方交付税を減らし、借金を減らすことで支払い利息を減らすことだということがわかります。

その際に日本国民がやらなくてはならないことは、

a.今までもらっていた年金や国が払ってくれていた医療費を減額すること

b.地方の行政を効率化したり、補助金などを減らしたりして、地方にあげるお金を減額することです。

さて、大阪都構想が否決された理由を考えてみると、

1.論理的に不利益を被る

シルバーパスや地方公務員の仕事がなくなるのがイヤ

2.感情的に今あることを変えたくない

効率化のために区や市の名前が変わるのがイヤ

3.感情的に理解できないことを拒否したい

よくわからないけど、大きな変化が起こるのがイヤ

ということで、今日本がやらなくてはならないことが全て否決されるわけです。

日本の財政状況を考えると、日本国民一人一人が「論理的には自分は損するとわかっていても国全体として受け入れる」「愛着があるものでも、必要であれば変える気概を持つ」「現状に問題がありそうなら、よくわかっていなくても、思い切って変える」といったことが必要なのですが、残念ながら今回の結果はそうはなりませんでした。

自分の職場を効率化したり、自分たちの医療費やシルバーパスが削減されたり、愛着がある街の名前がなくなったりするのは悲しいことです。しかし、国全体のことを考えて、あえてそれを選択する勇気があれば、この国の下りエスカレーターが反転するのは早くなるかもしれないのです。ですが、今回の住民投票で過半数の人はその様な投票行動に及びませんでした。

そして、今回の住民投票「若者の投票率がもっと高ければ可決されたかも」という意見もありますが、残念ながら「老人の方が投票率が高い」という傾向はこのままの制度では絶対に崩れません。なぜなら、若者は忙しく、老人は暇だからです。

若者が選挙を「重要度70」だと考えていても、彼らには「重要度80」のデートとか「重要度90」の仕事とかが山ほどあり、知らないうちに選挙日が終わっています。

老人が選挙を「重要度30」だと考えていても、彼らには他にやることがなんもないので、選挙に行くのです。

この傾向に歯止めをかける方法は一個あります。スマホでも簡単に選挙の投票ができるようにすることです。しかし、

1.論理的に不利益を被る

現職の、老人の支持を集めている政治家が落選するかもしれない。

2.感情的に今あることを変えたくない

スマホで選挙とか不正投票とかありそうでイヤ(現行の選挙で不正投票が起こるか否かは考えない)

3.感情的に理解できないことを拒否したい

よくわからないけど、大きな変化が起こるのがイヤ

と、いうわけで、スマホで選挙法案も当分通らないわけです。

もし、大阪都構想の住民投票が可決されていたら、

「論理的に正しいことを考える人の数が、上記の1-3の理由で否決する人の数よりも多い場合もある」ということが証明され、大阪に続け!という形で次々と「論理的に正しい」行動をする人が増えた可能性があります。

しかし、稀代の政治家である橋本氏が7年間かけてこれだけのムーブメントを起こし、それでもダメだったという現実を見せつけられて「論理的に正しい」行動をする人の「感情」が萎えてしまったのです。これが「日本、オワタ」です。

私は、カンボジアでカレー屋やってたり、英語塾やってたり、海外に出ようとする人たちへの情報提供をしていたりと、日本以外で生活することはできます(さらにそういう人たちを増やそうとしています)。実際、これから「日本以外にも住むところを作っておこう」と考える人は増えると思われます。その選択肢を作っておくことは非常に大切です。

そうやって海外に行く人が増えたとして、日本に残る人たちによって日本が変わることはないのでしょうか?

変わる方法はあります。というより、変わる時期が来ます。

1.論理的に不利益を被る

財政が困窮して年金支給開始が70歳を超え、老人医療費の負担が7割になり、シルバーパスなどが全部廃止になる

2.感情的に今あることを変えたくない

病院に1回行くだけで5000円くらい課金されるため病院に行けなくなり、公民館なども閉鎖され、行くところがなくなる

3.感情的に理解できないことを拒否したい

インフレ、預金封鎖、IMF、巨大不況など、よくわからないけど大変なことがテレビで報道される

こんなことが起こったとき、今回反対した人たちが「今よりマシ」な選択肢として改革を望むようになるのです。

その時には、老人を守っていた年金や健康保険などの制度が無残な姿になっていると考えられます。守られていない若者はどうなっているのか...。

「実際に酷いことになる前に気付いて欲しい」と心から思うのですが、実際に15年前と比べて平均給与が50万円ほど下がっていてもまだ変わらないので可能性は低そうです。

私は、日本と海外を行き来しながら、日本の行く末を半歩退いたところで眺め、ドン底まで墜ちて、改革が始まったころ、その力になれるようになりたいなと考えています。

そして、「海外で生活したい」という選択肢を持ちたいという方、是非カンボジアにためしにきてみてください。