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「CASH売って〜!無理?」の一言がきっかけだった。DMM.comがアプリ運営会社を70億円で買収

DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏が、バンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏に直接メッセージを送り、翌日の食事に誘って買収の提案を行ったのだという。

2017年11月21日 11時32分 JST | 更新 2017年11月21日 15時51分 JST

techcrunch japan
左からバンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏

"目の前のアイテムを一瞬でキャッシュ(現金)に変えられる"とうたう買取アプリ「CASH(キャッシュ)」。そのコンセプト通り、ファッションアイテムなどをアプリで撮影するだけで即査定というシンプルで素早い現金化のフローもさることながら、サービスローンチからわずか16時間でユーザーからの申し込みが殺到し過ぎてサービスを2カ月ほど停止したこと、さらにはその16時間で3億6000万円分の「キャッシュ化」がされたことなどとにかく話題を集め続けている。そんなCASHが創業から約8カ月、サービス運営期間で言えばわずか2カ月弱で大型のイグジットを実現した。

DMM.comは11月21日、バンクの全株式を取得、子会社化したことを明らかにした。買収は10月31日に合意。買収金額は70億円。代表取締役兼CEOの光本勇介氏をはじめ、6人いるバンクのメンバーは引き続きCASHを初めとしたサービスの開発を担当する。今後は、DMMグループの持つ資本力やシステム基盤、サービス体制を連携させることで、拡大成長を目指すとしている。

「リリースしてから思ったことは、僕たちが取りたい市場には想像した以上のポテンシャルがあるということ。ただ、需要があるからこそ、競合環境も厳しくなると考えた。市場が大きくなる中で、それなりの自己資本も必要。(資金を調達して)一気にアクセルをかけなければならないこのタイミングでの戦い方を考えている中で今回の話を頂いた」

「DMMグループはいわば現代の超クールな総合商社。金融にゲームから、水族館にサッカーチームまで持っている。一方で僕たちみたいなサービス運営が2カ月、売上もこれからの会社の買収も数日で決めてしまう。こんなに"ぶっ込んでいる"会社はない。大きい市場を取りに行こうとしているときに、経済合理性をいったん置いてでも挑戦する会社がサポートしてくれるというのは、とても心強い。困っていることや強化したいことを相談すると、ほとんど何でもある。例えば物流まで持っているんだ、と」

光本氏は今回の買収についてこう語る。

一方、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏は、同年代(片桐氏は1982年生まれ、光本氏は1981年生まれ)の経営者である光本氏を自社に欲しかった、と語った上で、「(光本氏は以前ブラケット社を創業、イグジットした上で)2回目でもいいサービス、いいチームを作っていると思っていた。もともとDMMでも(CASHのようなサービスを)やるという話はあったが、結局チームまではコピーできない。とは言えバンクを買収することは不可能だと思っていたので、ちょっと出資ができないかと思っていた」と振り返る。

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買収のきっかけとなったメッセージ

片桐氏は以前から競合サービスの立ち上げについてDMM.comグループ会長の亀山敬司氏と話していたが、10月になって事態が動き出したという。片桐氏の海外出張中に、以前から面識があったという亀山氏が、光本氏に直接メッセージを送り、翌日の食事に誘って買収の提案を行ったのだという。その後はトントン拍子で話が進み、約1カ月で買収完了に至った。「きっちりとCFOがデューデリジェンスもしているが、基本的に口頭ベースで合意したのは5日くらいのスピードだった」(片桐氏)

ちなみに今回の買収、光本氏にはロックアップ(買収先の企業へ残って事業の拡大をする拘束期間。通常2〜3年程度付くことが多い)が設定されていないという。「もし明日辞めても、『そっかー......』というくらい。ロックアップというのは意味がないと思っている。僕が担当した会社(DMM.comが買収したnana musicとピックアップのこと)はロックアップがない。経営者との関係性や経営者のやる気がなくなったら意味がないから。僕がバンクを経営できるわけではない。モチベーションを上げるためのソースがないと無理だと思っている。(買収は)事業を付け加えていくことというよりは、いい経営者にジョインしてもらうこと」(片桐氏)

光本氏は先週開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2017」にも登壇してくれており、その際にも尋ねたのだけれども、現状CASHに関する細かな数字については非公開とのこと。「まだ運営して2カ月くらいのサービスなので、僕たちもまだデータをためている段階。ただ、2カ月前に再開して、改めて確信したのは、今までは二次流通や買取の市場——つまり『モノを売る』という手段の一番簡単なものがフリマアプリだと捉えられていたが、(より手軽という意味で)その下はもっとあったのだということ。この市場はフリマアプリと同様に持っていけるポテンシャルがある。それをただただ構築していきたい」(光本氏)

また、少額・即金という資金ニーズに対応するCASHに対して、FinTechをもじって「貧テック」と揶揄する声もあったが、「全く理解できない。前提として僕たちは1円でも高く買い取れるよう努力している。今の時点でも、不利に、安く買いたたいているわけではない。『この価格ならノールックで買い取らせて頂ける』と提示しているだけだ」と反論した。

バンクはDMM.com傘下で開発体制も大幅に強化する。すでにDMMグループからの出向も含めて人数を拡大中で、2018年中には100〜150人規模を目指して採用を進めるとしている。また当初はCASH以外のサービスも展開するとしていたが、「機会があれば(DMMと)一緒に新しい事業をやっていきたい。会社としてはやりたいネタがいっぱいある。まずはCASHに注力しつつ、新規の事業も出していきたい」(光本氏)と語っている。

なお11月20日にはヤフーがオークションサービス「ヤフオク!」内で、ブックオフコーポレーション、マーケットエンタープライズと連携した家電・携帯電話・ブランド品などの買い取りサービス「カウマエニーク」を公開している。こちらはブックオフ店舗持ち込みか宅配による買い取りだが、フリマに続いて買取のマーケットにも続々動きがありそうだ。

(2017年11月21日Techcrunch日本版「サービス運営2カ月弱での大型イグジット、買取アプリ「CASH」運営のバンクをDMM.comが70億円で買収」より転載)

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