Gawker Mediaがニューヨーク南部地区連邦地裁に破産申請

すでに何社かGawker Mediaの買収に関心を示している企業が現れている。

ニューヨーク南部地区連邦裁判所から公開された文書によれば、今日(米国時間6/10)、Gawker Mediaは破産を申請した。

Gawkerの破産申請は、プロレスラー、ハルク・ホーガン(本名、Terry Bollea)との法廷闘争が長引く中で行われた。ホーガンはGawkerがセックステープの一部を公開し、これに関するブログ記事を書いたことで同社を訴えていた。

ホーガンおよび他の何人かのGawkerに対する訴訟はPayPal共同ファウンダーでベンチャー投資家のPeter Thielが財政的に支援していたことが最近になって明らかになった

今年3月、陪審員はGawkerがホーガンに1億4000万ドルの損害賠償を支払よう認定していた。Gawkerは控訴中

Gawkerは裁判所に対し、賠償の支払いの前に控訴審を進めるよう認めるよう求めていたが、Politicoの記事によれば、 判事は今日Gawkerの請求を退けた。裁判所によるこの決定がGawkerの破産申請の引き金を引いたものとみられる。

連邦破産法11条の適用の申請書でGawker Mediaは同社の資産には5000万ドルから1億ドルの価値があるものの、直面する負債額(ホーガンへの支払いを含め)は1億ドルから5億ドルに上るとしている。

11条申請で今後Gawkerが運営するGawker、Jezebel、Deadspinその他のサイトに加え無料のニュース・プラットフォームのKinjaがオークションにかけられることになる。今年1月、Gawker Mediaは訴訟費用を確保するために一部株式をColumbus Nova Technology Partnersに売却する計画を明らかにしていた。

すでに何社かGawker Mediaの買収に関心を示している企業が現れている。 その一つは PC Magazinなどを運営するZiff Davisで、破産申請に関連してすでに買収の申し出を行っている〔 Ziff DavisのCEO、Vivek Shahの提案メモに関してはRecodeに全文が掲載されている〕

プレスリリース中でNick Dentonは買収案について「この訴訟により長年続いてきた独立のメディアとしての地位を諦めることとなったが、われわれのライターは引き続き真実を書くことに集中し、何百万もの読者の信頼に応えていく。〔売却による組織再編でGawkerは〕訴訟から解放され、プラットフォームや新媒体の構築という本来の重要業務に集中できる」と書いている。

情報開示:この記事の執筆者はGawkerの元編集長、A.J. Daulerioの下でニュースサイトのRatterに属していた。 Daulerioはホーガンのセックステープ事件の記事の執筆者であり、訴訟において個人的に賠償額を認定されている。

この記事の執筆にはAnthony Haが協力.

〔日本版〕Gawker Mediaの申請書全文は原文を参照。Politicoの記事によれば今回の申請はホーガン側によるGawker資産の差し押さえを防ぐためという。売却代金はエスクローに保管され、控訴審の判決に応じてホーガンまたはデントンや株主に引き渡される。

Gawkerの申請の根拠法は、Title 11 of the U.S. Code - Bankruptcy Chapter 11。Wikipediaではアメリカ合衆国連邦倒産法第11章と訳されている。内容は日本における民事再生法に近い。債務者による債務整理、会社再生に関する立案が可能。連邦法の構成からすれば「11章」と訳すのが適切だが、「連邦破産法11条」という訳語が広く使われているため暫定的にこちらを使用。

(2016年6月11日 TechCrunch日本版「Gawker Mediaがニューヨーク南部地区連邦地裁に破産申請」より転載)

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